「産業機械製造」業界では、外国人技能実習生の受け入れを積極的に進めています。今後、技能実習生の雇用を始めようと検討している「産業機械製造」業界の企業は、受け入れをスムーズに行えるように実態を把握しておきましょう。技能実習生は業界を問わず、どの職種・作業も行えるわけではありません。
受け入れた技能実習生はどの職種・作業が出来るのかも確認しておきましょう。本記事では、「産業機械製造」業界の現状と技能実習生受け入れの流れ、職種と作業内容について詳しく解説します。
目次
●「産業機械製造」業界の現状
産業機械製造業界の現状は、残業時間の増加が問題視されています。人手が不足している状況で、工場での現場作業が多いため、残業時間が増加しています。働き方改革などが進められている世の中に合わせて、残業時間を改善するために尽力している企業も多いことでしょう。
ただでさえ少子高齢化により労働者人口が減少している日本では、外国人を雇用することは人手不足を解消する手助けとなるでしょう。
企業が外国人技能実習生を受け入れるには、定められた要件を満たす必要があります。要件を満たしていなければ、技能実習生を受け入れることはできません。要件には、全産業に共通しているものと産業機械製造業界特有のものがあります。それぞれについて見ていきましょう。
技能実習生を受け入れる要件
企業が技能実習生を受け入れるには、次のような要件があります。下記は全産業共通の要件です。
- 法律に定められた欠格事由に該当していないこと
- 技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員を配置すること
- 技能実習生の住居を確保すること
- 賃金を日本人と同額以上に設定すること
- 社会保険に加入させること
- 帳簿を作成・保管すること
これらの要件の中で、「法律に定められた欠格事由に該当していないこと」は非常に重要な項目です。技能実習生は外国から受け入れる大切な人材であるため、国としても欠格事由に該当するような企業に技能実習生を任せられません。
また技能実習生は母国を離れて、日本で生活しながら働くため、常に不安を感じています。少しでも不安やストレスを軽減するために、メンター的存在の配置や住居の確保といったサポートが必要です。
そして技能実習生に対して、賃金は日本人労働者と同じように定める必要があります。これらに違反してしまうと、一時的、もしくは永遠に技能実習生を雇用できなくなる可能性があるので十分注意してください。
技能実習生を受け入れる産業機械製造業界特有の要件
産業機械製造業界で技能実習生を受け入れる際の要件は、次の通りです。
- 技能実習生が製造分野特定技能1号評価試験に合格していること
- 外国人が、日本国際教育支援協会(JLPT)の運営する日本語能力試験の「N4」レベル、または国際交流基金の運営する日本語基礎テストに合格していること
産業機械製造業界で技能実習生を受け入れるには、外国人が製造分野特定技能1号評価試験に合格している必要があります。2020年10月以降、製造3分野で対象となる19業務区分について、実施可能かどうかの試験が行われています。
それぞれの業種において、加工や設備保全等の作業が個人で行える、または上長の指導の元で実施可能なレベルかどうかを評価する試験です。業種は以下の19種類に分類されています。
- 鋳造
- 鍛造
- ダイカスト
- 機械加工
- 金属プレス加工
- 鉄工
- 工場板金
- めっき
- アルミニウム陽極酸化処理
- 仕上げ
- 機械検査
- 機械保全
- 電子機器組立て
- 電気機器組立て
- プリント配線板製造
- プラスチック成形
- 塗装
- 工業包装
- 溶接
他にも、外国人は、日本国際教育支援協会(JLPT)の運営する日本語能力試験の「N4」レベル、または国際交流基金の運営する日本語基礎テストに合格していることが必須となっています。
JLPTの運営する日本語能力試験の「N4」レベルは、「基本的な日本語を理解することができる」ことが認定の目安となっています。読むことと聞くことが日常レベルでできる外国人でなければ、産業機械製造業界では、外国人技能実習生を受け入れられません。
●技能実習生の受け入れ
技能実習制度は、外国人が日本で働きながら技術を学び、母国に帰国した後学んだ技術を活かして活躍してもらうことを目的とした制度です。在留期間は最長5年で、延長はできません。
