特定技能は2019年4月に新しく制定された在留資格であり、特定技能以外の技能実習などでは認められていなかった業務に従事できるようになりました。
特定技能の対象になっている業種は人手不足が深刻化している業界といえ、対象となっている業界のひとつとして素形材産業が挙げられます。
全体的に働いている人材の高齢化が進んできているため、少しでも早い解決が求められている業界です。素形材産業で外国人材を受け入れる際の注意点や、雇用方法について解説するので参考にしてみてください。
目次
素形材産業で解決できる問題について
業界全体で労働人口不足が問題になっています。有効求人倍率を見ても明らかといえるでしょう。素形材産業で解決できる問題は労働人口不足だけでなく、ベテラン職人からの技術継承も期待できます。
現状では、日本の素形材産業では労働人口不足の問題と、専門的な知識と技術の継承が難しい問題があります。これらの問題は生産力低下につながってしまいますが、素形材産業では両方の問題を解決できると考えられています。
ただし、素形材産業では受け入れできる職種が多岐にわたっているため、すべての職種で問題を解決するには時間がかかるかもしれません。
受け入れ企業側も自分たちが継続的に営業したいと考えているなら、給与面や労働条件の見直しなどが重要です。素形材産業だけで労働力不足などを解決するのではなく、日本人労働者も確保できるようにしましょう。
素形材産業に含まれる職種
素形材産業に含まれる職種は多く、外国人材を受け入れる場合には自分たちの職種についても注意するとよいでしょう。
素形材産業に含まれる職種は以下の13職種が挙げられます。
- 鋳造
- 鍛造
- ダイカスト
- 機械加工
- 金属プレス加工
- 工場板金
- メッキ
- アルミニウム陽極酸化処理
- 仕上げ
- 機械検査
- 機械保全
- 塗装
- 溶接
それぞれの職種での注意点として主たる業務と付随する業務が発生しますが、付随する業務の割合が主たる業務を超えてはいけません。
あくまでも主たる業務を中心に取り組んで、一般的な日本人労働者でも従事している付随する業務は担当できる認識でいることが大切です。
特定技能での外国人材を受け入れる注意点
特定技能での外国人材を受け入れる注意点として、外国人材受け入れは法律によって定められている手順を守らなければなりません。
そのため、特定技能で外国人材の受け入れを視野に入れている企業なら、先に受け入れるための環境整備をしましょう。
特定技能での外国人材を受け入れる際の注意点として以下の3つが挙げられます。
- 日本人と同等以上の労働環境を提供する
- 製造業特定技能外国人人材受入れ協議会、連絡会へ加入する
- 現状では最長5年間の在籍が可能
注意点について解説するので参考にしてみてください。
日本人と同等以上の労働環境を提供する
日本人と同等以上の労働環境を提供して、特定技能で受け入れた外国人材が働きやすい環境を整備する必要があります。
労働環境は、同じ業務に従事している日本人労働者と外国人労働者の報酬金額を同等以上にしたり、残業代や休日出勤手当などもしっかりと支払ったりしなければなりません。
他にも労働時間・休憩時間・休日なども同等以上に設定するのに加えて、日本人労働者と同様に労働基準法も適用されているということも理解しておきましょう。
また、素形材産業では直接雇用のみが認められていて、アルバイトでの雇用や派遣社員での雇用は認められていません。
外国人材は労働条件の整備も重要ですが、慣れていない国で生活をすることから生活面でのサポートも重要です。
生活面のサポートとしては、一人暮らしができる住環境の提供や市役所などとのやり取りに同行するなどが挙げられます。
製造業特定技能外国人人材受入れ協議会、連絡会へ加入する
特定技能によって外国人材を受け入れるには、製造業特定技能外国人受入れ協議会、連絡会への加入が必要です。
協議会と連絡会では、外国人材を受け入れるための情報提供や、地域別の人手不足の状況の把握などをおこないます。協議会と連絡会に加入している企業同士では、情報共有や課題共有などもおこない、外国人材の受入れを円滑にできるようにしてます。
企業は協議会と連絡会が要請する資料請求や現地調査などにも協力して、運営に必要になる要請には応えなければなりません。加入するタイミングは、特定技能によって初めての外国人材を受け入れてから、4か月以内になります。
現状では最長5年間の在籍が可能
素形材産業では、2023年1月現在で特定技能1号のみ設けられています。現状では特定技能で外国人材を受け入れて最長5年間の在籍が可能です。
特定技能は、2019年4月に新しく制定された在留資格です。比較的新しく制定された在留資格であるため、これからもまだまだ細かい制度内容は変わっていくと予想されています。
特定技能には業種によっては、在留期間の上限がなくなる特定技能2号が設けられており、素形材産業でも特定技能2号が導入されるかもしれません。
素形材産業への雇用方法
素形材産業への雇用方法は以下の2つが代表的です。
- 技能実習から特定技能への移行
- 海外試験からの雇用
現在ではこの2つの方法を主にして雇用をおこなっていますが、技能実習から特定技能への移行が全体数から考えても多い傾向にあります。
特定技能では海外試験からの雇用も認められている一方で、受け入れ業界によっては試験開催などには違いがあります。
それぞれの特徴などについても解説するので参考にしてみてください。
技能実習から特定技能への移行
技能実習から特定技能への移行が素形材産業への雇用方法では主になっており、すでに技能実習生として働いている人材を雇用できるのが特徴です。
すでに日本で働いている人材を雇用するため、日本社会に慣れている人材を雇用できることから即戦力として高い期待ができます。
また、すでに日本の素形材産業で技能実習生として働いているので、素形材産業の専門的な知識と技術や日常的な日本語能力には問題がないため移行できます。
注意点としては、技能実習2号を良好に終了できた場合に限られており、良好に終了できていれば技能試験・日本語能力試験が免除されます。
技能実習では働ける期間が3年間と定められていますが、特定技能に移行できればそこからさらに5年間働ける期間が延長できます。
海外試験からの雇用
海外試験としてさまざまな国で特定技能人材に向けて資格取得試験をおこなっており、業界ごとに定められている技能試験と日本語能力試験の合格が必要になります。
日本で働いていない状態から雇用パターンとして挙げられますが、素形材産業では他の業界と比較した場合に開催回数が少ないです。
将来的には海外試験からの雇用も充実させていくと考えられる一方で、現状ではまだまだ海外試験の開催が整備されていません。
海外試験からの雇用では日本での生活に慣れていないため、採用後も特に外国人材には注意を払ってコミュニケーションを取ることが大切です。
まとめ
素形材産業は業界全体として人手不足に陥っており、解消するためにも外国人材を特定技能で受け入れる必要があります。
また、素形材産業は技能実習生の数も多いことから、技能実習生から特定技能への移行も多く見込まれる業界です。
注意点としては、日本企業で受け入れを検討しているなら、日本人と同等以上の労働環境を提供しなければいけません。
受け入れるためには企業側も努力が必要になるため、しっかりと受け入れ環境の整備もおこなうようにしましょう。
<参考記事>
経済産業省 特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/gaikokujinzai/index.html
特定技能Online 特定技能「素形材産業」|制度のポイントとおススメの人材会社を紹介
https://tokuteiginou-online.com/column/sokeizai/
dnus 特定技能「素形材産業」とは?職種から受け入れ方法まで詳しく解説
https://dnus.jp/articles/257