2009年の入管法改正で在留資格「技能実習」が新設されました。これに伴い、技能実習生として日本で働く外国人が増えていきました。技能実習制度には、技能実習区分が設けられていて区分によって在留期間が異なります。
技能実習区分は時間が経てば移行できるわけではなく、技能実習評価試験の受験が必要です。本記事では、技能実習評価試験とは何なのか、技能検定との違い、合格するメリットなどを解説します。
目次
技能実習評価試験とは
技能実習評価試験とは、技能実習第1号から技能実習第2号に移行するために受ける試験のことです。技能実習第1号というのは、技能実習生1年目の外国人が所持する在留資格のことで、技能等を習得している状態という位置づけになります。
技能実習第2号は、技能実習2〜3年目の技能実習生が所持できる在留資格で、技能等に習熟した状態という位置づけとなります。技能実習第2号は技能実習第1号からの移行となりますが、技能実習評価試験に合格していることが条件です。
技能検定との違い
技能検定も技能実習評価試験も在留資格区分を以降するために行う国家検定制度です。技能検定は技能実習生制度が始まる前からあった試験です。技能実習制度が始まってからは、技能実習第1号から2号への移行など上位区分へ移行する際に条件として使われるようになりました。
しかし、職種分野によっては技能検定だけでは足りないということで、技能実習評価試験が設けられました。技能検定に合格すると「技能士」と名乗ることができます。技能実習評価試験のみの合格では名乗れません。
技能検定のレベル区分は基礎級・随時3級・随時2級の順で難易度が上がり、技能実習評価試験は初級・専門級・上級の順番です。
技能実習第1号から2号への移行は技能検定基礎級もしくは技能実習評価試験初級の合格、技能実習第2号から3号への移行は技能検定随時3級もしくは技能実習評価試験専門級への合格が条件です。
技能実習制度
技能実習制度とは、開発途上国の人材に日本の技術を持ち帰ってもらい、母国の発展に役立ててもらう制度です。もともとは1993年に研修制度として制度化されました。当時は外国人材に働いてもらうというより、教育するという色が強い制度でした。
2009年に技能研修制度は「技能実習」として在留資格となり、現在も活用されています。技能実習制度には、1号・2号・3号と区分があります。それぞれどのような特徴があるのか見ていきましょう。
技能実習第1号
技能実習第1号は、技術を修得する日本入国1年目の技能実習生に与えられる在留資格区分です。在留期間は1年間で、滞在を延長するには所定の手続きと技能検定もしくは技能実習評価試験のいずれかの決められたレベルをクリアする必要があります。
それらをクリアすれば技能実習第2号へ移行でき、3年まで在留期間を伸ばすことができます。しかし、どの職種も技能実習第1号から2号へ必ず移行できるわけではありません。初めから2号への移行を考えているのであれば、2号に移行できる職種を選びましょう。
技能実習第2号
技能実習第2号は、技術を修得する日本入国2〜3年目の技能実習生に与えられる在留資格区分です。技能実習第1号で日本で技術を学び、2年目以降も実習を続けたい技能実習生の希望と受け入れ企業の合意が合った場合に滞在延長に向けて動くことができます。
現時点で技能実習第1号から2号へ移行ができる職種分野は、85職種156作業です。(2022年6月現在)初めから2号への移行を踏まえて技能実習制度を利用するのであれば、2号に移行できる職種で技能実習をスタートさせる必要があります。
技能実習第1号から2号に移行するのに合格が条件とされている、技能検定または技能実習評価試験には、学科試験と実技試験があります。両方の合格をもって技能実習第2号への移行条件となります。
技能実習第3号
技能実習第3号は、入国4〜5年目の技能実習生が所持する在留資格区分です。技能実習第2号を所持する技能実習生が希望し、受け入れ企業の合意を得ることができたら技能実習第3号として滞在延長への準備を進められます。
現在のところ対象職種は77職種135作業です。(2022年6月現在)技能実習第2号から3号への移行は、2号修了前に技能検定もしくは技能実習評価試験の指定されたレベルに合格することが条件です。試験は実技のみです。また、より実践的な技能実習計画の提出が必要です。
技能実習評価試験の概要
