特定技能でフィリピン人を雇用する方法や注意すべき点を解説!

2019年に新設された「特定技能制度」は、人材不足の深刻化に対応するために、海外からの優秀な人材受け入れを促進するための制度です。

とくにフィリピン人は、日本と比べ国民の平均年齢も若く、働き手確保のための魅力的な国とも言えるでしょう。国民性もホスピタリティにあふれており、親日国でもあり日本との親和性が期待できます。

しかし、受け入れにはさまざまな手続きが必要で、フィリピン独自の手続きも存在します。ここでは、特定技能制度でフィリピン人を受け入れるために必要な手続きや、注意すべき点をご紹介します。

日本で働くフィリピン人の現状

まずは、現在フィリピン人が日本でどれだけ活躍しているのかを見ていきましょう。

フィリピン人の現状

人材不足が深刻化する日本において、海外からの優秀な人材確保は国をあげての政策となっており、その人数も年々増加の一途をたどっています。

厚生労働省の統計(2022年10月現在)によると、外国人労働者は182万2,725人と、届出が義務化された2007年以降過去最高を更新しました。

国籍別での内訳は、ベトナムが46万2,384人と最も多く、続いて中国の38万5,848人、そして3番目がフィリピンの20万6,050人となっており、フィリピン人が1割以上を占めています。

特定技能を持つフィリピン人はどれくらいいるか

出入国在留管理庁の統計(2022年12月末現在)で、特定技能1号の資格を持つフィリピン人は、1万3,214人で外国人労働者数と比例して、ベトナム・中国についで多くなっています。

従事している産業別で見ると、一番多いのが造船分野、ついで電子情報産業分野、ついで介護分野となっています。とくに造船分野では全体の半数以上がフィリピン人となっています。

フィリピン人の特徴

フィリピン人には以下のような特徴があると言われています。

  1. ポジティブな考え方を持っている国民性
  2. 海外で働くことに抵抗が少ない
  3. 仕事を求める若い人材が多い
  4. 日本に対して友好的
  5. 英語が堪能

それぞれの特徴について、解説していきます。

ポジティブな考え方を持っている国民性

フィリピン人は、明るくフレンドリーな国民性を持ち「アジアのラテン」とも表現されるほどです。ホスピタリティ精神にあふれ、コミュニケーション能力の高い人が多いと言われています。

海外で働くことに抵抗が少ない国民性

家族を大事にする気持ちが強いことから、海外で働いて家族のために少しでも多くの 収入を得たいという考えを持つ人が多いのも特徴です。そのため海外での労働に対して積極的な気持ちを持ち、意欲的な人材を確保できる可能性が高い国といえるでしょう。

海外で働くことに抵抗が少ない国民性

家族を大事にする気持ちが強いことから、海外で働いて家族のために少しでも多くの 収入を得たいという考えを持つ人が多いのも特徴です。そのため海外での労働に対して積極的な気持ちを持ち、意欲的な人材を確保できる可能性が高い国といえるでしょう。

仕事を求める若い人も多く存在

高齢化が進む日本とは対照的に、フィリピンでの人口平均年齢は20代と人口に占める若年層の占める割合が高いです。若くて今後しっかり働き、技術や知識を身につけたいと考える人材を確保出来る国であると言えます。

日本に対して友好的

そもそもフィリピンは日本に対して友好的な国で、好感度調査でも日本が好きという人が多いという結果も出ています。

フィリピンを訪れた日本人に対してもフレンドリーで、日本食を提供する店も多く見受けられます。日本とフィリピンは、貿易やインフラ整備などでのパイプも太く、協力関係が築けている国のひとつです。

英語が堪能

公用語のタガログ語と同じくらい英語を使う場面が多いのがフィリピンです。学校教育の現場でも英語が使われることが多く、授業自体を英語で行うプログラムもあります。

日本から英語を学ぶためにフィリピンを留学先に選ぶ人も少なくありません。そのため、フィリピンには英語に長けた人材が多く存在し、英語圏とのビジネスを進める上でありがたい存在になってくれることが期待できます。

特定技能でフィリピン人を受け入れるには

特定技能でフィリピン人を受け入れるには、独自の要件があります。ここでは、その要件を踏まえ、フィリピン人を受け入れる際の流れについて、解説します。

受け入れるための要件

海外からの労働者を受け入れるには、さまざまな手続きが必要ですがフィリピンからの労働者の受け入れには、独特のルールがあります。

雇用する前に企業側がフィリピン海外雇用庁(POEA)に受け入れ企業として登録を済ませ、駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所(POLO)から、海外雇用許可証(OEC)の発行をしてもらう必要があります。

