目次
1.福岡県で外国人を雇用したいと思ったら
福岡県は、九州地方で最大の都市となっており観光地としても有名です。博多ラーメンや辛子明太子といった誰もが知っている料理から、 国指定伝統的工芸品となっている小石原焼、博多織などが生まれたのも福岡県です。
他の都道府県と比べて人口が多いのも福岡県の特徴ですが、2005年以降、年々人口が減ってきていることはご存じでしょうか。県全体の高齢化が進んでおり、2015年から2045年の間で総人口うち約60万人の減少が見込まれています。
人口の減少に伴って懸念されているのが、産業分野の人材不足です。実際、日本人だけでは労働力を賄いきれず、外国人雇用を始める企業が増え始めています。
外国人を雇用するには、主に以下の方法が用いられています。
- 特定技能外国人の受け入れを行い、就業してもらう
- 特定技能実習生の受け入れを行い、雇用して就業してもらう
特定技能外国人とは、日本国内で人材不足が深刻であると認められた産業分野に対し、一定以上の知識や経験、スキルを証明できる在留資格を持った外国人のことです。一方で特定技能実習生とは、日本の企業で、母国では習得が難しい技術や技能を日本で修得するために用意された制度を活用している外国人のことを指します。
ハローワークで求人の協力を要請したりなど、希望者を募集して雇用していくといった流れですが、日本で就労するためには上記2パターンが対象です。
実際に福岡県内に外国人はどのくらいいるのか、外国人を雇用するための具体的な手続きにはどんな方法があるのかなどを、次の章から順に解説していきます。
2.福岡県に外国人はどのくらいいる?
福岡県には、2022年5月時点で5,112,399人、2,356,551世帯が暮らしています。そのうち福岡県内に住んでいる外国人の人数は64,078人です。
福岡県は九州地方で最大都市とされており、人口別都道府県ランキングでは10位以内に入ります。今なお屋台文化が残っており、観光地としても有名な場所が多いため人口密度も高いのが特徴のひとつとなっています。
2021年10月時点では、県内に住む外国人のうちベトナム国籍が19,734人、中国国籍が10,981人、ネパール国籍が7,468人となっており、他にもフィリピン、韓国などの様々な国の外国人が在住しています。
県内の留学生は17,794人となっており、卒業後日本での就職を考えている学生も少なくありません。福岡県の人口が減少傾向にあるのに伴って、外国人労働者の受け入れを積極的にはじめている企業もあれば、今から受け入れの準備を始めようとしている企業も多くなっています。
3.福岡県の外国人雇用状況
福岡県内に在住する外国人は2021年時点で、53,948人です。そのうち留学生は17,794人、技能実習生は13,004人、特定技能外国人が10,070人となっています。観光地として有名である分、福岡県の主な産業分野はサービス業、卸売業となっており、外国人労働者の多くは卸売業・小売業や宿泊業・飲食サービス業に従事しています。
外国人雇用を行っている事業所は県内で10,420事業所となっており、産業分野ごとの雇用状況は以下の通りです。
製造業 | 10,569人 |
卸売業・小売業 | 10,705人 |
農業・林業 | 1,501人 |
建設業 | 4,321人 |
教育・学習支援業 | 3,975人 |
宿泊業・飲食サービス業 | 6,490人 |
医療・福祉 | 2,039人 |
他に分類されないサービス業 | 8,509人 |
公務(他に分類されないサービス業を除く) | 147人 |
生活関連サービス業・娯楽業 | 857人 |
運輸業・郵便業 | 2,062人 |
漁業 | 8人 |
不動産業・物品賃貸業 | 436人 |
学術研究、専門・技術サービス業 | 321人 |
情報通信業 | 1,085人 |
複合サービス事業 | 201人 |
金融業、保険業 | 81人 |
分類不能の産業 | 112人 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 36人 |
4.福岡県で外国人技能実習生を受け入れるには
外国人技能実習生の受け入れを行う際、必要となる手順は以下の通りです。
- 監理団体に加入し、加入した監理団体に希望する人材の情報を伝え求人を出す
- 候補者が揃い次第面接を実施し、採用する人材を決定する
- 技能実習計画を立て、必要書類を準備して外国人技能実習機構に申請を行う
- 外国人技能実習機構から認可を受けたあと、出入国管理局に必要書類を提出
- 交付された証明書を雇用する外国人へ送付する
- 雇用する外国人に在外公館でビザを申請してもらい、申請が通ったあと日本への入国をしてもらう
- 雇用する外国人が日本に入国したら、監理団体による日本語・日本のルールに関する講習を1ヶ月間受講してもらう
- 講習終了後、受け入れ企業(採用を行った企業)で就業を開始する
特定技能実習生を受け入れる方法は、「団体監理型」と「企業単独型」の2種類があります。
