スリランカ人を特定技能で受け入れる!受け入れの流れについて徹底解説

2019年6月19日、日本とスリランカの間で特定技能における二国間の協力覚書が締結されました。この二国間協定は、特定技能制度における両国の役割を明確にしたうえで、適正な制度運用や特定技能外国人の保護を目的としたものです。

今回は、特定技能における日本とスリランカの二国間協定の内容や、受け入れ方法についてご紹介します。これからスリランカ人の受け入れを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

スリランカとの二国間協定とは

日本とスリランカで、二国間協定が結ばれていることをご存じでしょうか。

二国間協定では、以下の機関がそれぞれの連絡窓口に定められています。

  • 日本「法務省出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課」
  • スリランカ「通信・海外雇用・スポーツ省スリランカ海外雇用局求人課」

この項目では、スリランカとの特定技能における二国間協定の共有情報や協議内容、試験の誓約についてご紹介します。

二国間で共有される情報

二国間協定では、以下の情報を共有することが誓約されています。

  • 特定技能外国人本人やその家族の金銭・財産管理
  • 契約不履行時の違約金などに関する契約の有無
  • 人権侵害に関する事項
  • 特定技能ビザ取得時における不正手続き
  • 不当手数料の徴収

二国間協定では特定技能制度における適切な運用が求められるため、必要かつ有益な情報の共有が必要不可欠です。共有情報は、求人や求職などの仲介機関における不正防止といった内容が多い傾向にあります。

二国間で協議される内容

二国間協定で協議される内容は、以下のとおりです。

  • 二国間の政策実施や変更について
  • 仲介機関の適正について
  • 受け入れ機関・送り出し機関について
  • 技能・日本語試験について

二国間で特定技能制度の適正な運用を図るため、これらの内容を定期的または随時協議する必要があります。特定技能制度の運用にあたって問題事象などが発生した際は、協定内容についてもその都度更新される見込みです。

二国間の特定技能試験の誓約

二国間協定では、特定技能試験についての誓約も定められています。

  • 日本政府からの要請には可能な限り対応する
  • 技能・日本語試験の不正防止と情報の共有をおこなう

スリランカで実施される特定技能の日本語試験や技能試験に関して、日本政府から協力要請があった場合は、スリランカ政府は可能な限り応じなければなりません。また、合格証の偽装や替え玉受験が発覚した際には、二国間で迅速に情報共有をおこなう必要があります。

特定技能で現地在住の特定技能スリランカ人を受け入れる方法

特定技能制度を利用して外国人を受け入れる際の手続き方法は、国によって大きく異なります。現地在住のスリランカ人を受け入れる流れは、以下のとおりです。

  • 人材選定
  • 雇用契約締結
  • 特定技能ビザ取得
  • 在スリランカ大使館で手続き
  • 海外労働者登録・オリエンテーション受講
  • 入国・就労開始

この項目では、これらの流れについてもう少し詳しくご紹介します。

人材選定

特定技能制度を利用してスリランカ人を受け入れる場合、まず特定技能の要件を満たした候補者のなかから、人材選定をおこないます。スリランカ政府は、送り出し機関の仲介を必須としていないため、受け入れ機関がスリランカにいる人材を直接採用することも認められています。

雇用契約締結

採用する人材が決定すると、その人材と雇用契約を締結します。そして、この段階で特定技能制度において義務付けられている事前ガイダンスも、忘れずに実施しましょう。特定技能外国人が海外在住の場合は、ビデオ通話での実施も可能です。

特定技能ビザ取得

これまでの手続きを済ませた後、地方出入国在留管理局で特定技能におけるビザの申請をおこないます。なお、特定技能ビザを申請する際には、健康診断結果の提出が必要です。結果の有効期限は受診日より3か月以内とされているため、再受診とならないよう段取りをしておきましょう。

在スリランカ日本大使館で手続き

特定技能外国人は、日本で発行された特定技能ビザの原本を受け取り、在スリランカ日本大使館で、日本入国における正式な特定技能ビザの発行手続きをおこないます。

海外労働者登録・オリエンテーション受講

これらの手続きを終えた後、特定技能外国人は出国前にSLBFE(スリランカ海外雇用促進・市場多様化担当国務省海外雇用局)にて、海外労働者登録をおこないます。登録は、オンラインでの実施も可能です。

