外国人技能実習生の給与は労働関係の法律によって守られている

外国人技能実習生とは技能実習制度で日本に来ている外国人を指しますが、支払われる給与は日本人と同様に労働関係の法律によって守られています。

しかし、労働関係の法律で守られているのと同様に、給与から支払うべき項目も存在しているため注意が必要です。

今回は外国人技能実習生の給与や支払うべき項目について解説をするので参考にしてみてください。

技能実習生は技能実習制度で日本に来て事業に従事している

技能実習制度とは自分の国では身に付けるのが難しい技能を日本で身に付けて、本国に帰った後に日本で学んだ技能を活かして経済発展に貢献するのが目的です。

外国人技能実習生は、日本で受け入れをおこなっている企業で働きながら技能を学びます。受け入れ企業は、外国人技能実習生が正しく技能を身に着けられるような指導をおこないます。

受け入れ企業と外国人技能実習生は雇用契約を結んで働き、最長で5年間日本での技能習得を目指しながら事業に従事をするのが技能実習制度です。

将来的には本国へ身に付けた技能を持ち帰って、周りの人間に指導をしていけばさらに技術力は高まっていくと予測されています。

日本は国際協力の一環として技能実習制度をおこなっており、積極的に外国人技能実習生を受け入れて経済発展に貢献をしているといえるでしょう。

技能実習生であっても最低賃金は守られる

受け入れ企業と雇用契約を結んでいるため、技能実習生であっても日本の法律で定められている最低賃金は守られています。

また、最低賃金だけでなく他にも日本の企業などで働いている正社員やアルバイト・パートと同様に労働条件に関しても日本の法律の適用対象です。

外国人技能実習生の労働条件などに関して以下の5つについても解説をしていきます。

  • 同一労働同一賃金も適用される
  • 36協定に基づいて残業もできる
  • 残業をした場合は残業代が発生する
  • 賞与に関しては受け入れ企業に判断が任されている
  • 中には最低賃金を違反している企業もある

同一労働同一賃金も適用される

同一労働同一賃金とは同じ仕事をしている人間には同じ賃金を支払うものとされていて、正規雇用と非正規雇用で賃金格差が生まれないようにしているものです。

不合理な待遇差を生み出すのを防ぐために制定されており、外国人技能実習生であっても同一労働同一賃金は適用がされます。

注意点としては同一労働であるかどうかの判断には責任の重さなども含まれているため、同じ仕事をしていても責任が重い方が賃金が高くなるのは問題がありません。

36協定に基づいて残業もできる

36協定は外国人技能実習生との間でも締結ができ、36協定を結んでいれば労働基準法で定められている1日8時間・週40時間の規定労働時間を越えての労働ができます。

ただし、36協定を結んだからといってどれだけ働いても良いわけではなく、原則としては月45時間・年間360時間までしか残業はできません。

日本人労働者と同様に外国人技能実習生も36協定の範囲であれば残業ができますが、最大残業時間を越えないように注意が必要です。

残業をした場合は残業代が発生する

36協定を結んでおけば残業ができますが、外国人技能実習生であっても残業をした場合には残業代を支払わなければいけません。

残業代に関しては通常支払っている時間給の25%以上の割増賃金が定められています。25%以上であれば何%でも問題がない一方で、25%未満の割増賃金では法律違反となってしまいます。