非営利の監理団体(協同組合、商工会など)が技能実習生の受け入れを行い、加盟企業が実習実施者となって技能実習を行う「団体監理型」という方法がひとつ。もう一方は実習を実施する企業が取引先企業などの職員を技能実習として受け入れる「企業単独型」という方法です。
監理団体とは、技能実習生を受け入れて実習生の活動や受け入れ企業へのサポートを行う非営利の協同組合や商工会などを指します。 外国人技能実習生の受け入れを考えている企業からの依頼を受け、求人の募集や受入れまでの手続きなどの様々なサポートを行っています。技能実習生を雇用した企業に対して、適正な技能実習を行っているかの確認や、必要に応じて企業側への指導を行う団体です。
実際に受け入れを行う場合には、監理団体への加入、技能実習生の受け入れ可能人数の確認や、受け入れができる職種の検討を行います。一度に受け入れを行える人数には上限があり、技能実習生の区分や優良基準適合者の有無によって上限人数は変動します。また、受け入れが可能となっている職種にも定めがあり、技能実習生に任せられる職種になっているかの確認や検討が必要です。
産業分野によって対象となる職種数、任せられる作業の種類にもばらつきがあるため、注意していくことが大切です。
産業分野別の対象職種数は以下の通りです。
農業関係(2職種6作業)
漁業関係(2職種10作業)
漁業関係(2職種10作業)
食品製造関係(11職種18作業)
繊維・衣服関係(13職種22作業)
機械・金属関係(15職種29作業)
その他(17職種30作業)
一般管理団体 厚生労働省認可 法務省認可「AN SONG協同組合」実習生対象職種
5.福岡県で特定技能外国人を受け入れるには
特定技能外国人の受け入れを行う際の手続きは、以下の手順で行います。
- 特定技能外国人として雇用を希望する外国人を募集し、希望者が集い次第面接を実施
- 採用する外国人の決定後、受け入れを行う企業と外国人との間で雇用契約を結ぶ
- 登録支援機関に委託、もしくは受け入れを行う企業にて支援計画を作成
- 必要書類を出入国管理局に提出し、在留資格の申請
- 申請通過後、出入国管理局から交付された証明書を雇用する外国人へ送付する
- 雇用する外国人に在外公館で外国人にビザを申請してもらう
- ビザ取得後、日本へ入国し就労開始
特定技能とは、人材不足が深刻化している分野においてスキルや知識、経験をもつ外国人に与えられる在留資格です。特定技能は「特定技能第1号」と「特定技能第2号」の2種類に分かれます。
特定技能第1号は、特定技能制度で定められた産業分野14種類が対象であり、うち2分野のみが特定技能第2号の対象となっています。
特定技能の在留資格を取得するためには、試験に合格する必要があります。無事合格した外国人は日本語能力、特定の産業分野においての知識、スキルを有していることを証明され、在留ビザの発行を行うことが可能となります。また、指定されている条件を満たせば、特定技能実習から特定技能第1号への移行を行うこともできます。
特定技能第1号の場合、以下の分野にて受け入れを行うことができます。
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 宿泊業
- 航空業
- 自動車整備業
- 造船・舶用工業
- 電気・電気情報関連業
- 産業機械製造業
- 素形材産業
- 建設業
- 介護業
- ビルクリーニング
「建設業」と「造船・舶用業」のみが特定技能第2号で受け入れを行える分野となっています。特定技能第2号の受け入れ分野の拡大は2021年ごろから検討されており、拡大が確定した場合には介護以外の分野がが追加される予定です。
特定技能外国人を受け入れるためには、受け入れを行う企業が上記14分野のいずれかに必ず該当している必要があります。
6.【まとめ】技能実習/特定技能を活用して採用課題を解決!
今回は福岡県の技能実習・特定技能を導入する方法について、詳しく解説していきました。
福岡県は国内でも人口の多い県のため、在住している外国人も多い傾向があります。県内の留学生の数も決して少なくはなく、日本でそのまま就職しようと考えている外国人もいます。そのため、福岡県では外国人向けの相談窓口の設置や、補助金制度の案内など様々なサポートを行っています。
しかし、高齢化に伴う総人口の減少は避けては通れない部分です。技能実習や特定技能の制度をうまく活用し、優秀な人材を確保することによって人材不足の解消だけではなく、生産性の向上なども見込めるようになるでしょう。
福岡県で外国人を雇用する方法を事前に知っておけば、実際に外国人の受け入れを始める際にもスムーズに手続きをすすめることができます。現在、優秀な人材が足りないと感じている方は、特定技能や技能実習の制度を利用することを検討してみると良いでしょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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