産業機械製造業は労働力不足が深刻な業界であり、日本人労働者を求人してもなかなか充足しないのが現状です。
日本政府は労働力不足を解消する目的で特定技能制度を整備して、積極的に外国人材に日本で働いてもらえるような対策をおこなっています。
ただし、特定技能で外国人材を受け入れるには環境を整備して、さまざまな面からサポートすることが大切です。
目次
産業機械製造業について
産業機械製造業は就労可能な職種が18種類あります。しかし、外国人材はどれでも働けるわけではありません。
詳しくは後述しますが、基本的には試験に対応している業務しか従事できないため、雇用を視野に入れている企業は受け入れるための条件についても理解しておかなければなりません。
自分たちの企業でおこなっている業務内容と、外国人材が従事できる業務については特に注意するようにしましょう。
また、従事する場合には主になっている業務と付随する業務がありますが、付随する業務は主になっている業務よりも多く取り組むことは認められません。
外国人材を雇用するなら主になっている業務を多く割り当てて、付随する業務の割合を少なくすることが大切です。
産業機械製造業の職種
産業機械製造業の職種は以下の18種類になっています。
- 鋳造
- 鍛造
- ダイカスト
- 機械加工
- 金属プレス加工
- 鉄工
- 工場板金
- メッキ
- 仕上げ
- 機械検査
- 機械保全
- 電子機器組み立て
- 電気機器組み立て
- プリント配線板製造
- プラスチック成形
- 塗装
- 溶接
- 工場包装
これらの職種に適している試験に合格すると技能実習から移行する外国人材の雇用が可能となります。
産業機械製造業での受け入れ方法
産業機械製造業での受け入れ方法は、特定技能で外国人材を受け入れた後に外国人材協議会と連絡会へ加入が求められます。
特定技能によって外国人材を受け入れる方法として、技能実習生からの切り替え、試験に合格した外国人材を雇用する2つが代表的です。
どちらの方法で雇用するにしても、受け入れ条件を満たさなければならないため、受け入れる企業側は制度について理解しておきましょう。
受け入れ方法について解説するので参考にしてみてください。
製造業特定技能外国人協議会、連絡会へ加入
製造業特定技能外国人協議会と連絡会へ加入しなければなりません。協議会と連絡会では、構成員同士の連携強化や情報交換などが目的です。
製造業特定技能外国人協議会、連絡会の活動内容として、産業機械製造業で外国人材を受け入れた優良事例の周知があります。
他にも受け入れ企業に対して法律を守るように告知したり、特定技能外国人受け入れの課題や情報を共有したりさまざまな活動をおこなっているのが特徴です。
加入するタイミングは、はじめて特定技能外国人を雇用してから4か月以内に必要書類を揃えて提出するようにしましょう。
2人目以降を追加で雇用した場合なら、すでに加入しているので手続きは必要ありません。
技能実習生からの切り替えが現状では多い
産業機械製造業では技能実習生からの切り替えが多く、現在日本にて特定技能で働いている外国人材もほとんどが切り替えているといえるでしょう。
技能実習生からの切り替えのケースではすでに現場レベルで働いており、特定技能に切り替えた後でも即戦力としての期待ができます。
技能実習2号を問題なく終了できた場合は、無試験で特定技能の資格を取得できるのが特徴です。
本来であれば技能実習が終了すれば帰国しなければならないが、特定技能へ移行すれば最長5年間滞在期間が長くなります。
現状では特定技産業機械製造業による滞在期間は5年ですが、将来的には一定の条件を満たせば滞在期間が無期限になるかもしれません。
技能試験と日本語試験に合格した外国人材を雇用する
技能試験と日本語試験に合格した外国人材を雇用する方法もあり、合格した技術試験内容のみ従事できます。
受け入れ企業側は自分たちの業務内容をしっかりと把握して、対応している技術試験に合格した外国人材を雇用するように注意しましょう。
ただし、産業機械製造業において技術試験は開催回数が少なく、試験によって特定技能を獲得した外国人材はほとんどいません。
日本語試験は他の特定技能でもおこなうため、定期的に開催されていますが必要になる条件を試験で満たすことは難しいです。
