外国人を採用すれば日本人より人件費を抑えながら、優秀な人材が確保できると期待している方も多いのではないでしょうか?
外国人労働者は2016年に100万人を突破しました。海を渡って祖国を離れ、言葉の壁を乗り越えても海外で働きたいという時点で、バイタリティ溢れた人材であることは間違いないでしょう。
日本では高齢化社会が進んでいるため、若くて優秀な人材の確保が難しくなってきています。こういった問題を解消するためにも外国人採用は重要であると言えます。
外国人を採用するにあたり、いくつか注意点もあるので気をつけましょう。「外国人は安い賃金で雇用できる」というのも考えを正した方がよいでしょう。
本記事では外国人を採用するメリット・デメリットと注意点、外国人を採用する流れについて詳しく解説していきます。
目次
外国人を採用するメリット
外国人を採用することで考えられる主なメリットは以下の通りです。
・若くて優秀な人材に出会える確率が高い
・新しいアイデアを持っている
・バイタリティが豊か
・適応能力が高い
・若くて優秀な人材に出会える確率が高い
日本は高齢化社会に伴い、若くて優秀な人材の確保が難しくなってきています。そこを外国人の採用で補おうという動きが多くの企業で出ているのです。
海外で働きたいと意欲を持って日本にやってくる外国人は、若くて優秀な人材が多くいます。
・新しいアイデアを持っている
文化の違う海外からやってきた外国人は、日本人では考えられないような新しくて斬新な発想を持っている可能性が高いでしょう。
海外進出や海外志向を取り入れたい企業にとっては、現地の言葉だけではなく価値観や文化、外国人ならではのアイデアはとても大切になってきます。
・バイタリティが豊か
日本語はひらがな・カタカナ・漢字と3種類を操るため、言語の中でも難しいとされています。習得の難しい日本語を学んででも働きたいという人材は、素晴らしいバイタリティを持ち合わせていると言えるでしょう。
・適応能力が高い
日本で働くことを考える人は熱心な人が多く、新しい環境に適応する努力を惜しみません。
外国人が日本で働きたいと考える理由は以下の通りです。
-日本の文化が好き、日本語を勉強したい
-テクノロジーが発展しているから
-日本は安全だから
昨今はアニメなどを通して日本の文化が海外に伝わり、憧れを抱く外国人も少なくありません。独自に日本語を勉強している人も多く見られます。
また、日本のテクノロジー水準の高さや日本の治安の良さを魅力に感じて、日本での就職を志望する外国人もいます。
外国人を採用するデメリット
外国人を採用するデメリットして主に考えられるのは次のような点です。
・言葉の壁
・文化の違い
・宗教への価値観の違い
・言葉の壁
前途でも述べたように日本語は言語の中でも習得が難しいとされています。また、外国人によっては世界共通語の英語が話せていれば大丈夫と強く思っている人もいるでしょう。
日本ではまだまだ英語の浸透度が世界に比べて低いので、日本語が離せないと難しい場面も多々あるのではないでしょうか。場合によっては日本語習得のための語学研修などを取り入れる必要もあるかもしれません。
・文化の違い
外国人を雇用していると、日本人が当たり前だと思っていることが、外国人にとっては不思議に感じるということが多く起こります。
悪影響がないこともあるかもしれません。しかし、文化の違いがミスコミュニケーションを生んでしまうこともあるでしょう。その国の文化をしっかり理解し、日本の文化も教え、互いに理解し合わなければ誤解が発生してしまうかもしれません。
・宗教への価値観の違い
日本に比べ外国では宗教に入っている人が多いです。また宗教によって価値観の違いもあります。文化以上に宗教上の価値観は重要な場合が多いので、そういった宗教への配慮も大切になってきます。
外国人を採用する注意点
外国人を採用する上での注意点は以下の通りです。
・在留資格・期間の確認をする
・安い労働力とは考えない
・雇用形態を確認する
・在留資格・期間の確認をする
就労ビザの種類は19種類。在留期間はビザの種類によって異なり、ビザの種類は仕事内容で決まります。
今回は、多くの仕事内容が当てはまる【技術・人文知識・国際業務ビザ】を例としてご紹介します。
【技術・人文知識・国際業務ビザ】が適用されるのは、オフィスワーカーと呼ばれる以下の職種です。
-営業職
-事務職
-通訳
-システム開発
-エンジニア
-マーケティング
-デザイナー
-語学教師
【技術・人文知識・国際業務ビザ】の在留期間は5年、3年、1年または3か月です。採用する外国人がすでに日本にいる場合には現在のビザの種類から在留期間を確認しましょう。
・安い労働力とは考えない
日本では外国人の採用は日本人を雇用するよりも安いイメージがあるかもしれません。しかし、そのようなイメージから脱却すべき曲面にいるというのが現状です。
日本では高齢化社会に伴い、若い労働力の採用が難しくなっています。そのため、外国人の若い労働力は現在とても重宝されていて、安い賃金では採用するのが難しくなってきているのです。
日本人・外国人に関わらず、技術に見合った賃金で雇用しなければ、よりよい賃金を出す企業へと流れていってしまいます。
・雇用形態を確認する
外国人を採用するにもアルバイト・契約社員・正社員といった雇用形態があります。雇用形態はビザの取得に関係してきます。
