飲食料品製造業では、お惣菜やお菓子だけでなく、缶詰や調味料などの「食」に関するあらゆるものが作られています。しかし、現在は深刻な人手不足によって、特定技能による外国人労働者の受け入れも促進されているのが現状です。
そこで今回は、特定技能における飲食料品製造業の概要や業務内容、受け入れ時の要件についてご紹介します。これから、外国人の受け入れを検討している方はぜひ参考にしてみてください。
目次
特定技能における飲食料品製造業とは
ここでは、特定技能における飲食料品製造業の概要や現状についてご紹介します。
飲食料品製造業の概要
飲食料品製造業とは、酒類を除いた飲食料品の製造や加工、安全衛生などの飲食料品の製造における全般業務に従事する外国人材のための資格を言います。現在、あらゆる産業分野において、少子高齢化に伴う労働力不足が懸念されています。
そのなかでも、飲食料品製造業への影響は非常に深刻な問題です。厚生労働省の雇用動向調査によると、2017年度の有効求人倍率は、全産業の平均が1.54%なのに対し、飲食料品製造業では2.78%と大きく上回っていることがわかります。
また、同業界において充足できていない人員をあらわす欠員率は、3.2%にも達しています。そこで、この問題を解決する方法のひとつとして注目されているのが、飲食料品製造業における外国人材の採用です。
*参考 飲食料品製造業分野における 外国人材受入れ拡大について
飲食料品製造業の現状
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、海外からの入国や日本からの出国が大きく制限されています。そのため、技能実習として来日していた外国人材が実習期間終了後も母国に帰れないといった事態が生じ、特定技能に切り替えて日本で働くことを希望する方も増えているのが現状です。
また、企業側も入国制限によって新たな技能実習生を受け入れられなくなったことから、研修中の技能実習生に働いてもらうといった需要があります。このような背景によって、これまでの特定技能外国人にくわえ、技能実習からの移行組が入り飲食料品の製造に従事したり、従事を希望したりする外国人が急増しているのです。
さらに、飲食料品製造業では特定技能設立の2019年から5年間で、最大3万4,000人の外国人受け入れを予定しています。
飲食料品製造業で特定技能外国人が働く際の業務内容
ここでは、飲食料品製造業で特定技能外国人が働く際の業務内容についてご紹介します。
飲食料品製造業全般が対象
特定技能外国人が従事できる業務は、酒類を除いた飲食料品の製造や加工、安全衛生などによる印食料品製造業全般が対象です。また、同じ業務に従事している日本人がおこなう清掃や事務所管理による関連業務の従事も可能となります。
具体的には、以下の7つの業務が対象です。
- 食料品製造業
- 清涼飲料製造業
- 清涼飲料以外の茶・コーヒー製造業
- 製氷業
- パン小売業
- 菓子小売業
- 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業
このように、小売りと製造を一体的におこなっている菓子やパン製造小売や、豆腐・かまぼこ等加工食品小売業なども対象となります。そのため、街中のパン屋さんにおいても、特定技能制度の活用が可能です。また、飲食料品製造の関連業務として、調達や納品、受け入れや清掃などの業務にも従事できます。
さらに、飲食料品製造業分野の対象となるかどうかについては、製造を主とする業務であることがポイントとなります。たとえば、お弁当屋さんでお弁当やお惣菜を製造して、小売業者に卸売りしているような場合は、特定技能の対象です。
しかし、持ち帰りのお惣菜やテイクアウト弁当で、個人顧客の注文に応じて調理したり販売したりする場合は、「外食分野」の対象となるため注意しておきましょう。そのほか、別会社で作られたお弁当を仕入れて店舗で販売する形の場合は、小売業に該当することから特定技能制度の対象にはなりません。
細分化
食料品製造業は、さらに以下のように細分化されます。
- 畜産食料品製造業
- 水産食料品製造業
- 果実缶詰