技能実習生の受け入れを進めようと決めたら、受け入れの流れと費用について気になりますよね。「産業機械製造」業界で技能実習生を受け入れる際の流れと費用について、見ていきましょう。
受け入れの流れ
技能実習生を受け入れる方法は次の2通りがあります。
- 企業単体型
- 団体監理型
企業単体型は自社だけで技能実習生の受け入れを進めるやり方で、団体管理型は監理団体が技能実習生の求人から受け入れまでをサポートしてくれる方法になります。
海外に取引先や支店があり、自社で技能実習生を受け入れるためのルートがある企業は企業単体型で受け入れを進められます。
初めて外国人技能実習生の受け入れを行う企業にとっては、複雑な手続きを監理団体にサポートしてもらいながら進められるため、団体監理型を選択することが多いです。
団体監理型を選択したと仮定して、監理団体に委託して外国人技能実習生を受け入れる流れは、次の通りです。
- 任意の監理団体に加入する
- 現地(外国)で外国人の面談をする
- 現地(外国)で外国人向けに教育・講習を行う
- 日本に入国する
- 監理団体にて外国人向けに講習を行う
- 外国人技能実習生を受け入れる
監理団体は複数あるので、自社に合った団体を見つけるようにしましょう。技能実習生の受け入れを監理団体に委託してしまえば、スムーズに進められ、企業は本業に集中しながら人手不足を補えます。
費用
技能実習生を雇用する際、さまざまな費用がかかってきます。団体監理型で受け入れるには、監理団体への加入費用などもあります。各費用の費用相場は次の通りです。
監理団体への加入 | ・入会費:1万~10万円 ・年会費:2万~15万円 |
JITICOへの加入 (監理団体によって加入必須) | ・年会費:10万~30万円 |
現地への事前訪問 | ・渡航費:約15万~25万円 |
技能実習生の入国準備 | ・在留資格申請:約2万~4万円 ・技能実習生総合保険料(37ヶ月分):約2万~6万円 ・健康診断費用:約1万円 ・入国前講習費:約1万5千円~4万円 ・入国渡航費:約10万円 |
入国後にかかる費用 | ・入国後研修:約10万円 ・講習手当:6万円 ・健康診断費用:約1万円 |
上記は技能実習生を受け入れるために必要な費用です。技能実習生を受け入れたあとは、日本人労働者と同額以上の給与を支払う必要があります。技能実習生の最長在留期間で考えると、給与を除いても5年で1人当たり100万円程度はかかると考えておきましょう。
【まとめ】正しい知識で「産業機械製造」業界の技能実習生を受け入れよう!
ここまで、「産業機械製造」業界の現状と技能実習生受け入れの流れ、職種と作業内容について詳しく解説してきました。人手不足が深刻化している「産業機械製造」業界。外国人技能実習生を受け入れることで人手不足解消が見込まれるため、積極的に受け入れを検討する企業が増えています。
しかし技能実習生が従事できる職種・作業内容は決まっています。技能実習生を受け入れた場合に技能実習生が担当できる業務はあるのかを事前に確認しなくてはいけません。正しい知識で「産業機械製造」業界の技能実習生を受け入れましょう。
参考記事・文献
Global HR Magazine 産業機械製造業で特定技能外国人を採用するには?
https://global-hr.lift-group.co.jp/148
特定技能Online 外国人雇用のための在留資格の基礎知識 特定技能 産業機械製造業分野での外国人雇用
https://tokuteiginou-online.com/column/sangyokikaiseizo/
外国人サポネット 特定技能「産業機械製造業」は人材不足解消の一手!雇用方法を解説します
https://global-saponet.mgl.mynavi.jp/visa/5350
Japan Job School 特定技能「産業機械製造業」とは?どこよりもわかりやすく解説!
https://corp-japanjobschool.com/waht-sangyoukikai
特定技能Magazine 産業機械製造業で「特定技能」外国人を雇用する方法
https://tokuteiginou-magazine.com/archives/4706
経済産業省 製造業における 特定技能外国人材の受入れについて
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/life/389509_1710929_misc.pdf