外国人の雇用保険はどうなる?外国人雇用状況届とは?

外国人を雇用するとき、雇用保険はどのように手続きするのでしょうか?採用活動を始める前に、外国人の雇用に関わる手続きの知識を明確にしておきたいですよね。

また、退職時の雇用保険に関わる手続き方法も気になります。外国人労働者が退職したときは失業保険は受給できるのでしょうか?退職の話が出たときに、事前に外国人労働者に注意点を伝えることができれば親切です。

本記事では、外国人の雇用保険に必要な外国人雇用状況届とは何なのか、雇用保険の手続き方法やいつまでに手続きを行えば良いのかなど詳しく解説していきます。

外国人の雇用保険に必要な外国人雇用状況届とは?

平成19年から、外国人を雇用すると「外国人雇用状況届」を厚生労働大臣(ハローワーク)に届け出るのが義務になっています。外国人雇用状況届は雇用保険加入・未加入関係なく届け出なければいけません。「外国人雇用状況届」は、主に次のような目的で提出を求められています。

  • 外国人の雇用環境の把握や改善
  • 事業主への助言や指導
  • 外国人の再就職支援

雇用保険に加入するには「雇用保険被保険者資格資格取得届」を提出する必要があります。雇用保険に加入するのが外国人労働者である場合は、「雇用保険被保険者資格取得届」の備考欄に「外国人雇用状況」を記載する欄があります。

外国人を採用したとき、雇用保険の手続き方法は?

事業者は、1週間20時間以上31日以上の雇用を継続する見込みのある労働者を雇った場合、原則、労働者を雇用保険に加入させなければいけません。これは外国人労働者を雇うときも同様です。

外国人労働者の雇用保険手続きは、日本労働者の手続きとさほど変わりません。外国人労働者の雇用保険加入手続きをする際は、次の2点が追加で必要となります。

  • 雇用保険被保険者資格取得届の提出
  • 在留カード番号の届出

雇用保険被保険者取得届の提出

1週間の労働時間が20時間以上、かつ31日以上継続して雇用する場合には、事業者は原則、労働者を雇用保険に加入させる必要があります。31日未満の雇用契約であっても、契約を更新する可能性があれば加入は必須です。

アルバイトやパートなどの雇用形態でも同様です。また、雇用契約を結んでいなくても、外国人に報酬を与えている場合は「雇用保険被保険者取得届」の提出が必要となる可能性があるので注意しましょう。

外国人労働者の場合、「雇用保険被保険者資格取得届」に次の外国人労働状況の記載が必要です。記載する外国人労働状況は次の通りです。

  • 氏名(アルファベット)
  • 在留期間
  • 資格外活動許可の有無
  • 派遣・請負就労区分
  • 国籍・地域
  • 在留資格

在留カード番号の届出

在留カードは、日本の滞在が中長期に渡る外国人に渡されるカードです。観光など、3か月以下の短期滞在では渡されません。「特別永住者」以外の留学や就労などで日本に滞在している外国人は、全員持っています。

在留カードは出入国管理及び難民認定法で、常に携帯することが義務となっています。このカードでは外国人の在留期間が切れていないかを確認できます。雇用保険に加入するには「雇用保険被保険者資格取得届」に在留カード番号の記載が必須です。

外国人の雇用保険手続きはいつまでに提出するの?

雇用保険の手続きは「雇用保険被保険者取得届」の提出で行います。「雇用保険被保険者取得届」は、労働者を雇用した翌月10日までに提出しなければいけません。これは、日本人労働者を雇う場合と同様です。

例えば、新卒で留学生を採用した場合、4月1日付けでの雇用だと5月10日が「雇用保険被保険者取得届」の提出期限となります。

外国人が退職した後の雇用保険の手続きは?

