技能実習1号・2号・3号の違いを解説!移行手続きの要件と流れも

技能実習制度は、開発途上国の外国人材を受け入れ、働きながら技術や知識を学んでもらい、母国へ帰国後に活躍してもらうことを目的としています。2009年に在留資格となり、2017年に制定された技能実習法により技能実習制度の体制が強化されました。

技能実習には1号・2号・3号と区分があります。それぞれ在留期間や対象職種などに違いがあります。本記事では、技能実習1号・2号・3号の違いと移行手続きの方法について詳しく解説します。

技能実習の区分

技能実習には1号・2号・3号と区分が設けられており、試験に合格するなどして順に移行が可能です。3号まで移行すると最大5年在留できます。区分それぞれの違いは次の表の通りです。

受け入れ方式在留期間対象職種
技能実習1号技能実習第1号イ技能実習第1号ロ1年制限なし
技能実習2号技能実習第2号イ技能実習第2号ロ2年制限あり
技能実習3号技能実習第3号イ技能実習第3号ロ2年制限あり

各受け入れ方式にある「イ」は企業単独型、「ロ」は監理団体型での受け入れであることを表しています。どの区分も企業単独型、団体監理型いずれの受け入れ方法を採用可能です。技能実習1号・2号・3号の特徴をより詳しくご紹介します。

技能実習1号

技能実習1号は、技能実習生として日本に入国する1年目に与えられる在留資格です。1年目なので技能の修得を目指す活動が目的とされていて、対象職種に制限はありません。

開発途上国への発展に寄与する職種や作業であり、単純作業でなければ基本的にどの職種でも可能です。なお、原則2ヶ月間の座学講習で技能実習の基礎を学ぶ必要があります。

技能実習2号

技能実習2号は、技能実習1号で1年実習を実施した外国人材が2年目、3年目も実習を実施する場合に与えられる在留資格です。技能実習2号は1号で修得した技能をさらに習熟させるのが目的です。技能実習1号と異なり、対象職種に制限があります。

技能実習2号の対象職種は、87種類159作業です(2023年4月時点)。はじめから技能実習2号への移行を考えている場合は、技能実習1号の時点で2号の対象職種に携わる必要があります。

技能実習3号

技能実習3号は、技能実習2号を経て外国人材が4年目、5年目も実習を実施する場合に与えられる在留資格です。技能実習3号は1号、2号で修得・習熟した技能をさらに熟練させるのが目的です。

また、技能実習2号よりも対象職種が制限されており、77種類144作業となっています。(2023年4月時点)。はじめから技能実習3号への移行を希望するのなら、1号の時点で3号の対象職種を選択しなければなりません。

技能実習、移行の要件と流れ

技能区分1号・2号・3号は、時期が来れば自動的に移行できるわけではありません。それぞれ、対象職種や試験への合格など要件があります。また、移行を決めたらさまざまな準備が必要です。

とくに技能実習1号は在留期間が1年と短いため、移行準備をより計画的に行わなければなりません。受け入れ企業は技能実習生とこまめにコミュニケーションをとり、早めに移行の希望を確認しておくと良いでしょう。1号から2号、2号から3号への移行の要件と流れをそれぞれ解説します。

技能実習1号から2号へ

技能実習1号から2号への移行は、2号の対象職種でしかできません。そのため、技能実習2号へ移行することをはじめから考えている場合は、1号の時点で技能実習2号の対象職種に当てはまる業種を選ぶ必要があります。

また、受け入れ方式も同じ方式でしか移行ができないので注意しましょう。受け入れ方式が「技能実習第1号ロ」(監理団体)の人材は、「技能実習第2号ロ」にしか移行できません。

以上の前提をふまえ、技能実習1号から2号への移行は「技能検定基礎級」または「技能評価試験初級」に合格する必要があります。試験には学科と実技があり、いずれも合格するのが条件です。

なお、2号への移行手続きは1号の在留期間が終わる2か月前に行わないといけないため、そのときにはすでに試験の合格が判明していないといけません。そうすると、試験は技能実習1号として日本に入国して6ヶ月目には申し込みを行い、8か月目頃には受験している必要があります。

日本に入国して生活や仕事に慣れる前から2号への移行準備を進めなくてはいけないため、あわただしくなります。さらに、外国人技能実習機構(OTIT)に申請する技能実習計画の2号用を作成して提出し、認定してもらう必要があります。

