技能実習生とのトラブルを避けるには?過去事例をもとに問題点と防止法を解説

日本では、少子高齢化による労働者人口の減少が深刻化しています。外国人の雇用は人手不足解消の手がかりともなります。特に技能実習生として日本で働くことを希望する外国人は、意欲的な人材が多いのでおすすめです。

しかし外国人材の雇用はメリットばかりではありません。日本とは異なる環境・文化・習慣があるため、トラブルが起きることもあります。技能実習生とのトラブルはどのようなことがあるのでしょうか。

本記事ではトラブルがなぜ起きてしまうのか、トラブルを防止するにはどうすればいいのかを解説していきます。

技能実習生とのトラブルとは

技能実習生とのトラブルは、異なる環境・文化・習慣で過ごしてきただけにある程度は仕方のないことかもしれません。日本人労働者と外国人労働者は国民性や価値観、宗教の違いもあるため、完全にわかりあうのは難しいでしょう。

さらに言葉の壁と母国を離れて日本で過ごす外国人にとってはかなりのストレスがかかる状況と言えます。初めは意欲的に日本へやってきた外国人材も、モチベーションが下がったりホームシックにかかったりすることも十分あり得ます。

ある程度のぶつかりは仕方がないかもしれませんが、トラブルを小さく収めることは可能です。技能実習生とのトラブルはどのようなものがあり、何が問題点なのかを見ていきましょう。

技能実習生とのトラブル事例4選

技能実習生と受け入れ企業の間で起こるトラブルは、最初は小さな原因が大きく膨れ上がってしまったというものが多いです。技能実習生と受け入れ企業の間でありがちなトラブル事例を4選ご紹介します。

事前に把握しておくことで、該当するトラブルが起こりそうになったときに予測できたり未然に防げたりするかもしれません。各事例を確認しながら、受け入れ企業はどのように対処すべきだったのかを考えましょう。

①失踪

技能実習生とのトラブルでよくあるのが「失踪」です。「失踪」してしまう理由は、日本での生活が合わない、相談する相手がいない、もっと稼げる仕事がしたいなどさまざまです。

技能実習生が来日する前の面接などで、日本と母国の生活環境や習慣、文化の違いを念入りに説明するものの、いざ経験すると逃げ出してしまう外国人材も多いです。イメージのギャップが大きければ大きいほど失踪に繋がってしまいやすいです。

②帰国

失踪とは少し異なり、「帰国」というトラブルもあります。技能実習生も受け入れ期間ずっと母国に帰れないわけではありません。長期休暇などで母国に一時帰国する外国人はいます。しかし、それがきっかけで日本に戻って来なくなるケースがあります。

母国を離れて日本で働くうちにホームシックとなり、さらに日本での思い出が苦しいことばかりだと戻って来たくなくなるのかもしれません。失踪とは違って居場所がわかる分まだ安心ですが、せっかく受け入れたので回避したいですよね。

③病気

技能実習生は面接後と入国前の2度現地で健康診断を行います。このタイミングで病気が見つかり、来日できないというケースもあります。医療や衛生制度が整っていない発展途上国では、若い人も深刻な病気になってしまうことが多いです。

また、来日してよく働いていたもののホームシックやストレスで病気になってしまうこともあります。受け入れ企業は技能実習生のメンタル・ヘルスケアも徹底する必要があります。

④喧嘩

技能実習生のトラブルの中には喧嘩もよく見られます。これは、技能実習生と日本人との喧嘩というより、技能実習生同士の喧嘩です。国が違えば文化や考え方も違います。もちろん合わない相手もいるでしょう。

修復不可能な喧嘩にまで発展すれば、最悪どちらかが帰国するという事態にもなりかねません。寮は一人部屋にして、心が落ち着く時間を持たせるのがおすすめです。

技能実習制度の問題点

技能実習生と受け入れ企業の間に起こるトラブルを未然に防ぐためには、技能実習制度の抱える問題点を洗い出すことが大切です。多様性が受け入れられる社会にはなりつつありますが、外国人労働者を軽視している企業や人がいることは事実です。

外国人労働者を軽視した結果、実際にトラブルの種となり得る問題点をご紹介します。

①低賃金・長時間労働

技能実習制度で問題点としてよく挙がるのが、低賃金・長時間労働です。外国人材であれば安く雇用できるだろうという勘違いをしている企業がまだあるようです。技能実習生は監理団体の研修を終えて受け入れ企業に雇用されると日本の労働関係法令が適用される労働者になります。

