特定技能の職種と従事できる業種について理解しておけば、自分たちの会社が人手不足に陥った際に労働力不足解消を目的として外国人を雇用できるかもしれません。
注意点としてはすべての職種と業種で雇用できるわけではなく、雇用できる内容については国によって定められています。
今回は特定技能の職種と従事できる業種について解説するので参考にしてみてください。
目次
特定技能について
特定技能は在留資格の1つとして挙げられ、2020年4月からスタートした新しい在留資格です。そのため、まだまだ制度自体が変更されていく可能性もありますが、将来的には特定技能で働いてくれた外国人人材に永住権取得ができる方法も準備されているのが特徴です。
特定技能は技能実習と比較すると任せられる業務範囲が多いため、企業で幅広い業務を任せたいと考えているなら人材確保の方法としては優秀といえるでしょう。
注意点としては特定技能に含まれていない業務を任せるのは違反であり、しっかりと任せられる業務範囲については確認してください。
特定技能で受け入れ可能な業種と職種
特定技能で働ける業種と職種は12種類で、それぞれの業種と職種で対応できる範囲が違うのは理解しておくのが大切です。
国内でも少しずつ働いてくれる外国人人材は増えている一方で、コロナウイルスの影響もあって本国で待機している外国人人材も多いといわれています。
そのため、企業で特定技能によって外国人人材の雇用を考えているなら、待機時間が必要になる可能性も視野に入れてください。特定技能で働ける業種と職種について解説していきます。
介護
介護では介護に付随する業務と介護業務の取り扱いができますが、施設内での業務に限られていて訪問系サービスは業務対応外です。
介護の需要は国内でも加速度的に高まっていくと考えられているため、将来的には介護業界で多くの外国人人材が働くようになるでしょう。
また、技能実習からの移行も多く、比較的日本国内で永住権を取得しやすいともいわれています。
ビルクリーニング
ビルクリーニングは建物内部の清掃を主な業務として対応しており、主たる業務に当たる直接的な建物内部の清掃が特定技能では対応します。他にも機材倉庫整理などの関連業務も任せられますが、関連業務だけを任せることはできません。
近年ではビルクリーニングの対象になっている建築物が増えている背景もあって、人手不足が深刻化しています。
建設
建設では土木区分、建築区分、ライフライン・設備区分の3つの区分で雇用でき、特定技能1号と特定技能2号がある数少ない業種です。
しかし、建設分野では特定技能からの雇用ではなく、実習制度からの切り替えが多い傾向にあります。建設での雇用を検討しているなら、既に技能実習生として働いている外国人人材の雇用をしたほうが良いかもしれません。
造船・舶用工業
造船・舶用工業にも特定技能1号と特定技能2号が設定されているのが特徴です。注意点としては2022年3月末では1,971人が働いていますが、試験合格者数は全体の45名しかいません。
そのため、特定技能によって造船・舶用工業で働いている外国人人材は、ほとんどが技能実習からの移行になります。業務内容としては溶接を取り扱っているケースが多いのも特徴といえるでしょう。
自動車整備
自動車整備は自動車の日常点検・分解整備などの整備関係に従事できますが、自動車の組み立ては業務範囲外です。他にも関連業務としては整備に必要になる関連部品の販売・洗車作業などの付随業務も担当できます。
特定技能の自動車整備業では試験合格者が多いことから、直接特定技能で雇用するケースがほとんどといえるでしょう。
航空
航空は大きく分けて2種類あって、航空機のメンテナンスをおこなう航空機整備・航空機の誘導や貨物の積み下ろしなどをおこなう空港グランドハンドリングになります。
しかし、航空業界では受け入れられている外国人人材の数はまだまだ少なく、これらの発展に期待されているといえるでしょう。
注意点としては開催されている試験回数も他の特定技能より少ないため、雇用を検討しているなら試験日程についても確認してください。
宿泊業
宿泊業ではホテルや旅館などの宿泊施設において従事しますが、フロント・広報・接客などの業務をおこないます。
