外国人受入を行いませんか?現状や課題、メリット・デメリットは?

少子高齢化に伴う人手不足は社会的課題であり、企業に取っては人材確保は喫緊の課題です。そこで外国人を受け入れたいと考えている企業も多いのではないでしょうか。

実際に出入国管理局のまとめで2022年現在外国人は、全国で182万2725人と年々増加しています。

国としても外国人の積極的な受入を推進しており、ここでは外国人の現状を踏まえ国の政策を紹介すると共に、そのメリット・デメリット・課題について考えていきましょう。

外国人の現状と制度

企業の外国人雇用の現状と、雇用するための制度について見ていきましょう。

日本の労働人口に占める外国人の割合

人口減少・少子高齢化による働き手の不足や国際化などの社会的な影響を受け、日本における外国人労働者数は、年々増加傾向にあります。

1990年には「改正出入国管理法」が施行され、1993年には「技能実習制度」が、また2019年には「特定技能制度」が導入されました。専門的な技術を持つ外国人労働者の在留資格が整備され、国を挙げて外国人の受入が推進されています。

そのような背景を受けて2022年10月現在の外国人労働者数は、182万2725人となり、2007年に届出が義務化されて以降、過去最高となりました。

国籍別では、ベトナムが最も多く46万2384人、次いで中国が38万5848人、3番目はフィリピンで20万6050人となっています。今や外国人は日本産業の担い手としての存在感を強めています。

高まる外国人の需要

日本の社会情勢を踏まえ、企業では人手不足解消と今後のグローバルな事業展開を見据えて、外国人を積極的に雇用しようという動きが高まっています。

外国人を雇用する事業所数は2022年10月現在、29万8790カ所と前の年より1万3710カ所増加し、同じく届出の義務化以降、過去最高となりました。

また外国人を雇用する事業所数は従業員数「30人未満」の事業所が最も多くなっています。調査では、外国人を雇用する事業所数はどの事業所規模においても増加しており、企業の外国人雇用の需要が高まっていることがわかります。

外国人受入のための制度

日本で外国人が働くには、特定技能制度と技能実習制度の大きく2つがあります。それらの違いとそれらを利用する際にサポートしてもらえる登録支援機関について解説します。

特定技能と技能実習は何が違う

外国人雇用というと技能実習の方が聞き覚えがある方が多いのではないでしょうか。特定技能は国内の人材不足を解消するため2019年に導入された新しい制度で、国際貢献を目的とする技能実習とは異なります。

特定技能の制度は国内で人材を確保することが難しい14の産業分野で、専門的な知識や技能を持っている外国人を雇い入れることができ、在留資格も期間に制限がなく家族を呼び寄せることが出来るケースもあります。

そのため外国人がキャリアを積みながら、日本で働き続けることが出来る制度になっています。今後日本で定着した仕事を得て、働き続けたい優秀な人材を確保出来る制度が特定技能制度です。

在留資格の特定技能1号と2号は何が違う

特定技能には1号と2号の資格があり、試験を受けた上で獲得が出来ますがそれぞれ条件が異なります。

特定技能1号特定技能2号
在留期間通算5年が上限上限なし永住が可能
家族への対応基本的に日本に滞在出来ない日本に呼び寄せて滞在が可能

登録支援機関とは

人材不足解消に向け特定技能制度を活用し外国人雇用が可能になりましたが、制度を利用するための専門的な知識を持つことや手続き・雇用後の対応が必要になってきます。

企業の担当者としては、この制度を積極的に利用したいと思ってもルーティンワークで手一杯という場合もあるでしょう。そのようなときは登録支援機関を上手に活用しましょう。

登録支援機関とは、企業など受け入れ機関の委託を受け、受け入れ機関に代わって対応をしてくれる個人や団体・企業のことです。

登録支援機関は登録制度で、出入国在留管理庁のホームページにて確認できます。利用しやすい支援機関を選んで業務委託すると、様々な手続きや煩雑な作業から解放されます。

外国人受け入れへの心構え

ここでは、外国人を受け入れる際の、メリットとデメリットについて紹介します。

メリット1. 優秀な人材確保が期待できる

特定技能を持つ外国人は、日本語を話せて専門的な知識を持っていることから、即戦力として活躍できます。

また外国から働きにくるのは比較的若い人材が多く、優秀な若手を採用し定着した働き方が期待できます。

メリット2. ダイバーシティーを強化できる

外国人が仲間になることで、従業員の多様性を尊重しつつ組織の活性化を目指す「ダイバーシティーマネジメント」(多様性を生かし成長を目指す企業経営の方法)の取り組みが進むことが期待できます

