少子高齢化が進む日本にとって、インド人技能実習生の雇用はメリットが多いです。しかし、インド人の雇用はほとんど進んでいません。インド人技能実習生を受け入れるメリットはどんな点があるのでしょうか。
また、インド人技能実習生の受け入れが進んでいない背景にはどのような点があるのでしょうか。本記事では、インド人の基本情報から技能実習の受け入れ状況、技能実習生の特徴と受け入れの課題、受け入れ手順などについて詳しく解説していきます。
目次
●インドの基本情報
インド人の技能実習生を雇用する前に、まずはインドの基本情報から把握しておきましょう。
- 正式名称:インド共和国
- 面積:328万7,469平方キロメートル(日本の約9倍、世界第7位)
- 人口:13億9,341万人
- 首都:ニューデリー
- 民族:インド・アーリヤ族、ドラビダ族、モンゴロイド族等
- 言語:連邦公用語はヒンディー語、他に憲法で公認されている州の言語が21言語
- 宗教:ヒンドゥー教徒79.8%、イスラム教徒14.2%、キリスト教徒2.3%、シク教徒1.7%、仏教徒0.7%、ジャイナ教徒0.4%
引用元:インド基礎データ|外務省
基本情報を見てわかる通り、面積は日本とくらべものにならないくらい大きく、人口も世界の1,2位を争うほど多いです。人口の約半数は25歳以下で、少子高齢化が深刻化する日本とは大きな違いです。
民族も多岐にわたり、言葉や宗教も多いです。インド人と言っても、人によって文化や価値観はだいぶ異なると言えるでしょう。
●インドからの技能実習生受け入れ状況
インド人技能実習生の受け入れを検討しているのであれば、インド人技能実習生の受け入れ状況を把握しておきましょう。日本とインドは、平成29年に「技能実習に係る協定覚書」を締結しました。
そして平成30年にインド人初めての団体監理型技能実習生である13人が入国しました。インド人の日本における技能実習制度はここから始まっています。現在では、200人超えのインド人技能実習生が在籍しています。
インドは、憲法においてカーストによる差別が禁止されています。その背景には、従来からある偏見や固定観念があると言われています。偏見や固定観念にとらわれない働き方として「IT分野」や「海外労働」を選ぶインド人が多くなっています。
海外志向の若者は年々増えています。インドには日系企業が5,000か所以上あり、日本で知識や技術を学んだ後に帰国後、日系企業で活躍したいと考える人材も多いです。インド人の技能実習生はまだ少なめですが、これからも増加傾向にあることが期待されています。
●インド人技能実習生の特徴
続いて、インド人技能実習生の特徴を確認していきましょう。特徴を知ることで、自社にインド人の技能実習生がマッチするのかどうかを検討することができます。
①言語習得能力が高い
インドの基本情報でも紹介した通り、インドは多言語国家です。そのため、言語習得能力が高いという特徴があります。インドには18の州があり、それぞれに公用語があります。インド全体の公用語はヒンディー語と英語であり、加えて州の公用語と3つの言語を話す人が多いです。
英語が堪能な人材が多い上に、日本語力の習得も早い人材が多く、コミュニケーションの面では安心できると言えるでしょう。また、インド発祥の代表的な言語は日本語と文の構造が同じという共通点があります。
英語とは異なり、共に主語+目的語+動詞という構造です。インド人が日本語を学習した場合、習得スピードが速いと言えます。
②介護実習者への期待が高い
インドには国内に約315万人、国外に64万人の看護士がいます。一般看護助産師・補助看護助産師・一般職業訓練としての一般看護補助など看護に関するさまざまなカテゴリがあります。
看護の基礎知識を習得した人材が多く、介護職の技能実習生募集もこれらの人材に向けて募集がかかることが多いため、介護実習者への期待がとても高くなっています。少子高齢化に伴い介護が必要な人が多い日本にとって、ありがたい人材です。
●インド人技能実習生受け入れの課題
少子高齢化による労働者人口の減少が深刻化する日本にとって、インドは人材の宝庫です。しかし、なかなかインド人の受け入れが進んでいないのが現状です。一体、どのような課題点があるのでしょうか。
①言葉の壁
インドは人材の宝庫でありながらも国内での就職率はあまり良いとは言えません。国内で就職できなかった人材は海外に目を向けます。インドはイギリスの植民地支配下であった歴史があるため、英語を話せる人材が多いです。
そのため、英語圏に渡ってしまう人材が多くなります。日本はインド人にとって、まだまだ言葉の壁がハードルになってしまっているようです。しかし、先述のとおりインド人は言語習得能力が高く、インド発祥の言葉と日本語は文の構造が同じです。
