介護業界では特定技能外国人に対しての制限が少ないため、幅広い業務に対応してもらうことができます。少子高齢化が進み、介護業界に従事する人口が不足している状況であるため、特定技能外国人を雇用することでこの課題を解決していくことができます。
しかし、介護業界で特定技能外国人を雇用をするためには、定められている試験に合格をするか、決められている経歴を経ているかが必要です。
本記事では、外国人が介護業界で働くためにはどうすればいいか、特定技能外国人を雇用する際のメリットや注意点について、解説をするので参考にしてみてください。
目次
外国人が特定技能「介護」で働くには、試験に合格しなければならない
外国人が介護業界で特定技能して働くためには、合格をしなければなりません。試験としては2種類あり、日本語能力試験と介護技能評価試験の両方に合格をする必要があります。
どちらかだけ合格しても特定技能「介護」として働けないため、どちらの試験に対してもしっかりと対策を立てて勉強をする必要があります。それぞれの試験内容などについても紹介していきます。
日本語能力試験
日本語能力試験では日本で生活をするため、必要最低限の日本語コミュニケーション能力があるかどうかを証明するために必要です。特定技能「介護」では、どうしても一般の日本人とコミュニケーションを取らなければなりません。
日本語能力試験ではN4以上を取得すれば問題ありません。または日本語能力試験以外に、国際交流基金日本語基礎テストのA2を取得しても、日本語コミュニケーション能力が認められます。
介護技能評価試験
介護技能評価試験は、介護業界に対しての十分な知識と技能があるかを確かめることが目的です。学科試験と実技試験の2つあります。
試験問題は、厚生労働省が指定した介護業界で代表的な団体が作成するので、合格できる外国人は十分な知識と技能があるといえるでしょう。
介護技能評価試験では4つのカテゴリーに分類されていて、それぞれの分野に対して学科・実技ともに対策をしておく必要があります。4つのカテゴリーは以下の通りになります。
- 介護の基本
- こころとからだのしくみ
- コミュニケーション技能
- 生活支援技能
どれかのカテゴリーに特化して勉強をするのではなく、バランスよく全カテゴリーを勉強するようしましょう。
経歴によっては試験が免除される
経歴によっては試験の免除が認められますが、試験が免除されるための条件は簡単ではありません。試験が免除される経歴としては以下の3通りが挙げられます。
- 技能実習2号が終了した者
- EPA介護福祉士候補者
- 介護福祉養成課程を修了した者
経歴によって試験が免除されるためには、介護に対して高い知識と技能を持っていると認められる必要があります。上記の3つの経歴を持っている外国人は、十分な知識と技能を持っていると認められ、試験が免除されます。
企業が特定技能介護を選択するメリット
企業が介護業界で特定技能外国人を雇用することは、外国人技能実習制度による技能実習生の受け入れよりもオススメできるポイントがあります。特定技能「介護」を選択するメリットとしては以下の3つが挙げられます。
- 対応できる業務範囲が広い
- 試験があるため介護に対する基本的な知識がある
- 最低限日本語でのコミュニケーションが取れる
介護に対しての基本的な知識や技能を保有している人材なので、即戦力として活躍してもらえる人材の確保ができるでしょう。3つのメリットについても解説をするので参考にしてみてください。
対応できる業務範囲が広い
介護業界での特定技能外国人は、対応できる業務範囲が広いのがメリットとして挙げられます。技能実習生では認められていない業務も任せることが可能です。
基本的には訪問系サービスは対応していませんが、身体介護とそれに付随する支援業務は対応可能です。訪問系サービスには特定技能外国人として雇用した人材には任せられないですが、一人で夜勤などの業務は任せられます。対応できる業務範囲が広いことから、さまざまな場面で活躍できる人材の雇用が可能です。
試験があるため介護に対する基本的な知識がある
介護業界の特定技能外国人は介護技能評価試験に合格しているため、介護に対する基本的な知識と技能を持っています。介護技能評価試験では学科試験と実技試験があり、介護現場で必要になる介護能力は身に付いている状態といえるでしょう。
技能実習生の場合であれば、雇用した企業が技能実習生に対して、介護の知識や技能を身に着けられるように指導しなけばいけません。
これは技能実習生と特定技能外国人で雇用する目的が違い、特定技能では労働力として雇用するのが認められています。
最低限日本語でのコミュニケーションが取れる
特定技能では日本語能力試験の合格が条件として定められているため、日常会話レベルでの日本語でのコミュニケーションが取れるのも大きなメリットです。