また従業員の国際的理解度を高めることにもつながります。

メリット3. 海外展開への足掛かりとなる

グローバル化が進む中、海外への事業展開を考えているという企業も多いのではないでしょうか。

海外展開の対象国を母国に持つ外国人従業員がいれば、進出する際の支えになってくれるかもしれません。事業内容もさることながら、対象国の文化や習慣を熟知している人物の存在は大きいでしょう。

デメリット1. 文化や習慣の違い

日本にも独特の文化や習慣があるように外国も同様です。違った文化や習慣への理解が必要です。

悪意は無くとも、お互いに不愉快に感じる・トラブルとなるケースも想定されます。雇用を決めたら社内での共通理解を持てるよう研修などの場を持ちましょう。

デメリット2. 外国人受入の手続きやルールを理解する必要がある

外国人を雇用するには法に則って手続きをしたり、就労のためのルールを理解する必要があります。

煩雑な作業や理解のため時間を割く必要も出てくるかもしれません。そのようなときは外国人雇用に詳しい会社や行政書士などに相談することも出来ます

デメリット3. 実際に受け入れるまでに時間がかかる

実際に外国人雇用を決めた場合、日本で働くための資格を獲得しビザの発行を受け来日するまでに時間が必要です。日本人のように「では明日から働いてください。」というわけにはいきません。

日本在住の外国人であっても、手続きが必要で同じく実際に働くまでに時間を要します。

外国人受入の課題・問題

外国人受入を進めていくにあたって、課題や問題ももちろんあります。それらをしっかりと理解した上で、企業では外国人を受け入れる環境を整備する必要があります。ここでは、課題とその対策について紹介します。

課題1. コミュニケーションを取る難しさ

日本語を話せるとはいっても、最初はうまくコミュニケーションがとれずに、互いにもどかしい思いをすることもすることもあるでしょう。

コミュニケーションの取り方もそれぞれです。従業員に対して、外国人とのコミュニケーションの取り方が日本人とは異なることを周知することが大切です。実際に雇用がスタートしたら外国人労働者に対して、こまめにコミュニケーションを取り日本語のレベルをアップできるようフォローしましょう。

課題2. 法令違反や労働条件・失踪などのトラブルが生じやすい

残念ながら外国人の中には、違法行為への意識の差がある場合があります。採用後は日本の社会風土やルールを理解してもらえるように働きかけましょう。

外国人にとっては違法行為と思わず、してしまったことがトラブルになる場合もあります。また外国人だからといって、安価な労働対象とみなしてはいけません。外国人労働者も日本人と同様に最低賃金を遵守する必要があります

また音信不通になった場合は、出入国在留管理庁へ報告すると共に犯罪に巻き込まれている可能性もあるので、警察にも相談しましょう。また社会保険の手続きをしておかないと企業としての責任を問われることになります。

対策1. 企業担当者の外国人雇用への知識を深める

外国人雇用には専門的な知識が必要です。担当者として労働可能な在留資格を有しているか、在留資格に適した産業であるかを確認する、生活支援体制を整えるなど、多岐にわたる対応が必要になってきます。

また、社内では変化する制度等に常に情報にアンテナを張り、外国人雇用に対する知識を深めましょう。

対策2. 労働環境や待遇の改善

「外国人だから安い賃金で雇え長時間労働でも働いてくれるだろう」といった考えを持つことは控えましょう。労働環境や待遇は日本人と同様に守らないと違法になることがあります。

対策3. 外国人への差別意識を無くす

外国人に対して、差別やいじめがあることは悲しいかな現実です。縁あって同じ職場で働くことになったのですから、差別意識を持たず、お互いに認め合えることを周知徹底しましょう。

今後優秀な人材として在籍し続けてもらうためにも、互いの存在を認め合える社風を目指しましょう。

対策4. 細やかな支援策の構築

様々な国の制度も充実してきており、外国人雇用の導入は今後どんどん進んでいくと推測されます。

国の制度や公的機関の支援も利用しつつ、企業としても外国人を採用後の生活支援や悩み事相談など細やかな支援策を構築していきましょう。採用する外国人の国は違えど支援策は、どこの国の人に対しても役に立つはずです。

まとめ

外国人受入れは、人手不足に頭を悩ませている企業にとっては、ひとつの打開策とも言えるでしょう。

一方実際の雇用には様々なハードルがあります。しかしそのハードルを越えるための支援策もどんどん充実しています。

導入によりダイバーシティーマネジメントで新しい社内風土を作るチャンスかもしれません。企業のあり方を考える上でも有効な手段だと捉え検討されてみてはいかがでしょうか。

<参考記事>

厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30367.html

総務省 外国人材の受入れについて

https://www.soumu.go.jp/main_content/000601099.pdf

ウィルオブ採用ジャーナル 2023年最新!外国人労働者を受け入れる方法は?メリットやデメリット、問題点も解説

https://willof-work.co.jp/journal/3151/