労働者が退職する際は、国籍関係なく「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出します。外国人労働者の退職の場合は、雇用保険加入時と同様に「雇用保険被保険者資格喪失届」に「外国人雇用状況」を記載する必要があります。雇用保険被保険者資格喪失届」は、離職日の翌日から10日以内が提出期限です。

なお、「雇用保険被保険者資格喪失届」は電子申請ができます。忙しい事業者には電子申請が便利なのでおすすめです。次の3つのパターン別に申請できます。

  • 離職票交付あり
  • 離職票交付なし
  • 期間等照明票交付あり

電子申請は「e-Govポー」で行います。電子申請を行うには、電子証明書が必要です。e-Govポータルにて電子証明書の申請書をダウンロードしてください。印刷して必要事項を記入し、ハローワークに提出しましょう。

1度証明書を提出して電子証明書を取得しておけば、この先もずっと電子申請が可能となるのでとても便利です。

それでは、外国人労働者の退職によって、次の2点はどうなるのかについても見ていきましょう。

  • 失業保険は受けられるの?
  • 失業認定はどうなるの?

失業保険は受けられるの?

外国人も雇用保険加入期間が12ヶ月以上あれば原則、失業保険を受給できます。失業保険の受給手続きはハローワークで行われます。失業保険を受給するには、外国人本人が次の書類を持参する必要があります。

  • 離職票
  • 雇用保険被保険者証
  • 在留カード
  • 証明写真2枚
  • 印鑑

なお、離職票は外国人労働者を雇っている事業者が、「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」をハローワークに提出すると発行されます。

失業認定はどうなる?

外国人労働者も日本人と同様にハローワークに必要書類を提出した後、条件が満たされていれば失業認定が下されます。そして失業認定の7日後に給付金が受給できるようになります。

しかし、離職理由が外国人労働者の自己都合による退職や懲戒解雇などであれば、失業認定後3ヶ月間は給付制限期間となります。

失業保険を受給し続けるにはハローワークに求職活動を行っている姿勢をアピールする必要があります。積極的に求職しているのに就職できない失業者として認められなければいけません。

失業保険の基本手当は前職で勤務した期間によって受け取る期間が変わります。長く働けば働くほど、退職後の失業保険も長くもらえます。

しかし、退職後に何もせず3ヶ月以上経つと、失業保険はおろか在留資格の取り消し対象になってしまいます。また、失業中に在留期限が来てしまうと、企業に雇用されていないので就労ビザの更新ができません。

在留期間を「短期滞在」に変更して就職活動を続けることができる場合もありますが、ケースバイケースです。外国人労働者が退職する際には、ここも含めて説明しておくと良いでしょう。

外国人雇用状況届の提出をしなかったらどうなる?

外国人労働者を雇用したとき、厚生労働大臣へ「外国人雇用状況届出」の提出が義務付けられています。これは平成19年10月1日に施行された「雇用対策法」に定められています。なお、外国籍でも「外交」と「公人」の在留資格を持っている方は対象外です。

「外国人雇用状況届」の提出を怠ったり、虚偽の内容を報告したりすると事業者に対して30万円以下の罰金が課せられる場合があるので注意しましょう。届出の失念など故意と認められなければ、罰金は免れるので安心してください。

【まとめ】外国人労働者の雇用保険手続きをスムーズに行おう!

ここまで、外国人の雇用保険に必要な外国人雇用状況届とは何なのか、外国人の雇用保険手続き方法、いつまでに手続きを行えば良いのかなどについて解説してきました。

これから外国人労働者の雇用を考えている場合、雇用に関わる様々な手続きの手順や知識が気になりますよね。ミスをすると罰金を科せられる項目もあるので注意が必要です。外国人労働者も、雇用保険の手続きは日本人労働者とほとんど変わりません。

しかし、外国人に特化した記載事項があるので事前に確認しておくとスムーズです。外国人労働者が退職する際も手続きが必要なので、流れを確認しておきましょう。

社会保険労務士と行政書士による外国人雇用のワンストップサービス「外国人雇用と就労ビザ」

http://visa.gerbera.co.jp/jyokyo

外国人採用サポネット

https://global-saponet.mgl.mynavi.jp/visa/722#chapter-1

e-Govポータル

https://www.e-gov.go.jp/