技能実習制度を利用して日本で技術を磨く外国人は、年々増加傾向です。これから技能実習制度を活用して、技能実習生を受け入れたいと考える企業も多いのではないでしょうか。本記事では、外国人技能実習機構とは何をするところなのか、業務内容や活用するメリットを解説します。
目次
外国人技能実習機構とは
外国人技能実習機構(Organization for Technical Intern Training 略称OTIT)は、技能実習制度の適正な実施と技能実習生の保護を目的に2017年に設立されました。法務省と厚生労働省が所管する認定法人です。
技能実習制度を活用して外国人材を受け入れたいという企業は多いものの、どのように受け入れたら良いのか躊躇している企業もあると思います。外国人技能実習機構は、そのような企業のサポートも行っています。
外国人技能実習機構が行っていること
外国人技能実習機構は、外国人技能実習生と実習生を受け入れる企業のサポートを行っています。具体的にどのような業務があるのでしょうか。外国人技能実習機構が担っている業務は次のようなものがあります。
- 技能実習計画の認定
- 実習実施者・監理団体への報告要求と実地調査
- 実習実施者の届出受理
- 監理団体の許可に関する検査
- 技能実習生からの相談・援助
- 技能実習者への転籍支援
- 技能実習生の調査と研究
技能実習計画の認定
外国人技能実習機構では技能実習計画の認定を行っています。外国人技能実習生を受け入れるには、受け入れ企業が外国人技能実習機構に技能実習計画を提出して認定してもらいます。
外国人技能実習機構は企業が提出した技能実習計画の書類を点検して技能実習生を受け入れるのにふさわしい企業なのかどうかを判断しています。
ふさわしいと判断された企業は技能実習計画が認定され、外国人技能実習生を受け入れる第一歩を踏み出せます。技能実習計画の申請締め切りは、技能実習開始予定日の4か月前です。
実習実施者・監理団体へ報告要求と実地調査
実習実施者・監理団体へ報告要求と実地調査も外国人技能実習機構の業務のひとつです。技能実習生を受け入れる企業の技能実習計画を認定したあとも、適切な技能実習が行われているか確認する必要があります。
外国人技能実習機構は、技能実習が適切に行われているか確認するために技能実習実施者や監理団体に報告要求と実地調査を依頼しています。
技能実習生を受け入れる企業が技能実習計画に沿った実習が適切に行われていないと判明した場合は、国から改善命令を受けたり、技能実習計画の認定を取り消されることもあります。
実習実施者の届出受理
外国人技能実習機構は技能実習実施者の届出受理も行っています。外国人技能実習生を受け入れる企業の実習実施者は、技能実習が開始されると外国人技能実習機構に報告するための実習実施者届出書を提出する必要があります。
外国人技能実習機構は実習実施者届出書を受理し、実習実施者届出受理書を実習実施者に渡します。実習実施者は実習実施者届出書の提出を忘れずに行いましょう。
監理団体の許可に関する検査
監理団体の許可に関する検査も外国人技能実習機構の業務です。技能実習生を受け入れる企業に代わって手続きをサポートするのが、監理団体です。監理団体には協同組合や商工会議所、職業訓練法人や公益社団法人があります。
監理団体の事業には特定管理事業と一般管理事業があり、監理できる実習区分や許可の有効期間が異なります。監理団体として認められるには、外国人技能実習機構に申請して認可を受ける必要があります。
技能実習生からの相談・援助
外国人技能実習機構では、技能実習生からの相談や援助も受け付けています。母国を離れ、日本で働く外国人技能実習生には悩みがつきないでしょう。外国人技能実習機構では母国語相談も受けているので安心です。
外国人技能実習機構に相談すれば、受け入れ企業の都合で技能実習が打ち切りとなり、母国に強制送還されることを防ぐこともできます。賃金の未払いやいじめなども外国人技能実習機構に相談すれば対処してくれます。
技能実習者への転籍支援
外国人技能実習機構では、技能実習生への転籍支援も行っています。受け入れ企業側の都合で技能実習の継続が難しくなった場合に、実習先を変更することも可能です。
通常受け入れ企業や監理団体が次の受け入れ企業を確保することになっていますが、簡単に見つからないこともあります。