介護現場では一般の人を相手にして仕事をしなければならないため、最低限日本語でのコミュニケーションが取れるのは大切といえるでしょう。
日本語能力試験N4では簡単な自分の情報や、身の回りの状況を簡単な言葉で伝えられる能力があるとされます。
企業が特定技能外国人を雇用する際の注意点
企業が特定技能外国人を雇用する際の注意点としては、以下の2つがあります。
- フルタイムの直接雇用であり、日本人労働者と同等の扱いをする
- 受け入れ人数と受け入れ期間が決まっている
特に雇用形態に関しては決められているルールを守らなければ、法的に処罰されてしまうかもしれません。決められているルールは守りながら、受け入れ企業側も特定技能で働く外国人側も安心して働ける環境を整備するのが大切です。
雇用形態はフルタイムの直接雇用
雇用形態はフルタイムの直接雇用だけになっているため、契約社員やアルバイト・パートなどでは雇用ができません。
雇用形態に加えて報酬額に関しても、日本人従業員を同等以上にする必要があり、客観的に見て不平等な報酬にしていると処罰の対象となってしまいます。
他にも労働関係の法律は日本人従業員と同様に適用されるため、36協定を守り、残業分の残業代の支払いもしなければいけません。
原則として日本人と同様の待遇を用意するのが受け入れ企業には求められており、有給休暇や報酬額などには特に注意をしておきましょう。
受け入れ人数と受け入れ期間が決まっている
受け入れ人数と受け入れ期間が決まっているため、無制限に特定技能介護で働く外国人の受け入れはできません。
受け入れ人数に関しては、事業所で働いている日本人の常勤職員数よりも多くはできず、日本人の職員数と特定技能で働く外国人のバランスを見ながら雇用をするのが大切です。
また受け入れ期間に関しても、特定技能の更新をしながら通算5年まで働けます。将来的には勤務できる年数は増えるかもしれませんが、現状では受け入れ人数と受け入れ期間に注意してください。
しかし、受け入れ期間は特定技能介護で働いている間に介護福祉士の資格を取得すれば、在留資格介護になって受け入れ期間の上限がなくなります。必要に応じて介護福祉士の資格を取得できるようにサポートをするのがおすすめです。
内容をしっかりと理解してから受け入れをするのがおすすめ
特定技能は人手不足を解消するのを目的として設立されましたが、介護業界で特定技能として外国人が働くには、介護に対する知識や技能を持っていなければいけません。他にも日本語での日常会話レベルのコミュニケーションが取れる能力も持っています。
技能実習制度でも外国人の受け入れはおこなっていますが、特定技能では即戦力の労働力として外国人の受け入れが可能です。
しかし、どのような状態でも特定技能の受け入れができるわけではなく、受け入れ企業は特定技能を受け入れるための環境を整備しなければいけません。
注意点としては内容をしっかりと理解してから受け入れなければ、自分たちでも思わないルール違反をして処罰の対象になる可能性があります。そうならないためにも内容をしっかりと理解してから、特定技能を受け入れるのがおすすめです。
外国人HR Lab. 介護分野の「特定技能」|受け入れ現状・要件・方法・注意点を詳しく解説
https://gaikokujinhr.jp/2143
外国人採用サポネット 注目の特定技能「介護」は技能実習と何が違う?要件や試験についても解説
https://global-saponet.mgl.mynavi.jp/visa/1986
ビザ申請・帰化申請NAVI 特定技能外国人の待遇や労働条件、労働環境はどうするべき?
https://visanavi-law.com/column-specifiedskilledworker-conditions.html
特定技能Online 特定技能「介護」|外国人を雇用するために必要な準備・ステップ・注意点とは?
https://tokuteiginou-online.com/column/kaigo/#%E2%96%BC%E7%89%B9%E5%AE%9A%E6%8A%80%E8%83%BD%E3%80%8C%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%AF%BE%E8%B1%A1%E8%81%B7%E7%A8%AE%E3%83%BB%E9%9B%87%E7%94%A8%E5%BD%A2%E6%85%8B%E3%83%BB%E4%BB%BB%E3%81%9B%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E6%A5%AD%E5%8B%99%E3%83%BB%E5%A0%B1%E9%85%AC%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6