賞与に関しては受け入れ企業に判断が任されている

賞与に関しては受け入れ企業に判断が任されているため、外国人技能実習生によっては賞与がもらえる人もいればもらえない人もいるでしょう。

給与は毎月支払う義務がありますが、賞与に関しては支払い義務が存在していないので支払いをしなくても問題ありません。

また賞与の支払いをする場合でも、一般常識の範囲内であれば、金額に関しても受け入れ企業に判断が任されています。

中には最低賃金を違反している企業もある

受け入れ企業の中には外国人技能実習生が日本語がわからないのを良いことに、最低賃金を違反している企業も残念ながら一定数はいるのが現状です。

違反をしないように労働基準監督署も調査をおこなっていますが、軽いものから重いものまでを含めると半数以上が労働基準関連法違反をしているのがわかりました。

本来であれば労働基準関連法に則って受け入れをしなければならず、それぞれの受け入れ企業が法令遵守の意識を持たなければいけません。

技能実習生が給与から支払わなければならない項目とは

外国人技能実習生も給与から支払わなければならない項目があるため、総支給額と手取り金額には相違が生まれます。以下の3つが給与から支払わなければならない項目です。

  • 国民年金と厚生年金
  • 国民健康保険もしくは企業による健康保険
  • 雇用保険

内容によっては企業側が手続きをしなければならない場合もあるため注意が必要です。

国民年金と厚生年金

技能実習生であっても日本の公的年金制度には加入が義務付けられていて、受け入れ企業が厚生年金保険の適用事業者であるなら受け入れ企業が手続きをしなければいけません

一方で受け入れ企業が厚生年金保険の適用事業者でないなら、外国人技能実習生が自分で国民年金の加入手続きをします。

事業に従事する前の入国後研修を受けている段階では国民年金に加入していますが、所得が少ないなどの理由で免除制度が利用できるケースが多いです。

また、外国人技能実習生は最長でも5年間しか事業に従事ができないため、帰国する場合には脱退一時金を受け取れるかもしれません。

脱退一時金について詳しく知りたい場合は、管轄の年金事務所に相談をするのがおすすめです。

国民健康保険もしくは企業による健康保険

国民健康保険もしくは企業による健康保険のどちらかに加入義務があり、入国後研修時点では国民健康保険に加入をしています。

その後に受け入れ企業で事業に従事を始めた段階で、企業による健康保険への加入手続きをおこなうのが一般的な流れです。外国人技能実習生が配属された後の保険料は、外国人技能実習生と受け入れ企業で折半となっています。

国民健康保険もしくは企業による健康保険に加入をしておけば、日本でケガや病気をした際にも保険適用になるため大切です。

雇用保険

雇用保険は労働者の意思は関係なく、労働者を一人でも雇用している企業などでは対象となっているので注意してください。

雇用保険の目的としては労働者が失業をした際や、ケガや病気などによって継続的に事業に従事するのが難しくなった際に生活の安定・新しい雇用を実現するための保険です。

失業給付や傷病手当金などによって働いていなくても、毎月決まった金額が手元に給付されます。

実際に自分が適用されるまでは雇用保険の恩恵がわかりませんが、万が一ケガや病気などで働けなくなった場合にはセーフティーネットとしての役割を果たすといえるでしょう。

賃金未払いなどをすれば受け入れ企業は処罰の対象になる

賃金未払いなどをすれば受け入れ企業は処罰の対象になるため、受け入れ企業はしっかりと外国人技能実習生に対しての労働基準関連法を守らなければいけません。賃金未払いだけでなく、長時間労働や同一労働同一賃金違反なども処罰の対象になります。

現状では受け入れ企業で労働基準関連法違反をしている先も多く、労働基準監督署なども違反が発生しないように注意をしていますが、それぞれの受け入れ企業がしっかりと労働基準関連法違反を守るのが大切です。

【まとめ】技能実習生は他の社員と同様に法律で守られている

外国人技能実習生は他の社員と同様に法律で守られています。本国では身に付けられない技能をしっかりと身に付けられるように受け入れ企業はしっかりとサポートをしなければいけません。

外国人技能実習生の目的は日本で技能を身に付けて、本国で経済発展に貢献することですが、日本で働いている間は日本の労働基準関連法が適用されます。

そのため、受け入れ企業が賃金未払いや労働基準関連法違反をしていると処罰の対象になります。そうならないために、法律に基づき、外国人技能実習生に対して、正当な給与を支払いましょう。

株式会社Joh Abroad 【2022年最新版】技能実習生の給与の手取り額は?外国人労働者の受け入れの今後は?

https://joh-abroad.jp/%E3%80%902022%E5%B9%B4%E6%9C%80%E6%96%B0%E7%89%88%E3%80%91%E6%8A%80%E8%83%BD%E5%AE%9F%E7%BF%92%E7%94%9F%E3%81%AE%E7%B5%A6%E4%B8%8E%E3%81%AE%E6%89%8B%E5%8F%96%E3%82%8A%E9%A1%8D%E3%81%AF%EF%BC%9F/

海外人材TIMES 技能実習生の保険・年金・給与はどうなっている?

https://kjtimes.jp/recruit/technical-intern-training/0046/

CDPジャパン 外国人技能実習生の雇用保険・健康保険はどうしたらいい?外国人に対する保険制度まとめ

https://www.cdpjp.com/column/ginoujisshuusei-hoken/

慶寿のブログ 技能実習生に支払われるべき給与と手取り額について

https://keisu.jp/weblog/ginoujissyuu-salary/

Jinjer Blog 外国人技能実習生の労働時間の上限について注意すべきこと

https://hcm-jinjer.com/blog/kintai/foreigntechnicalinterns_attendance/