日本の外国人雇用状況を知ろう!雇用が増えたきっかけ

会社のグローバル化や人員不足の解消を目的に、外国人雇用を考え始める企業も多いですが、外国人雇用を考えるにあたって、「外国人雇用の状況」を把握しておくことが大切です。外国人の雇用状況を把握したうえで、どのような外国人人材を求めるのかを考えましょう。本記事では外国人雇用状況や外国人雇用が増えたきっかけ、海外の外国人雇用状況などについて解説します。

日本の外国人雇用状況

外国人労働者の求人を出す際、どのような外国人人材を求めるのかを考える必要があります。その前に、現在の外国人雇用状況を把握しておきましょう。次のポイントに絞って、外国人労働者の雇用状況を見ていきます。

  • 外国人を雇う事業所数
  • 都道府県
  • 男女・年齢別
  • 国別
  • 業種別

上記の内容については、それぞれ法務省の「令和3年6月末現在における在留外国人数について」と厚生労働省の「『外国人雇用状況』届出状況のまとめ(令和3年10月末現在)」で公表されています。

前年度と比べると、新型コロナウイルスの影響もあり、日本に在留する外国人の数は2.2%減ってしまいました。

外国人労働者を雇用する事業所数

日本には、従業員を10人以上雇う事業所が約42万社あります。厚生労働省の「『外国人雇用状況』届出状況のまとめ(令和3年10月末現在)」によると、外国人労働者を雇用する事業所は28万カ所以上です。

半数以上の事業所が外国人労働者を雇用しているというのが現状です。ちなみに、都道府県別で外国人労働者を雇用する事業所数は次のグラフの通りとなっています。

都道府県別の外国人雇用状況

外国人労働者の雇用状況を都道府県別に見てみると、次の通りとなりました。

  1. 東京都
  2. 愛知県
  3. 大阪府

やはり、知名度の高い都心部が多い傾向です。なお、前年度に比べて増加率が高い都道府県は次の通りです。

  1. 山梨県
  2. 茨城県
  3. 和歌山県

山梨には16,000人以上の外国人が住んでいて、外国人活躍のためのあらゆる施策を行っています。「やまなし外国人活躍ビジョン」の策定や「山梨県外国人材企業相談センター」の開設など外国人と共存するための工夫が多くなされています。

農業が盛んな茨城県は、外国人技能実習生が貴重な労働力となり、年々外国人労働者が増えています。ボランティアが外国人労働者に日本語を教えるなどの取り組みを行っています。

和歌山県では、「和歌山県国際交流センター」がやさしい日本語での情報共有や外国語で無料で相談できる労働条件相談ホットラインなどを設け、外国人労働者をサポートしています。

外国人雇用状況の男女・年齢別

男女別の外国人雇用状況は、男性が約139万人、女性が約142万人で、女性の方がやや多い結果となりました。

また、四天王寺大学が行った「在留外国人統計に見る外国人労働力の性質と変容」によると、日本人労働者と外国人労働者平均年齢は1960年頃はさほど変わりがなかったものの、2010年には10歳ほど差が出ています

外国人労働者の雇用は若い人材に巡り合える可能性が高いことが分かります。

国別の外国人雇用状況

日本で働く外国人はどこの国籍が多いのでしょうか。令和3年6月末時点での結果は次の通りになりました。

1番多いのは中国で、特に在留資格「技術・人文・国際業務」で働く外国人が多くなっています。仕事内容はオフィスワーカーやエンジニア、通訳が多い傾向です。2番目に多いベトナムは在留資格「特定技能」「技能実習」が多い結果となりました。

業種別の外国人雇用状況

令和3年10月時点で外国人労働者が多い業種は次の通りです。

  1. 製造業
  2. サービス業
  3. 卸売業・小売業
  4. 宿泊業・飲食サービス業

なお、外国人に人気のある職業は次の通りです。

  1. 技術職
  2. 教師
  3. エンジニア
  4. 営業職

技術職が人気の理由は、スキルが直接収入に反映されやすい点が挙げられます。語学力がそこまでなくても、スキルさえあれば評価されるという点が人気の秘密です。

教師は自身の母国語を活かせるため人気の職種となっており、日本語力に長けていなくても勤まります。日本人と結婚した外国人や留学生、家族帯同の外国人に人気です。

エンジニアは、需要が高いので求人が多いのが特徴です。言語能力がなくても大丈夫な職種で、楽天などの大手企業でも積極的に外国人のエンジニアを求人しています。

営業職はグローバル企業で活躍できることから人気で、商談先の言葉が流ちょうに話せて文化にも精通している外国人材は重宝されます。

外国人雇用が増えたきっかけとは

外国人雇用が増えるきっかけは、外国人の出入国や雇用制度が変わったときで、過去に4回ありました。それらは次の通りです。

  • 1990年改正出入国管理法
  • 1993年技能実習制度
  • 2012年高度人材ポイント制
  • 2019年特定技能制度

それぞれどのように外国人雇用が増えるきっかけになったのか、解説します。

1990年改正出入国管理法

「改正法出入国管理法」は日本人や外国人の出入国について、外国人の在留資格や不法入国、難民認定と言った出入国管理及び難民認定法、法務省設置法の一部を改正する法律のことを言います。