さらに、スリランカ人が特定技能外国人として日本に渡航する場合、出国前にオリエンテーションを受講する必要があります。オリエンテーションは、基本的に2日程度で終わる内容です。

入国・就労開始

すべての手続きやオリエンテーションを終えると、いよいよ日本に入国です。入国時に空港で特定技能ビザが発行されると、特定技能外国人として就労開始できます。

特定技能で日本在住のスリランカ人を受け入れる方法

前項では、現地在住のスリランカ人を特定技能で受け入れる方法についてご紹介しましたが、申請人が日本在住の場合は手続き方法が異なります。

特定技能で日本在住のスリランカ人を受け入れる際の流れは、以下のとおりです。

  • 人材選定・雇用契約締結
  • 特定技能ビザ取得
  • 就労開始・海外労働者登録

日本在住の場合、現地在住のスリランカ人の受け入れよりも簡略化されるため、比較的簡単に手続きが可能です。

この項目では日本在住のスリランカ人の特定技能外国人受け入れの流れについて、もう少し詳しくご紹介します。

人材選定・雇用契約締結

まず、日本国内に在留しているスリランカ人のなかから人材選定をおこないます。特定技能外国人の申請者は、「特定技能2号を良好に修了」といった要件を満たしたうえで、特定技能ビザを取得する場合がほとんどです。

また、留学や技能実習生としてすでに日本に在留している場合、就労予定のある特定技能試験や日本語試験に合格することで、特定技能ビザの取得要件を満たすことが可能です。採用したい人材が決定次第、雇用条件などを母国語で確認し、雇用契約を締結します。

特定技能ビザ取得

雇用契約を締結し必要書類が揃ったら、地方出入国在留管理局にて、特定技能ビザの申請をおこないます。国内に在留の外国人が申請する場合、役所の納税関係の書類や前職の源泉徴収票、健康診断の結果なども必要です。

就労開始・海外労働者登録

特定技能ビザの取得日より就労開始となります。ビザの取得前に就労を開始した場合は、不法就労となるため注意が必要です。日本国内で特定技能ビザを取得した場合は、SLBFEのオンラインシステムを使用して、海外労働者登録をおこないましょう。

以下の参考リンクに手続きのフローチャートが掲載されているため、受け入れの際は参考にしてみてください。

*参考 スリランカ特定技能外国人に係る手続の流れについて

まとめ|スリランカとは二国間協定が結ばれている

今回は、特定技能におけるスリランカとの二国間協定や特定技能外国人の受け入れ方法をご紹介しました。二国間協定は、特定技能制度の適正な制度運用や特定技能外国人の保護を目的としたものです。

スリランカと日本の間では二国間協定が結ばれており、共有情報や協議内容、特定技能における誓約などが細かく決められています。その内容は、求人や求職などの仲介機関における不正防止といったものがほとんどです。

特定技能でのスリランカ人の受け入れは、現地在住か日本在住かによって手続き方法が大きく異なります。現地在住の場合は在スリランカ日本大使館での手続きや、オリエンテーションの受講が必須です。

一方、日本在住の場合は人材選定にて雇用契約締結後、特定技能ビザを取得した後に就労開始となります。さらに日本で特定技能ビザを取得した場合は、海外労働者登録も必要です。

受け入れがはじめての企業でも比較的簡単に手続きが完了するため、特定技能制度を利用して、スリランカ人の受け入れをぜひ検討してみてください。

【参考記事】

行政書士法人 第一綜合事務所 スリランカの二国間協定の誓約事項と受入れフロー

https://dsg.or.jp/column/working/9024/

Needs 「特定技能」スリランカのフローチャートを発表

https://needs-you.com/%E7%89%B9%E5%AE%9A%E6%8A%80%E8%83%BD%E5%88%B6%E5%BA%A6/%E3%80%8C%E7%89%B9%E5%AE%9A%E6%8A%80%E8%83%BD%E3%80%8D%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%81%AE%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%92%E7%99%BA%E8%A1%A8/

スリランカ特定技能外国人に係る手続の流れについて

https://www.moj.go.jp/isa/content/001338531.pdf