就労ビザには在留期間が設定されているので雇用期間がはっきりしていないアルバイトでは取得できない可能性が高いです。1年に満たない雇用期間である雇用形態だと、安全性に欠けると判断されてしまいます。1年以上の契約期間がある契約社員であれば、学歴や実務経験などの条件に応じて就労ビザが取得しやすくなります。
留学生アルバイトの採用にも注意が必要です。留学生の在留資格は「日本の教育機関で教育を受けること」です。そのため、アルバイトをするには資格外活動許可を得ている必要があります。
また、資格外活動許可を得ていても労働時間に制限があります。残業を含めて1週間28時間までとなっているので注意しましょう。1週間28時間というのは1社だけの話ではなく全社の合計です。留学生が2社以上アルバイトを掛け持ちしていないかも確認しましょう。
問題が発生した場合、外国人だけではなく確認漏れのあった採用側の不備も問題視されてしまいます。
外国人を採用する流れ
外国人の採用は日本人の採用と異なります。就業ビザの取得で注意しなくてはいけない点があります。外国人を採用する流れとともに確認していきましょう。
主な外国人の採用の流れは次の通りです。
1. 外国人採用の募集
2. 就労ビザ取得見込み調査
3. 面接
4. 内定
5. 雇用契約書作成
6. 就労ビザ申請・取得
7. 就労ビザ審査
これらが完了したらいよいよ雇用開始となります。
流れを一つずつ確認していきましょう。
1. 外国人採用の募集
外国人がよく訪れる飲食店などにはフリーペーパーや無料の新聞も設置してあり、そこに募集を掲載するのも有効です。
他の募集に比べて利用料金が高いものの優秀な人材をスピーディに見つけたい場合は、派遣会社や人材紹介会社からの紹介がお勧めです。留学生のアルバイト募集や新卒留学生を探す場合は、学校へ依頼するのも有効でしょう。
ハローワークで探すという方法も検討しましょう。ハローワークでは外国人の人材紹介も行っています。東京・大阪・名古屋では、外国人雇用サービスセンターという外国人と事業者をマッチングさせる場も設けられています。
自社のTwitterやInstagramアカウントがある会社や店舗は、SNSで人材を探すのもひとつの手段です。他の施策と比較して、コストをかけずに外国人の求人を行うことができます。
2. 就労ビザ取得見込み調査
就労ビザ取得見込み調査は必ず、面接を開始する前に行いましょう。せっかく面接・内定の手順を踏んでも就労ビザが取得できなければ外国人は採用できません。就労ビザがないまま働かせるのは違法です。
就労ビザ取得見込み調査のためにすることは外国人の学歴・職歴の確認です。
就労ビザは学歴・職歴によって取得できるかが決まってきます。まずは、それらの条件が満たしているかどうかを確認しましょう。就労ビザの種類によって条件が異なります。
3. 面接&内定
面接そして内定については企業や店舗の判断基準で、厳正に審査してください。
4. 雇用契約書作成
雇用契約書は日本人の場合でも作成しますが、外国人の採用では少し異なります。外国人の採用で雇用契約書を作成する理由は以下の2つがあります。
・外国人との雇用契約をかわして労働条件を理解してもらうため
・就労ビザ申請の際に出入国管理局に雇用契約書のコピーを提出するため
口頭での契約は必ず避けてください。可能であれば、日本語の契約書に加え、契約する外国人が理解できる言語で作成した契約書も用意することをお勧めします。
理由は、就労ビザの審査官が外国人本人に電話調査をして雇用契約書と矛盾がないかを確認することがあるためです。矛盾が生じると就労ビザの許可が降りないという結果を招くこともあります。
5. 就労ビザ申請・取得
就労ビザは、「入国管理局」で審査されます。就労ビザの申請には雇用契約書のコピーが必要です。就労ビザの申請は、雇用契約書で採用する外国人と雇用契約を交わした後に行います。
また、現在すでに日本にいる外国人の採用と、海外から外国人を呼び寄せて採用する場合では手順が異なるので気をつけましょう。
・日本にいる外国人を採用する場合
最初に現在の在留資格を確認します。次に、在留資格と新しい職務内容を比較し、雇用契約書を作成。その後、就労ビザ変更の手続きを行います。
・外国人を海外から呼び寄せる場合
最初は在留資格認定証明書の交付申請を行いましょう。そして海外の在外公館で査証を取得、来日後に雇用開始となります。
6. 就労ビザ審査
就労ビザの審査には、1ヶ月から2ヶ月時間を要します。新卒の外国人を採用し、4月1日から働いてもらうには2月ころまでに就労ビザの申請を済ませておく必要があります。
なお、4月に入社する新卒採用による就労ビザの審査は、雇用を開始する前年の12月1日から申請可能です。
【まとめ】注意点に気をつけながら、外国人採用を上手に行いましょう
ここまで外国人の採用のメリット・デメリットと注意点、採用までの流れについて詳しく解説してきました。外国人を採用するにあたってとくに大切な注意点は以下の通りです。
・外国人採用の注意点1 言葉の壁によるデメリット
・外国人採用の注意点2 宗教・文化の違いを理解する
・外国人採用の注意点3 安い労働力ではない
・外国人採用の注意点4 日本にいる外国人と海外から呼び寄せる場合の流れの違い
・外国人採用の注意点5 就労ビザ申請前に雇用契約書の作成
以上の注意点をしっかり理解しておけば、外国人の採用は多くの利益を生みます。外国人との上手な付き合い方と採用に関する正確な手続きを一つひとつ確認し、外国人の採用を前向きに検討してみてください。