外国人技能実習機構に相談すれば、転籍支援をサポートしてくれます。技能実習2号から技能実習3号に進む実習生の実習先変更に関する相談も可能です。
技能実習生の調査と研究など
技能実習生の調査や研究も外国人技能実習機構の業務です。外国人技能実習制度は2017年11月1日にスタートした比較的新しい制度なので、外国人技能実習機構が行う調査や研究をもとに制度の改良がなされています。
日本で技能実習を修了した外国人が母国で技術を活用できているか、元技能実習生の帰国後の就職状況なども調査されています。技能実習生だけではなく、受け入れ企業側や監理団体に対しても調査しています。
外国人技能実習機構のある場所
外国人技能実習機構は全ての都道府県にあるわけではありません。外国人技能実習機構は日本に13箇所あります。本部は東京都にあり、地方事務所と厚生労働省、法務省をつなぐ役割を担っています。外国人技能実習機構の地方事務所は次の12箇所です。
- 札幌
- 仙台
- 水戸
- 長野
- 名古屋
- 富山
- 大阪
- 広島
- 高松
- 松山
- 福岡
- 熊本
外国人技能実習機構がない都道府県でも、技能実習生雇用のサポートはしてもらえます。支所によって担当する都道府県が異なるので、外国人技能実習機構のホームページで確認しましょう。
外国人技能実習機構への相談は来所ではなく、郵送や電話でも可能です。自社のある都道府県に外国人技能実習機構がなくてもサポートが受けられないわけではありません。
技能実習計画にかかる費用
外国人技能実習機構に技能実習計画の認定をしてもらうには、費用が発生します。技能実習生1名につき技能実習計画が1件必要です。技能実習計画を外国人技能実習機構に認定してもらうには、1件につき3,900円の手数料がかかります。
技能実習計画は外国人技能実習機構のホームページからダウンロードして作成します。厚生労働省のホームページには技能実習計画の記入例が職種別に紹介されているので参考にしましょう。
技能実習計画の認定は申請するたびに手数料がかかるため、1発で審査に通るように準備はしっかり行ってください。
外国人技能実習機構を活用するメリット
外国人技能実習機構は、外国人技能実習生を受け入れたい企業のサポートをしてくれます。受け入れ企業にとって外国人技能実習機構を活用するメリットは次のようなものがあります。
- 外国人技能実習制度の複雑な手続きをサポートしてくれる
- 外国人技能実習制度に関するあらゆる情報を取得できる
- 外国人実習生の受け入れが難しくなったときに受け入れ先を共に探してくれる
このように外国人技能実習機構は外国人技能実習制度を活用する企業にとって必要不可欠な機関です。
【まとめ】外国人技能実習機構を活用して技能実習生の雇用をスムーズに行おう
ここまで、外国人技能実習機構とは何をするところなのか、業務内容や活用するメリットを解説してきました。外国人技能実習機構は外国人技能実習制度がより活用されるように、実習生受け入れ企業や技能実習生をサポートする機関です。
外国人技能実習生の受け入れを検討している企業の中には、複雑な手続きを前に躊躇しているところもあるかもしれません。
外国人技能実習機構を活用すれば、手続きから実習開始後のサポートまで行ってくれます。外国人技能実習機構を活用して、技能実習生の雇用をスムーズに行いましょう。
OTIT 外国人技能実習機構
https://www.otit.go.jp/
Human Village 外国人技能実習機構(OTIT)とは【その役割や業務について】
https://www.hng.co.jp/humanvillage/2020/06/29/otit/
技能実習生.jp 外国人技能実習機構ってなに?外国人技能実習機構を分かりやすく解説
https://xn--rbtx3nwrr97jxmb.jp/%E5%A4%96%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E6%8A%80%E8%83%BD%E5%AE%9F%E7%BF%92%E5%88%B6%E5%BA%A6/organization-for-technical-intern-training/
グローバル採用ナビ 外国人技能実習機構(OTIT)の役割は?【手数料・評判・監査について】
https://global-saiyou.com/column/view/otit