技能実習評価試験は、実習先の業界・業種の基礎級学科試験を受けることになります。試験は全て日本語で実施されるので、ある程度の日本語力も必要です。技能実習評価試験には学科試験と実技試験があり、両方の合格が必須です。
学科試験はマルバツや複数の選択肢から答えを選ぶ、真偽式で20問を60分で解きます。100点満点中60点以上が合格です。実技試験は、記述式で行われます。判断等試験で6課題出題され、各課題3分間計18分間で解きます。実技試験は減点方式で、60点以上が合格です。
技能実習評価試験に合格するメリット
技能実習評価試験に合格するメリットはなんといっても、在留機関を延長でき、さらに技術を磨ける機会を得ることができることでしょう。技能実習生自身の技量がアップしているかを確認できるのもポイントです。
また、技能実習第2号・3号であれば特定技能1号への移行も可能です。特定技能1号に移行すれば、さらに在留期間を延長できますし、特定技能2号に移行できれば上限なしに日本で働くことができるようにもなります。
特定技能2号であれば、配偶者と子供であれば家族の帯同が認められています。家族と共に日本で暮らすことを夢見て目指す外国人も多いのではないでしょうか。技能実習第2号と3号は、特定技能資格を取得するための特定技能評価試験が免除されます。
技能実習生から特定技能への移行はしやすいことから、初めから特定技能を目指して技能実習制度を活用する外国人もいます。そのような外国人材は意欲が高く希望を持って働いてくれるでしょう。
技能実習評価試験に落ちた場合
技能実習第1号から2号、2号から3号への移行は、技能検定もしくは技能実習評価試験の決められたレベルの合格が条件です。試験に落ちてしまったらどうなるのでしょうか。学科試験、実技試験片方のみ合格した場合はどうなるのでしょうか。
学科試験・実技試験片方のみ不合格、両方不合格いずれも一回に限り再受験が可能です。再試験は、再受験者のみで行われます。残念ながら再試験も不合格で合った場合は、その時点で所持している区分の在留期間で強制帰国となります。
再受験の手数料は学科試験・実技試験両方の受験で19,400円、学科試験のみは4,000円、実技試験のみは15,400円です。これらは技能実習生を受け入れている企業の負担となります。
【まとめ】技能実習第2号への移行は技能実習評価試験合格が必須!
ここまで、技能実習評価試験とは何なのか、技能検定との違い、合格するメリットなどを解説してきました。技能実習制度には等級区分があり、それぞれ在留期間が異なります。
技能検定もしくは技能実習評価試験をクリアすることで1号から2号、2号から3号とレベルアップすることができ、最長5年間技能実習生として日本で技術を学べます。
技能実習生として日本にやってくる外国人は、初めから2号、3号とレベルアップを目指す人材が多くいます。そのため、最初から日本語力に長けているなど、意欲がある人材も多いです。
技能実習第2号、3号は、対象職種が限られていることから企業側も自社の職種が対象となっているか確認しておきましょう。
厚生労働省 技能実習生等向け技能検定の概要
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/shokugyounouryoku/ability_skill/ginoukentei/kisokyu.html
技能実習生.jp 1年で強制帰国?知っておきたい技能実習生の1号から2号への移行法
https://xn--rbtx3nwrr97jxmb.jp/%E5%9C%A8%E7%95%99%E8%B3%87%E6%A0%BC/1%E5%B9%B4%E3%81%A7%E5%BC%B7%E5%88%B6%E5%B8%B0%E5%9B%BD%EF%BC%9F%E7%9F%A5%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%84%E6%8A%80%E8%83%BD%E5%AE%9F%E7%BF%92%E7%94%9F%E3%81%AE1%E5%8F%B7%E3%81%8B/
ハローマッチ 技能実習や特定技能で耳にする技能検定とは?技能実習評価試験と何が違うの?
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