外国人労働者を採用したら届出が必須である「外国人雇用状況届出書」。初めて外国人労働者の雇用を検討している方には聞きなれない言葉なのではないでしょうか。
「外国人雇用状況届出書」は、外国人労働者を雇用したら必ず提出しなければいけない届出です。本記事では「外国人雇用状況届出書」とは何なのか、提出様式・提出方法・提出期限など網羅的に解説します。
目次
「外国人雇用状況届出書」とは?
「外国人雇用状況届出書」とは、外国人労働者の雇用についてハローワークを通じて厚生労働大臣に提出する届出です。外国人労働者の雇用や離職、在留資格について明記します。
日本国籍ではない外国人労働者であっても、特別永住者・在留資格が「外交」「公用」の方は対象外です。これらに当てはまらない方は、永住者含めて雇用状況届出書の提出が必須です。
「外国人雇用状況届出書」の提出の目的・義務化された理由
「外国人雇用状況届出書」は、2007年に届出が義務となりました。「外国人雇用状況届出書」を提出しなければいけない理由は、主に次の通りです。
- 事業者に外国人労働者の労働環境や状況について指導や助言を行うため
- 外国人労働者の雇用状況把握のため
- 外国人労働者の再就職支援のため
- 外国人労働者の不法就労を防ぐため
これらの目的を叶えるために、2007年10月に雇用対策法の「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」にて「外国人雇用状況届出書」の提出が義務化されました。
「外国人雇用状況届出書」は外国人労働者の在留カードを確認しながら記載・入力していきます。在留カードを確認しながら記載することで、外国人労働者の不法就労を防ぐことに繋がります。
外国人労働者の不法就労は、雇用している事業者も「不法就労助長罪」が課せられる可能性があります。雇用している外国人労働者の在留期間管理は、事業者側でも徹底しましょう。
「外国人雇用状況届出書」の提出様式
「外国人雇用状況届出書」には書式が2種類あり、雇用保険の加入有無によって書式が異なります。書式は厚生労働省のホームページでダウンロード、もしくはハローワークにて配布しています。2種類の「外国人雇用状況届出書」の書式は次の通りです。
- 雇用保険被保険者資格取得・喪失届
- 第3号様式
雇用保険に加入する方は「雇用保険被保険者資格取得・喪失届」、雇用保険非対象であれば「第3号様式」での提出となります。なお、次に当てはまる外国人労働者は雇用保険への加入が義務付けられています。
- 31日以上の雇用が見込まれる
- 1週間の労働時間が20時間以上
これらの条件は、雇用形態は問いません。アルバイトやパート、派遣社員や技能実習生でもこれらの条件に当てはまっていれば雇用保険への加入は義務です。なお、派遣社員の雇用保険加入や外国人雇用状況届出は、派遣会社側、技能実習生は監理団体での対応となります。
雇用保険加入対象なら「雇用保険被保険者資格取得・喪失届」
「雇用保険被保険者資格取得届」は、労働者が雇用保険に加入する際、「雇用保険被保険者資格喪失届」は労働者が退職する際に提出します。これらは、国籍関係なく労働者全員が提出するものです。
雇用する労働者が日本国籍でない外国人である場合、「雇用保険被保険者資格取得」の17欄〜22欄を記入することで「外国人雇用状況届出」を兼ねることになります。
17欄〜22欄には被保険者氏名と国籍、在留資格と在留期間、資格外活動許可の有無と派遣・請負就労区分を記入します。雇用する外国人労働者の在留カードを確認しながら記載しましょう。
外国人労働者が退職する際は「雇用保険被保険者資格喪失届」の14〜18欄に記載が必要です。14〜18欄は被保険者氏名と在留期間、派遣・請負就労区分と国籍、在留資格を記載します。
雇用保険の非対称者なら「第3号様式」
雇用する外国人労働者が、雇用保険に入らなければいけない条件に当てはまらないときは雇用保険に加入させる必要はありません。雇用保険に加入しない外国人労働者を雇う際は「第3号様式」にて外国人雇用状況届出を行います。
外国人労働者の在留カードを確認して、氏名と在留資格、在留期間と性別、生年月日と国籍、在留カード番号等を記入してください。