労働力不足を積極的に解消する目的で試験回数が多くなる可能性もありますが、過度に期待をせずに雇用を視野に入れているなら他の方法での雇用がオススメでしょう。
外国人材を雇用するなら環境を整備しよう
外国人材を雇用するなら環境の整備も重要であり、特定技能を視野に入れて考えるなら先に環境を整備しなければなりません。
理由としては特定技能で外国人材を受け入れるための条件として、受け入れるための環境がしっかりと整備されているかどうかが挙げられます。
また、受け入れられるように最低限の環境を整えればいいわけではなく、安心して日本で働けるようなサポートも大切です。
外国人材を雇用する場合の注意点などについて解説するので参考にしてみてください。
日本人労働者と同様の待遇で直接雇用
特定技能外国人は日本人労働者と同様の待遇で直接雇用する必要がありますが、同様の待遇とは給与面だけではありません。
給与面以外の待遇として挙げられるものは、労働時間、休憩時間、休日、各種手当などになります。
給与面では同等の業務に従事している日本人労働者と比較した際に、同水準の給与が支払われることが条件です。
また、特定技能外国人も残業しても問題ありませんが、残業をさせるなら36協定を締結して労働基準監督署へ提出します。
基本的な考え方として特定技能外国人であっても、日本人労働者であっても同等の待遇で大切な従業員として扱うことが大切です。
もし、労働基準監督署などの調査によって待遇に格差が認められれば、企業側は法律違反として罰則対象になります。
仕事以外の衣食住などもサポートする
特定技能外国人は自分が生まれ育った国以外で働くため、仕事以外の部分でも不安や悩みを抱えていることが多いです。
そのため、仕事面だけ面倒を見ればいいと考えるのではなく、仕事以外の衣食住などもサポートします。
日本で生まれ育った私たちには当たり前のことでも、他の国で生まれ育っている場合にはカルチャーショックを受けるケースも珍しくありません。
企業として特定技能外国を受け入れるなら、安心して暮らせるような一人暮らし用の住居提供なども大切です。
他にも市役所などへの書類提出や日用品の買い物などにも最初は同行して、安心して日本で働いて生活ができるようにサポートしましょう。
特定技能外国人は転職もできる
特定技能外国人は転職も認められているため、あまりにも労働条件が悪いと転職を視野に入れて考えるかもしれません。
転職するには同業種、同職種などの条件もありますが、条件面やタイミングが合って転職してしまう可能性もあります。
受け入れ企業側として転職してもらいたくない場合は、普段からしっかりとコミュニケーションを取ることが大切です。
先述したように仕事面だけコミュニケーションを取るのではなく、仕事以外の部分でもサポートできるような体制を整えておきましょう。
反対に他の受け入れ企業から転職したいと相談を受ける可能性もあるため、そうなった場合には相手企業とも話し合いの場を設けるなどの対策も必要です。
まとめ
産業機械製造業は人手不足が深刻化している業界であり、特定技能外国人によって解決ができると考えられています。
特定技能制度は2019年4月に導入されたため、これから制度が変わっていく可能性も高いです。
将来的に無期限での特定技能外国人の受け入れができるようになれば、継続的に労働力不足が解消できるようになるかもしれません。
ただし、受け入れ企業としてはしっかりと制度について把握し、特定技能外国人が働きやすい環境に整えることが大切です。
<参考記事>
特定技能Online 特定技能「産業機械製造業」|外国人を雇用するために必要な準備・ステップ・注意点とは?
https://tokuteiginou-online.com/column/sangyokikaiseizo/
Japan Job School 特定技能「産業機械製造業」とは?どこよりもわかりやすく解説!
https://corp-japanjobschool.com/waht-sangyoukikai
dnus 特定技能「産業機械製造業」とは?職種から受け入れ方法まで詳しく解説
https://dnus.jp/articles/258