宿泊施設で働ける特定技能になっている一方で、簡易宿泊所・下宿などの宿泊施設では働くことができません。また、接客はできますが風俗営業法に規定されている接待をすることは不可能です。
農業
農業には種を蒔いて作物などを育てる耕種農業に加えて、養豚・養鶏・酪農などの動物に関係している畜産農業の2つで雇用できます。
注意点としては耕種農業では作物の栽培管理・畜産農業では動物の飼養管理を業務として含む必要があり、業務として含めずに関連業務だけを任せることはできません。また、農業では直接雇用だけでなく派遣での雇用も認められています。
漁業
漁業では漁業と養殖業に区分されており、それぞれで受験すべき試験が違うので注意が必要です。日本では一時期と比較すると漁業従事者の数がかなり少なくなっているのに加えて、高齢化していることから人手不足が深刻になっています。
漁業でも繁忙期と閑散期が異なっているため、直接雇用以外にも派遣での雇用が認められているのが特徴です。そのため、特定技能による雇用を視野に入れているなら、繁忙期のみ派遣での雇用もできます。
飲食料品製造業
飲食料品製造業は以下の7業態で雇用が可能です。
- 飲食料品製造業
- 清涼飲料製造業
- 茶・コーヒー製造業
- 製氷業
- 菓子小売業
- パン小売業
- 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業
基本的には飲食料品を製造して販売する業務に従事できますが、スーパーなどで総菜の調理などをする場合は小売業として判断されます。
外国人人材から人気が高い分野になっているため、求人を出せば多くの応募があるとされているのも特徴といえるでしょう。
外食業
外食業の特徴としては対応できる業務範囲の広さが挙げられ、調理・接客・仕入れなど営業に関わる内容に対して幅広く対応ができます。
また、単独店舗だけでなくホテル内のレストランなどでも働けるため、日本人を雇用する場合とほとんど変わらないといえるでしょう。
加えて関連業務としてデリバリー業務も任せられ、労働力不足解消のためには特定技能は非常に有効な方法です。
産業
産業は最初は3つの分野(素形材産業・産業機械製造業・電子情報関連産業)で区分されていましたが、2022年4月に3つの分野は統合されました。
素形材産業は金属やプラスチックなどの素材に対して熱や圧を加えて加工、産業機械製造業は産業に使用される機械全般の製造、電子情報関連産業は電子機器の組み立てや機械加工を業務として取り扱います。
どの分野も技能実習生からの移行も多いことから、雇用を検討しているなら国内で既に働いている技能実習生からの雇用も視野に入れてください。
まとめ|特定技能を活用して専門性・技能を有する外国人を受け入れよう
特定技能はそもそも労働力を確保して、日本国内で人手不足に陥っている業界の労働力不足解消が目的です。そのため、これからさらに特定技能による外国人受け入れの需要が高くなると考えられています。
外国人を特定技能によって雇用したいと考えているなら、自分たちの業種で雇用できるかどうかについて理解しておくのが大切です。
業種ごとに採用できる基準が違うだけでなく、ルールに基づいていない業務に従事させていると行政から指導などが入るかもしれません。
雇用を検討しているなら特定技能の概要についても確認して、自分たちがルール違反をしないような意識を持つことが大切です。
外国人採用サポネット 【2022年】特定技能12業種(旧14業種)を解説!職種一覧・受け入れ状況まとめ
https://global-saponet.mgl.mynavi.jp/visa/2459
HumanVillage 特定技能14業種
https://www.hng.co.jp/humanvillage/skill/jobtype/
Amageing Human 特定技能の14業種・職種一覧(産業分野)
https://amazing-human.jp/tokutei-14gyoushu%E3%83%BBshokushu/
法務省 特定技能 ガイドブック ~特定技能外国人の雇用を考えている事業者の方へ~
https://www.moj.go.jp/content/001326468.pdf