この手続きは、企業側が単独で行うことは出来ず、フィリピン認定送出機関との連携が必要だと定められています。

企業側は、どの認定送出機関と契約するのか決めておく必要があります。なお認定送出機関は、出入国在留管理庁のホームページから検索することが出来ます。

国内滞在のフィリピン人を受け入れる場合

すでに、日本に滞在しているフィリピン人を受け入れる場合、フィリピンから呼び寄せる場合と比べ一部の手続きが免除となります。

また、日本の文化や風習などへの理解を持っていることから、スムーズな意思疎通が期待できます。資格取得も日本国内で手続きが進められます。

長期にわたり日本で働きたいという意欲のある留学生や技能実習生に対し、特定技能資格取得を企業が支援し雇用するというのも有効な方法です。

フィリピンから来日し受け入れる場合

フィリピンから来日して受け入れる場合、出来るなら日本滞在歴があり、一度でも面識がある人がよいでしょう。

しかし、日本人採用と同様に、ハローワークや人材紹介会社を通じて、紹介を受けて雇用することも可能です。

ただ雇用については、国内滞在の場合と違って企業側で在日資格認定証明書の交付申請などの手続きが必要です。受け入れに関して必要な手続きの中には登録支援機関を利用して出来るものもあります。

特定技能でフィリピン人を受け入れる際の注意点

特定技能でフィリピン人を受け入れるには、いくつか注意しなければならないポイントがあります。ここでは、注意点を5つご紹介します。

フィリピン海外雇用庁への登録が必要

フィリピン人を受け入れるための独自の手続きとして、海外で働くフィリピン人を守る組織であるフィリピン海外雇用庁(POEA)への登録が必要です。

この登録無くしてフィリピンからの人材を受け入れることは出来ません。必ず手続きを済ませておきましょう。

海外雇用許可書の発行を受ける

フィリピン人の採用が決まったら、フィリピン認定送出機関と連携して、企業は海外で働くために必要な海外雇用許可書(OEC)を駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所(POLO)から発行してもらいます。この許可書がないと来日することが出来ません。

直接雇用の人数制限がある

企業がフィリピンから特定技能資格を持つ人材を受け入れる場合、人数に制限があります。直接雇用の場合、5人までとなっています。これは、日本とフィリピンの2国間での協定で決まっており、順守する必要があります。

受け入れまでのルートと費用負担

フィリピン人の受け入れには、フィリピン認定送出機関と連携して手続きを進めることが必須とされ、この手続きにも費用が発生します。

また、フィリピンからの渡航費や特定技能資格取得のための費用も企業側が負担することになります。手続きを外部に委託する場合はその費用も発生しますので、100万円前後の費用がかかると考えておきましょう。

受け入れのための相談窓口は

フィリピン人に限らず外国人の受け入れのための相談窓口として、全国のハローワークがあります。無料で相談を受け付けてくれ、求人との連携も可能です。

また、フィリピンに特化した人材紹介会社や、法律に熟知し手続きを代行してくれる企業や個人事務所もあります。

自社の人材で対応が難しければ外部委託出来る手続きもありますので、抱え込まず一度相談するのも、手続きをスムーズに進める手立てになります。

まとめ|日本では特定技能のフィリピン人が活躍できる

朗らかで親しみやすく、コミュニケーション能力が高く、教育レベルが高いフィリピン人は、日本でも働き手として歓迎されるでしょう。

また若い人材が多く存在することから、長く定着して働き、優秀な人材としての成長も期待できます。高齢化が進む日本においてシニアの持つ技術や知識を引き継いで、これからの企業の大切な担い手として活躍する場面も増えると期待されます。

高齢化の進む日本だからこそ、ホスピタリティ精神にあふれるフィリピン人に熱い視線が注がれています。

【参考記事】

コンチネンタル国際行政書士事務所 特定技能ビザでフィリピン人を雇用する場合の注意点

https://continental-immigration.com/tokuteigino/philippines/

SUMILEVISAブログ 【完全版】フィリピンから特定技能を受け入れる方必見!POLO/POEA手続きの流れをわかりやすく解説【2023年最新】

https://www.smilevisa.jp/owned-media/philippines-polo/

厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30367.html