- 野菜缶詰
- 農産保存食料品製造業
- 調味料製造業
- 糖類製造業
- パン・菓子製造業
- 精穀・製粉業
- 動植物油脂製造業
- その他の食料品製造業
その他の食料品製造業には、でんぷんや麺類、豆腐・油揚げやあん類、冷凍食品などが該当します。そのほか、惣菜やすし・弁当・調理パン、レトルト食品なども含まれます。
対象外となるもの
幅広い分野での受け入れが認められている一方で、対象外となるものも存在します。
- 酒類製造業
- 飲食料品小売業
- 飲食料品卸売業
- 塩製造業
- 医療品製造業
- 香料製造業
- ペットフードの製造
このように、上記の製造は対象外となるため注意が必要です。
飲食料品製造業で特定技能外国人を受け入れる際の要件
ここでは、飲食料品製造業で特定技能外国人を受け入れる際の3つの条件についてご紹介します。
適切な雇用契約であること
採用決定後は、特定技能労働者と適切な契約を結ばなければなりません。
とくに、報酬を含む福利厚生や待遇面においては、同業の日本人と同等以上にすることが決められています。外国人であることを理由とする差別的扱いは禁止されているため、注意が必要です。
実際に、外国人を低賃金で雇用したことによって、社会問題となりました。特定技能外国人の受け入れを検討している企業は、安く雇えるといった認識でいると、トラブルにつながる可能性があるため注意しておきましょう。
そのため、グローバル人材として日本人労働者と同等といった認識を持っておく必要があります。
適切な支援をおこなうこと
特定技能外国人を受け入れる際は、その後の支援も法律で義務付けられています。
入国前に契約や活動内容を提示し、出入国時の送迎や生活支援、知識・情報提供など内容は多岐にわたります。こういった支援を、理解できる言語でおこなわなければなりません。
そのため、企業側が支援体制を整えるか、登録支援機関に委託する必要があることを覚えておくとよいでしょう。
協議会へ加入していること
受け入れ企業は、特定技能外国人を受け入れてから4か月以内に「食品産業特定技能競技会」の構成員に加入しなければなりません。
企業同士の情報共有や不正予防、受け入れ状況の把握を目的に、農林水産省が運営しています。懸念される点としては、特定技能労働者が大都市圏に集中する恐れのあることが挙げられます。
協議会は、全国の人材状況を把握したうえで、制度関係機関や外食業界の団体などとも連携し、地方の人手不足にも対応する役割もあるのです。
まとめ|特定技能取得で幅広く働ける飲食料品製造業
今回は、特定技能における飲食料品製造業の概要や業務内容、受け入れ時の要件についてご紹介しました。
飲食料品の製造や加工、安全衛生などの飲食料品の製造における全般業務に従事する外国人材のための資格を、飲食料品製造業と言います。
業務内容は、主に飲食料品製造業全般が対象となりますが、酒類などは対象外です。一方、持ち帰りのお惣菜やテイクアウト弁当で、個人顧客の注文に応じて調理したり販売したりする場合は、「外食分野」の対象となる点に注意が必要です。
受け入れ時の要件としては、適切な雇用契約かつ支援、協議会への加入が必要となります。特定技能外国人の受け入れを検討している企業は、低賃金で雇用することによってトラブルに発展する可能性もあるため注意しておきましょう。
【参考記事】
特定技能Online 特定技能「飲食料品製造業」制度のポイントとおススメの人材会社を紹介
https://tokuteiginou-online.com/column/inshoku2/
外国人採用サポネット 特定技能「飲食料品製造業」を徹底解説!なぜ需要拡大している?
https://global-saponet.mgl.mynavi.jp/visa/4602
Global HR Magazine 飲食料品製造業で特定技能外国人を採用するには?
https://global-hr.lift-group.co.jp/98
MYANMAR UNITY 特定技能「飲食料品製造業」|外国人をで雇用するための要件
https://www.myanmarunity.jp/tokutei_ginou/19276/