外国人労働者の採用は、年々増加傾向にあります。理由としては人手不足の深刻化や近年のグローバル化が挙げられます。外国人労働者は語学力に長けていたり、専門的な資格を保持していたり、日本人では出会えないような有能な人材も多く存在します。
外国人労働者を採用するには、どのように求人募集を行えば良いのでしょうか。本記事では、外国人の求人募集の方法と注意点、採用の流れを詳しく解説していきます。
目次
外国人を採用するメリットとは?
外国人を採用するメリットとして、次のようなことが挙げられます。
- 人手不足の解消になる
- 優秀な人材に出会える
- 社内の刺激になる
- 海外進出の足掛けとなる
人手不足の解消になる
まず大前提として、外国人労働者を採用することで人手不足の解消に繋がります。現在日本は少子高齢化が進み、労働者人口も減少傾向です。
日本人の労働人口と外国人の労働人口の平均年齢は、10歳も差があり外国人の方が若いです。そのため、外国人を採用すれば、若い人材を確保できます。
優秀な人材に出会える
外国人労働者が保持する在留資格は、日本語力や技術など高い能力を持っていなければ取得できない場合が多いです。そのため、在留資格を保持している時点で優秀な人材と言うことができます。
海外の採用では即戦力を求められることが多く、与えられた仕事にすぐ結果を残そうと意欲的な人材が多いでしょう。
社内の刺激になる
母国を離れ、海を渡って日本で働く外国人は、熱意と意欲を持って働いています。そのような外国人労働者の働きを見て、刺激を受ける日本人従業員も多いです。
文化や価値観、環境も異なる場所で育った外国人は、日本人では考えられない視点でアイデアを出してくることが多いのも特徴と言えるでしょう。
海外進出の足掛けとなる
あらゆる言語を話すことのできる外国人労働者がいれば、海外進出を目指す企業にとってはメリットになるでしょう。海外との商談の際に通訳となりますし、海外の文化も熟知しているので商談の進め方などアドバイスをもらうこともできます。
また外国人労働者とコミュニケーションをとることで、日本人従業員の語学力も向上しますし、会社全体でグローバル化を目指すことができます。
外国人を求人募集するときの注意点
外国人労働者を求人募集するには日本人の採用と異なり、注意すべき点があります。外国人を求人募集するときの注意点は次の通りです。
- 就労ビザの手続きが必要
- 文化の違いや言葉の壁
外国人を採用するには、就労ビザの手続きが必要となります。すでに就労ビザを取得していて、中途で外国人を採用する場合も就労できる業務内容に制限がある可能性があります。
大学・専門学校での専攻と採用する職種の業務内容の関連性が認められない場合、10年以上の業務歴がない場合は新たな就労ビザが取得できません。就労ビザの内容は確認が必須です。
新たに就労ビザを取得するとなると1~3ヶ月かかってしまうので、求人を出す時点で心づもりをしておく必要があります。また、外国人を初めて求人募集するときは特に、文化の違いや言葉の壁があることを念頭に置いておきましょう。
外国人の求人募集を決めたら社内向けに研修や教育を行い、外国人労働者の受け入れ環境を整えましょう。マニュアルも英語版を作成したり、外国人向けの昇給制度を整備することも大切です。
雇用後も外国人労働者・日本従業員共にトラブルが発生しないような工夫をしましょう。
外国人を求人募集する方法
外国人を求人募集するには、外国人の目に留まらなくては意味がありません。外国人の目に留まりやすい求人募集の方法は次の通りです。
- 外国人向け転職エージェント
- 外国人向け転職サイト
- 留学生・外国人大学生向け求人サイト
- 大学・日本語学校と連携
- 外国人向け就職イベント・セミナーに参加
- SNSでのスカウト
外国人向け転職エージェント
外国人の目に留まりやすい求人方法のひとつとして、「外国人向け転職エージェント」に求人を出す方法があります。
転職エージェントであれば、エージェントという人の目で外国人と企業をマッチングしてくれるので、相性の良い出会いがあります。効率的に適性の合う外国人人材を採用したいのであれば、転職エージェントを活用しましょう。
外国人向け転職サイト
即戦力となる外国人の採用を検討しているのであれば、「外国人向け転職サイト」への求人掲載もおすすめです。すでに能力のある外国人が多く登録していて、積極的にコンタクトをとってもらえます。
サイトごとにアジア圏の外国人人材や高学歴の外国人人材など得意分野が異なるので、自社がどのような外国人人材を求めているのかを洗いだし、適したサイトに求人を出しましょう。
