外国人雇用の新制度「特定技能」が2019年に設立され、外国人の雇用をすすめる企業が多くなりました。「特定技能」には人手不足の解消や、優秀な人材の雇用で生産性を上げるといった目的があります。
「特定技能」を利用して外国人採用を行った場合、四半期に一度報告などを行うことが義務付けられています。この記事では、特定技能定期報告の際に必要になる書類や、提出期限などについて簡単に解説します。
目次
特定技能定期報告とは?
「特定技能定期報告」とは、特定技能所属機関と呼ばれる1号特定技能外国人の受け入れを行っている企業が、四半期に一度の頻度で活動の報告などを行う義務のことです。1号特定技能外国人は、特定の分野に対して知識や経験を必要とする技能を持ち、その業務に従事する外国人のための在留資格を指します。
1号特定技能外国人の雇用を続けるためには、報告を続ける義務があります。報告を怠ったり、書類に対する虚偽や不履行が発見された場合には、処罰の対象になるため注意が必要です。
特定技能定期報告の提出期間
報告に関する書類の提出期間は以下の通りです。
定められている期間 | 届出の締切日 | |
第一四半期 | 1/1~3/31 | 4/15 |
第二四半期 | 4/1~6/30 | 7/15 |
第三四半期 | 7/1~9/30 | 10/15 |
第四四半期 | 10/1~12/31 | 翌年の1/15 |
上記のとおり、該当する四半期の翌月1日~15日の間に書類の届出を行う必要があります。
届出の義務があるのは、1号特定技能外国人の受け入れを行っている特定技能所属機関です。
インターネット、郵送もしくは地方出入国在留管理官署への持ち込みによって届出が可能です。
作成する書類の種類
四半期に一度提出が必要になる書類は主に3種類です。ここでは、種類別にどういった内容になっているかなど詳しく解説していきます。
受入れ状況に係る書類
特定技能所属機関(外国人雇用をした企業)が届出期間中に受け入れを行った1号特定技能外国人の情報を共有する書類です。「受入れ状況に係る届出書(参考様式第3-6号)」と呼ばれています。
必要事項は以下のとおりです。
・届出の対象となる対象となる期間内に受け入れていた特定技能外国人の総数
・届出に係る特定技能外国人の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地及び在留カードの番号
・届出に係る特定技能外国人が特定技能の活動を行った日数、活動の場所及び従事した業務の内容
・届出に係る特定技能外国人が派遣労働者等である場合、派遣先の氏名又は名称及び住所
出入国在留管理庁「特定技能所属機関による受入れ・活動状況に関わる届出」
内容は雇用した外国人の基本情報になるため、他の書類に比べると記入しやすいものになっています。届出様式は出入国在留管理庁のホームページに記載されているため、ダウンロードして利用しましょう。
活動状況に係る書類
活動状況に関わる書類では、1号特定技能外国人を受け入れを行っている企業の活動状況の報告を行います。
必要事項は以下の通りとなっています。
・特定技能外国人及び当該特定技能外国人の報酬を決定するに当たって比較対象者とした従業員に対する報酬の支払状況
・所属する従業員の数,特定技能外国人と同一の業務に従事する者の新規雇用者数,離職者数,行方不明者数及びそれらの日本人及び外国人の別
・健康保険,厚生年金保険及び雇用保険に係る適用の状況並びに労働者災害補償保険の適用の手続に係る状況
・特定技能外国人の安全衛生に関する状況
・特定技能外国人の受入れに要した費用の額及びその内訳
出入国在留管理庁「特定技能所属機関による活動状況に係る届出」
報酬の支払い状況については、給与等の支払いを行った月ごとに記載をしなければなりません。比較対象従業員の給与の添付も必要なので、詳細な記録を行う必要があります。
届出する書類は「活動状況に係る届出書(参考様式第3-8号)」「特定技能外国人に対する報酬の支払状況(参考様式第3-8号別紙)」の2種類です。
支援の実施状況に係る書類
特定外国人の支援計画に基づいて、支援を実施した場合に提出が必要となる書類です。「支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-7号)」と呼ばれています。登録支援機関へ支援計画を委託している場合には、届出は不要となります。
必要事項は以下の通りです。
適合1号特定技能外国人支援計画の実施の状況
出入国在留管理庁「特定技能所属機関による支援実施状況に係る届出」
1号特定技能外国人に対する支援計画に基づいて、届出期間内に実施した支援に対する内容を記載する書類です。それぞれの支援内容について、「実施」「未実施」「支援対象者なし」のいずれかにチェックを入れていく必要があります。
書類の届出先や届出方法
書類の届出は「インターネット」「郵送」「窓口への持ち込み」のいずれかで行います。
インターネットの場合は、出入国在留管理庁電子届出システムから手続きを行います。出入国在留管理庁の公式ホームページに各書類の様式や必要事項の詳細が記載されているため、事前に必要となる書類の確認や記入方法を確認してから届出を行いましょう。
窓口へ持ち込みする際は、特定技能所属機関の本店の住所を管轄する地方出入国在留管理官署に行く必要があります。受付時間は午前9時から午前12時、午後1時から午後4時までです。手続き内容によって受付の時間が異なるので、注意が必要です。
郵送の場合には、封筒に赤色の文字で「特定技能届出書在中」と記載し、身分証明書を同封して郵送します。郵送先は特定技能所属機関の本店の住所を管轄する地方出入国在留管理官署です。
いずれの方法も届出期日までに行う必要があるので、余裕を持った準備を行うことが理想的です。
書類を書くときに注意したいポイント
特定技能所属機関が書類作成する際に注意したい点
届出の対象期間内に、数日しか在籍していない特定技能外国人がいた場合であっても、漏れなく記入する必要があります。記入を忘れると虚偽とみなされる可能性もあるため、忘れず行いましょう。
各書類には「作成責任者の氏名」「本届出作成者の署名」が必要になります。「作成責任者の氏名」については特定技能所属機関の役職員であれば問題はありません。
一方で「本届出作成者の署名」は、特定外国人の受け入れ企業の役員であり、届出を作成した本人が署名を必ず行います。「作成責任者の氏名」「本届出作成者の署名」必ず同一人物が記入する必要はありませんが、記入に不備がないよう気を付けましょう。
外部へ書類作成を依頼する際に注意したい点
書類の作成は、外部へ依頼することもできます。依頼先としては「登録支援機関」と「行政書士」の2種類が挙げられます。
「登録支援機関」については各支援機関によって手続きの内容が異なるため、依頼前に一度相談することがおすすめです。「行政書士」に依頼した場合、書類全体の作成を行ってもらうことが可能です。最終的な作成責任者の署名や捺印は、必ず特定技能所属機関が行う必要があるので注意しましょう。
まとめ
- 特定技能定期報告は四半期に一度の頻度で行う
- 届出に必要となる書類は3種類
- 支援の実施状況に関わる書類は支援機関に委託していれば不要となる
- 虚偽や不履行が発見された場合には処罰の対象となる可能性もある
- 書類を作成する際には不備がないよう注意が必要
- 各書類の作成は外部に委託することが可能
今回は「特定技能定期報告」について解説しました。特定外国人の受け入れを行った場合には、3ヶ月に1度のペースで必ず必要となる届出です。年4回の定期報告が必要なため手間と感じるかもしれませんが、書類は3種類となっており、作業時間が長時間取られるといったことは殆どありません。
各書類の内容や提出が必要か否かをよく理解して適切な定期報告を行っていきましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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