外国人雇用状況届出書の提出方法
雇用している外国人労働者が届け出なければいけない「外国人雇用状況届出書」の書式を確認したら、次は提出方法です。「外国人雇用状況届出書」の提出方法は2つあります。
- ハローワークへ提出
- オンラインでの提出
「外国人雇用状況届出書」は事業者が提出するものなので、事業者にとって使い勝手の良い提出方法を選びましょう。
ハローワークへ提出
基本的に「外国人雇用状況届出書」は、ハローワークに提出します。事業所の管轄であるハローワークに出向きましょう。ハローワーク職員に確認したい事項があったり、オンラインでの提出に不安があったりする場合は直接ハローワークに提出する方法がおすすめです。
一方、ハローワークで一度でも外国人雇用状況の届出を行うとオンラインで提出する際は切り替えの依頼をする必要があります。
オンラインでの提出
「外国人雇用状況届出書」は、オンラインでの提出も可能です。忙しくて、ハローワークに赴くのが難しい事業者の方におすすめです。オンラインで提出するには、厚生労働省の「外国人雇用状況届出システム」を使用します。
オンラインでの届出は、利用者のIDとパスワードの登録が必要です。初めて外国人雇用状況を届け出る事業者は、外国人雇用状況届出システムの新規登録画面からIDとパスワードを作成できます。
しかし、過去に外国人雇用状況をハローワークに届け出たことのある事業者は新規登録画面からIDとパスワードの登録ができません。過去に届け出を行ったハローワークに問い合わせをして、オンラインでの届出に切り替えを依頼しましょう。
「外国人雇用状況届出システム」の使い方は「外国人雇用状況届出システム操作マニュアル」を確認してください。
「外国人雇用状況届出書」の提出期限
「外国人雇用状況届出書」自体の提出期限は、翌月末日です。しかし、「雇用保険被保険者資格取得届」の提出期限は外国人労働者を雇用した日の翌月10日までとなります。
外国人労働者の雇用により「外国人雇用状況届出書」の提出が必要な場合は、雇用保険被保険者資格取得届に合わせて雇用日の翌月10日までに提出しましょう。退職時に提出する、「雇用保険被保険者資格喪失届」も同様に退職日の翌月10日が提出期限です。
雇用保険未加入の外国人労働者が退職する場合は、「外国人雇用状況届出書」の提出は退職日の翌月末までが提出期限です。
「外国人雇用状況届出書」の提出を怠るとどうなる?
「外国人雇用状況届出書」は提出が義務化されており、提出を怠ったり、内容を偽ったりすると外国人労働者1人につき30万円以下の罰金が発生する可能性があります。しかし、これは故意的・悪質なものに限ります。
うっかり提出を忘れてしまった、忙しさにかまけて提出期限が過ぎてしまったというような場合は管轄のハローワークに連絡を入れ、指示を仰いでください。
【まとめ】外国人を採用したら「外国人雇用状況届出書」の提出は忘れずに!
ここまで、「外国人雇用状況届出書」とは何なのか、提出様式・提出方法・提出期限など網羅的に解説してきました。外国人労働者の雇用は、日本人と全く同様の手続きではありません。外国人労働者に特化した手続きがあります。
外国人雇用に特化した手続きの一つである、「外国人雇用状況届出書」の知識を深めましょう。外国人労働者が雇用保険に加入するのかしないのかによって、「外国人状況届出書」の書式や提出期限は異なります。
外国人雇用手続きがスムーズにいくように、必要な書類や手順を確認して事前準備をしっかりしておきましょう。
外国人採用サポネット「【出し忘れNG】外国人雇用状況の届出とは?記載内容と注意点を解説」
https://global-saponet.mgl.mynavi.jp/visa/504
外国人雇用状況届出システム
https://gaikokujin.hellowork.mhlw.go.jp/report/001010.do?action=initDisp&screenId=001010
外国人雇用状況届出システム 操作マニュアル
https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-roudoukyoku/var/rev0/0128/0216/2016330113727.pdf