●在留資格とは
①在留資格とビザ
「在留資格」って言葉を見かけたんだけど、どういう意味なんだろう?
そもそも在留資格とは、外国人が日本に滞在する間に一定の活動を行うことができること、または一定の身分や地位を有する者としての活動を行うことができることを示す入管法上の法的な資格のことです。
ビザの正式名称は「査証」と言い、日本へ入国する前に出される推薦書のことです。海外にある日本大使館・領事館が、日本に入国予定の外国人に発給します。
→外国で発行
在留資格は、入国管理局が定める基準を満たした外国人が、日本に入国することを許可するものです。
→日本で発行
人気の海外旅行先ランキング3位までのビザなしで旅行できる滞在期間を見ていこう。
出典元:人気の海外旅行先ランキング〜秋編〜|海外旅行特集【トラベルコ】
②在留資格の種類
在留資格には、就労関係と身分関係のものがあり全部で29種類あります。
-就労関係
外国人が日本で行う仕事に対して報酬が得られる資格は、例えば中学・高校の語学教師は「教育」、大学の教授は「教授」、俳優や歌手、ダンサーは「興行」等が挙げられます。
活動内容によって異なる在留資格を所持して、日本で就労することができます。「技能実習」もそのうちの一つです。
-身分関係
「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の4つです。
「永住者」とは、原則10年以上継続して日本に在留して、3つの要件を満たす必要があります。ただし、日本人と結婚している場合は3年になります。
「定住者」とは、日系人やその方と結婚(入籍)した方、定住者の実子、日本人や永住者の配偶者の実子(いわゆる連れ子)、日本人や永住者・定住者の6歳未満の養子、中国残留邦人やその親族、難民認定を受けた外国人等、日本人や永住者と結婚(入籍)後3年以上経過して離婚した方などになります。
参考:「永住者」と「定住者」の違いってなに?|株式会社Funtoco
定住者は在留期間に定めがあり、在留資格の更新が必要ですが、就労活動の制限はありませんので、どんな仕事に就くこともできます。
対して定住者は活動に制限はないものの、最長5年っていう在留期限が決まっているんだよ。
②就労できる資格・できない在留資格
就労できる在留資格は、上記での取り上げた「教育」「教授」「興業」「技能実習」も含まれます。それ以外にも、カメラマンや医者、スポーツ指導者等も該当します。
以下の表は、該当する職種や在留期間の一覧です。
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
---|---|---|
外交 | 外国政府の大使、公使、総領事、代表団構成員等及びその家族 | 外交活動の期間 |
公用 | 外国政府の大使館・領事館の職員,国際機関等から公の用務で派遣される者等及びその家族 | 5年/3年/1年/3カ月/30日/15日 |
教授 | 大学教授等 | 5年/3年/1年/3カ月 |
芸術 | 収入を伴う音楽,美術,文学その他の芸術上の活動 | 〃 |
宗教 | 外国の宗教団体により本邦に派遣された宗教家の行う布教その他の宗教上の活動 | 〃 |
報道 | 外国の報道機関の記者,カメラマン | 〃 |
高度専門職第1号イ | 公私の機関との契約に基づいて行う研究,研究の指導又は教育をする活動をする人 | 5年 |
高度専門職第1号ロ | 公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動をする人 | 〃 |
高度専門職第1号ハ | 公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動をする人 | 〃 |
高度専門職第2号 | 高度専門職1号取得者が3年以上在留し、素行が善良であり、かつ 日本国の利益に合致しているなどの要件を満たした場合に認められた人 | 無制限 |
経営・管理 | 企業等の経営者・管理者 | 5年/3年/1年/3カ月 |
法律・会計・業務 | 弁護士,行政書士公認会計士等 | 5年/3年/1年/4カ月/3カ月 |
医療 | 医師,歯科医師,看護師 | 5年/3年/1年/3カ月 |
研究 | 政府関係機関や私企業等の研究者 | 〃 |
教育 | 中学校・高等学校等の語学教師等 | 〃 |
技術・人文・知識 ・国際・業務 | 技術者,通訳,デザイナー,私企業の語学教師,マーケティング業務従事者等 | 〃 |
企業内転勤 | 外国の事業所からの転勤者 | 〃 |
興業 | 俳優,歌手,ダンサー,プロスポーツ選手等 | 3年/1年/6カ月/3カ月/15日 |
技能 | 外国料理の調理師,スポーツ指導者,航空機の操縦者,貴金属等の加工職人等 | 5年/3年/1年/3カ月 |
技能実習第1号イ・ロ | 技能実習生 | 1年/6カ月又は法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲) |
技能実習第2号イ・ロ | 技能実習第1号から移行した人 | 〃 |
就労ができない在留資格は「文化活動」・「短期滞在」・「留学」・「研修」・「家族滞在」の5つです。
ただし、入管法第19条第2項で定められている資格外活動許可を申請することで週に28時間以内でアルバイト等の仕事に就くことができます。
「留学」における在留資格所持者のみ、夏休みなどの長期休業期間は1日8時間以内・週40時間以内に上限が変わります。
さらに詳しく知りたい方は、出入国在留管理所の 在留資格一覧表 をご覧ください。
●技能実習制度の在留資格
①技能実習制度にも種類がある?