言葉の壁と言っても、学習のしやすさがメリットです。この点をもっとアピールして、インド人人材、日本の企業共に理解を深める必要があるかもしれません。
②インド人雇用の魅力発信不足
日本の外国人雇用経験のある企業・事業所でもインド人の雇用経験が少ないことから受け入れを躊躇してしまっているところが多いのが現状です。しかし、実際にインド人を雇用した経験のある企業は、またインド人実習生を派遣してほしいと答えるところが多いです。
一方、インド人技能実習生にとって日本の魅力は「生活条件が良く、安全な点」です。双方にとってメリットが多いのにインド人雇用が進んでいない理由として、インド人雇用の魅力が十分発信されていないという点が挙げられるでしょう。
●インド人技能実習生の受け入れ
インド人技能実習生を受け入れる方法は、「企業単独型」と「団体監理型」の2パターンがあります。団体監理型は監理団体が技能実習生の求人募集から受け入れを代行サポートしてくれる方法で、技能実習生を受け入れる9割以上の企業が選択します。
ここでは、団体監理型での受け入れの流れと費用に関して解説します。
①受け入れの流れ
団体監理型による受け入れの主な流れは次の通りです。
- 監理団体と契約する
- 監理団体を通じて求人を出す
- 採用面接などを経て採用者を決める
- 外国人実習機構に技能実習計画認定申請を出す
- 出入国管理庁に在留資格認定証明書交付申請を出す
- 送り出し国の日本大使館などへビザ申請を行う
- 技能実習生を受け入れる
まず監理団体に加入する必要があります。監理団体は複数箇所あるので、情報収集して自社に合った団体を見つけましょう。監理団体は手厚くサポートをしてくれますが、丸投げにはせず積極的にコミュニケーションをとって、スムーズに採用活動を実施しましょう。
②受け入れ費用
団体監理型で技能実習生を受け入れるには、次のような費用がかかります。
監理団体への加入 | ・入会費:1万~10万円 ・年会費:2万~15万円 |
JITICOへの加入 (監理団体によって加入必須) | ・年会費:10万~30万円 |
現地への事前訪問 | ・渡航費:約15万~25万円 |
技能実習生の入国準備 | ・在留資格申請:約2万~4万円 ・技能実習生総合保険料(37ヶ月分):約2万~6万円 ・健康診断費用:約1万円 ・入国前講習費:約1万5千円~4万円 ・入国渡航費:約10万円 |
入国後にかかる費用 | ・入国後研修:約10万円 ・講習手当:6万円 ・健康診断費用:約1万円 |
これらの費用は加入する監理団体や状況によっても異なりますが、トータルで約51万~92万円かかります。監理団体を選ぶ際は、予算との兼ね合いも含めて判断しましょう。
●まとめ
ここまで、インド人の基本情報から技能実習生受け入れの状況、技能実習生の特徴と受け入れの課題、受け入れ手順などについて詳しく解説してきました。インド人技能実習生の受け入れは、双方にとってメリットが多いです。
インド人技能実習生雇用の魅力を再確認し、雇用を実現したいと思った企業も多いのではないでしょうか。インド人技能実習生の受け入れを把握し、スムーズに採用課題を解決させましょう。
JTICO 公益財団法人国際人材協力機構 インド人材の送出し・受入れ体制について
https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/jitco-prd-nhp/wp-content/uploads/2021/10/08101843/c035a3e0f773c82b11522ecb1a48cfde.pdf
外務省 インド基礎データ
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/india/data.html
PopulationPyramid.net
https://www.populationpyramid.net/india/2019/
外国人採用ナビ 外国人数のTOP7、国別の特徴や接し方と日本語指導方法【インド人材編】
https://gaikokujinsaiyonavi.com/japanese-teaching-method-indian/
JETRO 介護などで始動、インド人技能実習生
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2019/0303/8a304f4d32ce3777.html
くらしジャパン 技能実習を徹底解説!1号、2号、3号の違いや職種を紹介
https://kurashi-japan.net/articles/30?lang=ja
ウィルオブ採用ジャーナル 技能実習生を受け入れる際にかかる費用をまるっと解説
https://willof-work.co.jp/journal/2592/