1990年6月に施行された改正出入国管理法では、在留資格に定住者などの10種類が新設され、日本に住む外国人が増えるきっかけとなりました。特に南米系日系人労働者の受け入れと定住化が主に東海地方で進みました。

1993年技能実習制度

技能実習制度とは、国際社会との調和ある発展を計っていくために技能・技術・知識を提供して開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」を目指した制度です。

1960年代後半から海外の現地法人で行われていた社員教育の研修制度が評価され、1993年に制度化されました。制度化されたことで、技能実習生として来日する外国人労働者の数も増えていきました。

2012年高度人材ポイント制

高度人材ポイント制とは、高度外国人材の受け入れを促進するために導入が開始された制度です。

「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」の3つにおいて「学歴」「職歴」「年収」といった項目をポイント制とし、ポイントの合計が70点に達した人材を優遇するというないようです。

高度人材ポイント制により、日本で働くことを希望する高度外国人材が増えるきっかけとなりました。

2019年特定技能制度

特定技能制度とは、一部産業の人手不足を解消するため、一定の技能を持ち合わせた即戦力のある外国人労働者を受け入れるための在留資格として2019年に創設されました。名前が似ているので技能実習制度とよく間違われますが、異なる制度です。

また技能実習制度と違い、受け入れ人数に上限がないので採用数をしっかり確保できます。特定技能制度が創設されたことにより、外国人労働者も日本で働きやすくなりました

外国人雇用状況届出とは

外国人雇用状況届出とは、外国人労働者を雇用する事業主に提出が義務付けられているものです。外国人労働者の雇用・退職や氏名、在留資格などをハローワークを通して厚生労働省に届け出ます。

雇用保険に加入する外国人労働者であれば、雇用保険被保険者資格取得届に含まれています。この届出を怠ると罰金などが課せられる場合もあるので注意しましょう。

海外の外国人雇用状況

海外では、外国人労働者に対してどのような施策を行っているのでしょうか。外国人労働者の受け入れを積極的に行っているのでしょうか。

ドイツ・韓国・アメリカの3カ国について解説します。日本の外国人雇用状況と見比べてみましょう。

ドイツの外国人雇用状況

ドイツは日本と同じく労働人口が減少傾向にあります。移民受け入れの歴史が長いドイツは、高度な資格を持つ労働者や研究者の受け入れを積極的に行っています。

移民法に基づいて労働局が出す「労働許可」を受けた外国人はドイツで働くことができます。その際、区分に応じた職に就くことになります。

韓国の外国人雇用状況

韓国は2000年以降、労働力不足解消のために外国人労働者を積極的に受け入れるようになりました。研究者・技術者・専門家など高度外国人材には専門人材としての在留資格が与えられ、優遇されます。

また、国内での労働者確保に苦戦している企業に対しては適正規模の外国人労働者を合法的に雇用することが許可される制度を設けています。外国人労働者に対しては、早く韓国社会に慣れるための「社会統合政策の推進」などの取り組みを行っています。

アメリカの外国人雇用状況

アメリカは移民国家と言われていて、2017年には外国人労働者の受け入れが約700万人になったこともあります。半数は実習生で、その他季節労働者やワーキングホリデー、企業内転職者の順の割合とされています。

一方アメリカでは不法移民が横行していて、全移民の20%以上を占めると言われており、政府は規制を強めています。

【まとめ】外国人雇用状況を把握して外国人採用の事前準備を行おう!

ここまで外国人雇用状況や外国人雇用が増えたきっかけ、海外の外国人雇用状況などについて解説してきました。

これから外国人労働者の雇用を考えている方は、日本における外国人の雇用状況を把握することで、どのような人材の雇用が見込まれるのかイメージしておくと良いでしょう。

法務省「令和3年6月末現在における在留外国人数について」

https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00017.html

法務省「令和3年6月末現在における在留外国人数について」(公表資料)

https://www.moj.go.jp/isa/content/001356650.pdf

厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和3年10月末現在)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23495.html

幻冬舎ゴールドオンライン

https://gentosha-go.com/articles/-/9557

山梨県ホームページ

https://www.pref.yamanashi.jp/kokusai/index.html

朝日新聞デジタル

https://www.asahi.com/articles/ASPBQ7780PBPUJHB02F.html

和歌山県国際交流センター

https://wak-kokusai.jp/zigyou/consultation/work/

シロフネ

https://samurai-law.com/shirofune/others/foreigners_popular_job_japan

四天王寺大学「在留外国人統計に見る外国人労働力の性質と変容」

https://www.shitennoji.ac.jp/ibu/docs/toshokan/kiyou/58/kiyo58-7.pdf