
外国人労働者の雇用経験がない企業にとって、外国人の就労ビザ取得方法は難しい点が多いのではないでしょうか。
もし外国人労働者の雇用でなんらかのトラブルを起こしてしまうと、最悪の場合重大な罰則を課せられてしまう恐れがあります。
そこで、これから外国人労働者の雇用を検討されている企業のために、外国人労働者の就労ビザについてご説明します。
目次
就労ビザとは
外国人が日本に滞在するには、「在留資格」というものが必要です。
ビザとは査証といい、在外公館が日本に入国しても問題ないと判断した外国人に対して、発給された証明書のようなものです。
ビザは入国許可申請証明の一部に過ぎません。そのため、在外公館で発給されたビザを持っていても、日本への入国時に入国審査官に入国を拒否される可能性があります。
ビザとは、外国人が日本への入国前に海外にある日本大使館・日本領事館から出される推薦状のようなものです。一方の在留資格は、日本入国後に法務省入国管理局が許可するものです。
外国人労働者が日本で働く場合、なんらかのビザを持っていればよいというわけではなく、働くことが許容されているビザを取得する必要があります。このビザを別名で就労ビザと言います。実際に就労ビザというビザがあるわけではありません。
日本で働くことのできる就労ビザは15種類あると言われており、行う仕事内容によって取得すべき就労ビザは異なります。
就労ビザの種類
入管法で記されている外国人労働者が日本で働くことができる就労ビザの種類には以下のものがあります。
- 外交
- 公用
- 教授
- 芸術
- 宗教
- 報道
- 高度専門職
- 経営・管理
- 法律・会計業務
- 医療
- 研究
- 教育
- 技術
- 人文知識・国際業務
- 企業内転勤
- 興行
- 技能
- 技能実習
- 特定技能
- 介護
なお、来日している多くの外国人は、多くの場合で「技術」「人文知識・国際業務」のビザを持っています。「技術」とは理系の業務、「人文知識」は文系の業務、「国際業務」は外国人特有または特殊な能力を活かした業務です。それぞれに該当する具体的な職業をご紹介します。
「技術」系のビザには、プログラマーやシステムエンジニアなどのコンピューター関連の技術職、そのほか、建築関連の設計者や開発なども当てはまります。また、機械工学の技術者やゲーム開発および設計、検査などの仕事も同様です。
「人文知識」には、貿易関係などの海外と取引する業務をはじめ、経理、人事、総務、法務、マーケティング、広報、商品開発、営業企画、コンサルティング、マーケティング職や貿易業務などが該当します。
外国人採用までの流れ
外国人労働者が就労ビザの取得方法は、「外国人が海外にいる場合」と、「外国人がすでに日本にいる場合」で異なります。そのため、企業が外国人を雇用する際の注意点をそれぞれのケースでご説明します。
海外から外国人を呼んで雇用する場合
対象者が就労ビザの取得が可能かどうか事前調査で確認
まず、対象の外国人が特定の就労ビザ取得要件を満たしているかどうか確認する必要があります。取得要件のうち、待遇と企業の状況については企業側の問題であるため、企業側は学歴要件と職務内容について調査する必要があります。
雇用契約の締結
就労ビザ取得申請の前に、外国人労働者と雇用契約を締結します。その理由は、就労ビザ取得のための申請を行うには事前に正式な雇用契約をする必要があるからです。
就労ビザは必ず取得できるものではありません。そのような事情から、雇用契約書には「本契約は、申請人が就労ビザを保有して、日本に上陸許可が出来ない場合は無効とする。」といった文言を必ず入れて、トラブル防止を図る必要があります。
在留資格認定証明書の申請
次に、管轄する出入国在留管理庁で「在留資格認定証明書」の交付を申請します。在留資格認定証明書とは、海外にいる外国人が出入国在留管理庁により日本への上陸許可が審査済であることを証明するためのものです。
在留資格認定証明書を対象の外国人に送付し、就労ビザを申請
在留資格認定証明書が交付された後、外国人本人に国際郵便での送付を行い、在外公館で就労ビザ取得の申請をしてもらいましょう。必要書類については、外国人が住んでいる在外公館のホームページに記載されているので、確認するとよいでしょう。
入国後、住民登録などの手続きを行う
3か月以上日本に在留する外国人は、入国後、居住地を定めた日から14日以内に居住地を管轄する市区町村役場で住民登録を行う必要があります。
すでに日本国内にいる外国人を雇用する場合
在留資格の確認および業務内容との照合
まずは、在留資格の確認と、業務内容との照合を行い、外国人が適法に就労する資格があるのかどうかについて確認する必要があります。もし外国人の在留資格が「留学」であった場合は、在留資格変更許可申請が必要です。
また、就労ビザをすでに保有している場合も、転職前と転職後で職務内容が大きく異なることがあります。就労資格証明書交付申請などを行い業務内容の照合を行うことが重要です。
雇用契約の締結
雇用契約の締結については、上記の海外から外国人を呼び寄せる場合と同様の方法です。
在留資格変更許可の申請
雇用契約の締結後、必要な書類を用意して在留資格変更許可の申請を行います。海外からの場合と同様に、 就労ビザ取得の申請は、書類を漏れなく提出すれば必ず申請が通るというものではありません。
就労ビザ取得要件の確認および、ビザが取れなかった場合のトラブル防止も準備しておく必要があります。
企業側の就労ビザに関する実務の処理について
ここまで紹介してきたように、外国人労働者を雇用する場合には「在留資格」関連の実務が発生します。これらの実務は自社で行うか、他の事務所に委託する方法があります。自社で対応することも可能ですが、専門の事務所へ委託することもおすすめです。
就労ビザ申請の委託先としては入管手続きの取次資格を持った行政書士事務所が代表的です。サービスにもよりますが、大体10万円くらいが相場となります。
「技能実習」あるいは「特定技能」の在留資格で人材を雇用する場合は「労働者保護」の観点から膨大な労務工数がかかります。
そのため、万全を期すためにも申請業務に関しては外部に委託することをおすすめします。
企業側が外国人就労ビザに関して注意すること
外国人労働者の就労ビザ取得に関しては本人だけではなく、企業側もいくつか気をつけなければならないことがあります。
たとえば
- 業務の内容が入管法と適合しているか確認
- 外国人労働者の前職や学歴の確認
- 外国人雇用における知識、労働関係法規や労災保険、社会保険および税金などの知識の把握
- 外国人の不法就労を助長しないようにすること
最悪の場合、重度の罰則を科せられる恐れがあるため、このような点においては、特にしっかり調べておきましょう。
まとめ
外国人労働者の就労ビザ取得については、企業側が知識をつけて外国人のサポートする必要があります。しかし、外国人雇用の法律関係は、複雑化しています。入管法を正確に読み、しっかりと確認事項を把握しておけば、正しく外国人を雇用することが可能です。
外国人労働者は、日本人にはない知識や長所を多く持っています。外国人を雇用することで企業はグローバル化し、企業の成長に繋がります。外国人労働者のビザサポートを行い、共に成長していける環境を整備しましょう。
<参考記事>
若松絵里社労士・行政書士事務所 初めての外国人雇用◆就労ビザ取得方法
https://www.eriw-office.com/category/1229823.html
Global HR Magazine 【在留資格一覧】外国人を雇用する企業が知っておきたい就労ビザについて
https://global-hr.lift-group.co.jp/104
就労ビザ申請サポート大阪 就労ビザの取得方法
https://shuurou-visa.com/houhou.html