1号の期間満了3か月前には完結しておかなくてはいけません。審査期間の目安は2週間から5週間であるため、技能実習生入国後7ヶ月目から9ヶ月目には申請しておきましょう。

技能実習生を1号として受け入れる場合、2号への移行希望があるのかどうか、技能実習生にあらかじめ確認しておくことがオススメです。

技能実習2号から3号へ

技能実習2号から3号への移行は、3号の対象職種でしかできません。2号も対象職種は制限されていましたが、3号は対象職種がさらに制限されています。そのため、技能実習3号へ移行することをはじめから考えている場合は、1号の時点で技能実習3号の対象職種に当てはまる業種を選ぶ必要があります。

技能実習3号へも、同じ受け入れ方式でしか移行ができないので注意しましょう。受け入れ方式が「技能実習第2号ロ」(監理団体)の人材は、「技能実習第3号ロ」にしか移行できません。

技能実習2号から3号への移行は、2号の実習修了後に1ヶ月以上母国へ帰国することが要件のひとつです。また、技能検定3級相当の技能評価試験への合格が必要です。

技能実習1号から2号へ移行のときと同様、試験は2号の在留期間が終わる2か月前には受験している必要があります。1号から2号のときと比べて在留期間が2年ありますし、ある程度生活や仕事に慣れてきてはいるものの、計画的に準備する必要があります。

技能実習から特定技能への移行

特定技能は、2019年4月に新設された在留資格で、人手不足が深刻化している日本企業において外国人の雇用を可能にした資格です。技能実習制度で技術、知識を修得した外国人材は特定技能への移行という道もあります。

特定技能に移行できるのは、技能実習2号もしくは3号を満了した人材です。特定技能へ移行するには、特定技能評価試験への合格もしくは技能実習を良好に修了した人材であることが要件です。

しかし、特定技能として受け入れ可能な産業は14種類とかなり少ないです(2022年11月時点)。技能実習から特定技能へ移行する際には、この14種類の産業と技能実習で修得した技能が一致していることも要件なので注意しましょう。

特定技能で受け入れ可能な14の産業分野は次の通りです。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 素形材産業
  • 産業機械製造業
  • 電気・電子情報関連産業
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業

特定技能への移行を考えて技能実習制度を活用する外国人材は、特定技能で対象の産業に携わる必要があります。また、受け入れ企業側も特定技能として外国人材を受け入れる要件があるので確認しておきましょう。

技能実習1号・2号・3号の違いを把握し、スムーズに採用課題を解決しよう!

ここまで、技能実習1号・2号・3号の違いと移行手続きの方法について詳しく解説してきました。技能実習制度には、1号・2号・3号と区分があり、それぞれ在留期間や対象職種が異なります。

技能実習生として日本に入国する外国人材だけではなく、技能実習生を受け入れる企業側も技能実習1号・2号・3号の違いを把握する必要があります。正しい知識で技能実習生を受け入れ、採用課題をスムーズに解決しましょう。

【参考記事】

くらしジャパン 技能実習を徹底解説!1号、2号、3号の違いや職種を紹介

https://kurashi-japan.net/articles/30?lang=ja

協同組合ハーモニー 技能実習1号・2号・3号の違いとは?職種や在留期間など各特徴を解説

https://jc-harmony.com/ginou/division-difference/

ANSONG協同組合 技能実習生2号とは?1号との違いや移行手続きを解説

https://ansong.co/journal/knowledge/%E6%8A%80%E8%83%BD%E5%AE%9F%E7%BF%922%E5%8F%B7%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F1%E5%8F%B7%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%82%84%E7%A7%BB%E8%A1%8C%E6%89%8B%E7%B6%9A%E3%81%8D%E3%82%92%E8%A7%A3%E8%AA%AC/

ANSONG協同組合 技能実習生3号とは?2号との違いや移行手続きを解説

https://ansong.co/journal/knowledge/%E6%8A%80%E8%83%BD%E5%AE%9F%E7%BF%92%E7%94%9F3%E5%8F%B7%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F2%E5%8F%B7%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%82%84%E7%A7%BB%E8%A1%8C%E6%89%8B%E7%B6%9A%E3%81%8D%E3%82%92%E8%A7%A3/

技能実習生の受入れ可能職種【2023年最新版】

https://www.nbc.or.jp/tit/about/job/