留学生・外国人大学生向け求人サイト
新卒で外国人を採用したいのであれば、「留学生・外国人大学生向け求人サイト」に求人を出すと効果的です。
日本に留学している外国人の約6割は日本で就職したいと考えています。留学生であれば日本語もある程度話せますし、採用後の教育もスムーズです。
大学・日本語学校と連携
大学・日本語学校と連携して求人を出せば、すでに日本語力が高い外国人の求人応募が見込まれます。日本語力がすでに高ければ、社内で日本語の教育に力を入れる必要もないですし、業務に早く馴染むことができる利点があります。
有名大学や留学生を多く抱える学校では、キャリアセンター内に外国人のキャリア支援部門を設けていることがあります。就職ガイダンスなどを行えることもあるので、確認しましょう。
外国人向け就職イベント・セミナーに参加
日本の新卒採用と同時期に外国人向け就職イベント・セミナーが開催されます。多くの外国人と触れ合うことができ、求人募集も多くの外国人の目に留まります。
転職イベント・セミナーに参加する外国人は、優秀で意欲的な人材が多いです。参加するには費用が高いので、外国人の大量採用を計画している大・中小企業向けと言えるでしょう。
SNSでのスカウト
コストをかけずに求人を行いたいのであれば、SNSで求人募集を行うのがおすすめです。SNSの採用アカウントを作り、求人募集を掲載したり、直接採用したい外国人にスカウトしたりすることができます。
外国語で求人募集することで、日本語ができない外国人の目にも留まります。外国人を採用するにあたって、日本語力が必須でなければ外国語で募集を掲載してみましょう。
外国人の採用流れ
外国人の採用の流れは、日本人の採用と異なる点があります。外国人の採用で重要な流れは次の通りです。
- 在留資格の確認
- 雇用の契約
在留資格の確認
外国人を雇用するにあたって、一番初めに在留資格の確認は必須です。留学生を採用するなら在留資格の内容を変更する必要があります。
すでに日本で働いている外国人を中途採用する場合は、在留資格の内容が採用する業種と差異がないかどうか確認します。差異があれば、内容を変更する手続きが必要となります。
海外から外国人労働者を呼び寄せる場合は、新たに就労ビザの申請が必要です。入社日までに準備しておきましょう。
雇用の契約
在留資格更新のために必要なので、外国人を雇用する際は雇用契約書を作成する必要があります。雇用契約書の記載内容に不備があれば、労働基準法の規定に沿っていないと捉えられ、在留資格の取得・更新が難しくなる場合があります。雇用契約に記載すべき事項は次の5点です。
- 労働契約の器官
- 就業の場所、従事すべき業務
- 始業、終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇
- 賃金、賃金の計算及び支払い方法、賃金の締切日、支払いの時期、昇給に関する事項
- 退職に関する事項
外国人の母国語でも、同じ内容の雇用契約書を作成すると理解が深まります。就労ビザの申請中に入国管理局から外国人へ雇用契約の内容が理解できているか確認が入ることもあります。
雇用後の手続き
外国人を雇用したらハローワークを通じて厚生労働大臣に「外国人雇用状況報告」を届け出ることが義務付けられています。必ず実施しましょう。
外国人を中途で採用する場合には「所属(契約)機関に関する届出」の提出が必要です。これは外国人本人が提出するものですが、会社での代理提出も可能です。届出を怠ってしまうと、20万円以下の罰金が課せられることもあるので確認必須となります。
【まとめ】あらゆる方法で外国人の求人募集をしよう!
ここまで外国人の求人募集の方法と注意点、採用の流れを解説してきました。外国人の求人募集の方法は、多く存在します。なかなか外国人の募集が集まらないという場合は、求人募集が外国人の目に留まっていない可能性が高いです。
あらゆる求人方法を試して、外国人の目に多く求人情報が留まるように工夫しましょう。また、採用活動を始める前に外国人の採用にはどのような注意点があるのか把握しておくのも大切です。
外国人雇用・就労ビザステーション
https://visa-station.jp/shurou/gaikokujin-saiyo-purosesu/gaikokujin-saiyo-purosesu-kokunai/
在留外国人統計に見る外国人労働力の性質と変容
https://www.shitennoji.ac.jp/ibu/docs/toshokan/kiyou/58/kiyo58-7.pdf