〈技能実習1号〉は、外国人が日本で技能実習を受ける上で一番初めに取得する在留資格です。
これから新たな技術を日本での技能実習によって習得したいと考えている外国人に向けた在留資格であり、目的は「入国1年目の技術の修得を目指す」こととされています。
〈技能実習2号〉は、1号で修得した技能等をさらに向上させるための活動を行うことが目的です。
技能実習1号から技能実習2号へ移行するには、実習先の業界・業種での学科試験・と実技試験に合格することが必須です。また、移行の際に職種や作業内容を変更することはできません。移行できる職種・作業は83職種151作業に限られています。
〈技能実習3号〉は、技能実習生2号を修了後、決められた条件をクリアすることでさらに高度な技能の修得を目指して技能実習生3号に移行できます。
技能実習2号から3号に移行する時も、移行できる職種が限られます。
詳細に載っている作業のうち
- 窯炉
- 農産物漬物製造業
- 医療・福祉施設給食製造業
- 紡績運転
- 織布運転
- カーペット製造
- リネンサプライ
- コンクリート製品製造
- 宿泊
- 空港グランドハンドリング(客室清掃)
以上の職種を除いた76職種134作業が移行可能です。(令和2年7月17日時点)
②技能実習1号2号3号の在留期間
技能実習1号
...1年または6ヶ月、法務大臣が指定する1年を超えない期間とされています。
技能実習2号
...1年または6ヶ月、法務大臣が指定する1年を超えない期間、技能実習1号の期間と合わせて3年以下
技能実習3号
...入国4〜5年目
③移行条件
〈技能実習1号→2号への移行時〉
- 技能実習1号と同じ実習実施機関で、同じ技術についての実習が行われること
※同一の実習実施機関で実習ができない場合は除く - 技能実習計画に基づき、さらに実践的な技能を修得しようとするものであること
- 所定の技能評価試験の学科試験と実技試験に合格した者であること
- 移行対象職種は省令で定められた職種、作業(85職種156作業)であること
〈技能実習2号→3号への移行時〉
- 移行対象職種は省令で定められた3号移行可能な職種、作業(76職種134作業)であること
※上記の表に△がない職種・作業 - 3年間の実習終了後(2号修了後)、1ヶ月以上1年未満の一時帰国を行うこと
- 所定の技能評価試験(技能検定3級)の実技試験に合格した者であること
- 過去に技能実習3号を利用したことがないこと
- 主務省令で定められた優良基準に適合していると認められた監理団体および実習実施者であること
さらに2号から3号に移行する時は、監理団体と実習実施者が「優良」と認められていなければいけないことも要注意だね。
最後に...
今回は、在留資格とは何なのかという基礎的なことから技能実習在留資格の違い・移行まで解説してきました。
技能実習は在留資格によって滞在できる期間が異なること・移行時の試験・移行できる職種作業が限られていることなど注意点が複数あるので受け入れる際には気をつけなければいけません。
これからも技能実習制度について【分かりやすく】解説していきます!!