賃金は最低賃金以上、労働時間も1日8時間、週40時間以内と決まっています。時間外労働や深夜勤務、休日勤務にはもちろん賃金が支払われなければなりません。中にはこれらが守られていないケースもあるようです。

外国人労働者にとっては過酷な労働環境となり、モチベーションも下がってしまいます。失踪や帰国、病気に繋がってしまってもおかしくはないでしょう。

②暴行・セクハラ

技能実習生に対して暴行・セクハラが行われるという人的被害も実際に起こっています。未だに外国人労働者を軽視している人がいるのでしょう。暴行は立派な犯罪です。外国人労働者であれば、言葉も上手に伝わらないため大丈夫だろうということにはなりません。

これらも技能実習生の失踪や帰国に繋がる可能性があります。母国を離れて心細く日本で働く外国人技能実習生も、このような問題が続けば精神的苦痛を感じるのは当たり前です。

③労災隠し

3つ目の問題点は労災隠しです。これも外国人材を軽視していると言えるでしょう。仕事中にケガをしたにもかかわらず、治療を受けさせてもらえないという状況です。言葉の壁により泣き寝入りする外国人材も多いでしょう。

しかし労災隠しが続くと心身共に苦痛を伴う上、受け入れ企業に不信感が募ります。逃げ出したくなっても仕方ありません。

技能実習生とのトラブルを防止するには

企業にとって人手不足解消にもなる技能実習制度は、発展途上国出身の外国人にとっても、日本で働きながら技術や知識を習得できるため、互いにメリットとなる点が大きいです。しかしせっかく雇用した技能実習生とトラブルになっては意味がありませんよね。

企業は技能実習生との間に起こるトラブルを防ぐために、具体的にどのような対応をすればいいのでしょうか。上記で紹介した技能実習制度の問題点というトラブルの種を、早めに摘めるような防止法を解説します。

①技能実習制度について理解する

技能実習制度について正しく理解することはとても大切です。なんとなくの理解で技能実習生を雇用してしまうとさまざまな問題が起こり得ます。受け入れ企業側も技能実習制度を深く理解し、日本人と平等に外国人材を受け入れることが大事です。

また、雇用主だけではなく他の日本人労働者に対しても定期的に研修を行うのがおすすめです。

②相談しやすい環境をつくる

技能実習生にとって相談しやすい環境をつくるのは、とても大切です。たとえば暴行やセクハラなどは一部の人によって行われているかもしれません。技能実習生が吐き出せる環境を作っておけば実態を見抜くことができ、技能実習生の失踪や途中帰国を未然に防げるでしょう。

その他にも母国を離れて寂しい気持ちや仕事に対する不安など、親身に話を聞いてあげることは技能実習生にとって心の安定に繋がるでしょう。

③実習生の国の文化を理解する

技能実習生としてやってくる外国人材は日本と異なる環境で育ち、文化や習慣、価値観などが異なる人材が多いです。受け入れ側の日本企業も、それをしっかり理解する必要があります。

日本ではたいしたことがない言動も、外国人材にとってはタブー視されることもあるかもしれません。受け入れる外国人材の国文化についてはしっかり把握しておく必要があります。事業主だけではなく、日本人労働者に対しても研修などを行い理解を深めてもらいましょう。

【まとめ】技能実習生と上手く共生して採用課題を解決しよう!

技能実習生の雇用は、外国人材にも受け入れ企業にもメリットが多いです。しかし、文化や習慣、価値観の違いによって誤解やすれ違いを招く恐れもあります。せっかく受け入れた技能実習生とのトラブルを回避するためにも、技能実習生の国文化を理解することも大切です。

技能実習生と受け入れ企業が互いに歩み寄ることでトラブルは回避できます。技能実習生と上手く共存して採用課題をスムーズに解決しましょう。

Global HR Magazine 技能実習生トラブル事例~不幸な事態を防ぐために知っておきたいリスクと対策~

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企業単独型移行支援&技能実習ビザ請負センター 技能実習生のトラブル事例5選

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ベリーベスト 法律事務所 金沢オフィス 実習先とのトラブルが頻発!外国人技能実習制度の問題点と解決方法とは?

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グローバル採用ナビ 技能実習生のトラブルの現状とその事例【寮・生活・失踪の解決方法も解説】

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