正社員またはアルバイトとして留学生を雇用する場合、日本人の雇用とは違った対応が必要です。ルールなどを守れていない状態で外国人を雇用して働かせてしまえば、法律違反となって罰則対象になります。
今回は留学生を雇用する方法や注意点について解説するので、留学生の雇用を検討しているなら参考にしてみてください。
目次
留学生を雇用する方法
留学生の雇用は日本人とは違った方法が必要であり、気を付けていなければ思わぬ部分でトラブルにつながります。留学生はアルバイトや正社員で雇用できますが、留学生が持っている資格や許可の確認が必要です。
また、留学生の雇用時と退職時にはハローワークに届け出が必要であるため、必要書類を揃えて忘れないように届出をしなければなりません。
資格や許可の確認とハローワークへの届出について、どのような手続きが必要かを解説します。
資格や許可を確認する
資格や許可については、留学生が持っている「在留カード」を見て問題がないか確認しなければなりません。
在留カードでは以下の点を確認する必要があります。
- 在留カードが本物であること
- 在留カードの有効期限に問題がないこと
- 在留資格が留学になっていること
- 資格外活動許可を受けていること
資格外活動許可とは、留学生がアルバイトできる許可のことであり、資格外活動許可を受けていない留学生はアルバイトができません。
資格外活動許可を受けている場合は、在留カードの裏面に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載があります。
留学生の雇用時と退職時にはハローワークに届出が必要
留学生の雇用時と退職時にはハローワークに届出が必要です。届出の提出期限は雇用時で翌月10日まで、退職時で退職日から10日以内です。
留学生の場合は「雇入れ・離職に係る外国人雇用状況通知書」を提出します。様式は厚生労働省ホームページで入手できます。
記載項目について留学生と確認しながら埋めていき、期限までに忘れずハローワークに提出しましょう。ほかにはオンライン上の外国人雇用状況届出システムでも、留学生の雇用報告・退職報告が可能です。
正社員として雇用するなら在留資格変更が求められる
正社員として雇用するなら在留資格変更が求められ、在留資格が留学の状態で正社員として雇用するのは法律違反になります。
留学生の在留資格変更は企業から提出が必要な書類もあるため、留学生と協力しながら就労系の在留資格へ変更の手続きをしなければなりません。
就労系の在留資格としては
- 特定技能
- 技能実習
- 技術・人文知識・国際業務
などが挙げられます。
正社員として雇用するなら先に在留資格変更を行ったうえで、正式に雇用しなければなりません。在留資格変更をしないまま雇用してしまうと法律違反になるため、在留資格は外国人を雇用する際には重要です。
留学生を雇用する注意点
留学生は資格外活動許可を受けていれば働けるため、アルバイトとして雇用しても問題ありません。
しかし、留学生を雇用する場合には資格や許可の確認など、ハローワークへの届出以外にいくつかの注意点があります。
法律的に定められている注意点も存在している一方で、企業側が留学生に対して配慮すべき点もあるでしょう。留学生を雇用する際の注意点としては以下の3点が挙げられます。
アルバイトは働ける時間が制限されている
留学生をアルバイトとして雇用する場合は、1週間で働ける時間が28時間以内に制限されているので注意しなければなりません。ただし、夏休みや冬休みなどの長期休暇期間では1日8時間、週40時間まで働けます。
複数のアルバイトをしている場合、すべての勤務時間の合計が週28時間以内に制限されています。雇用主は法律で定められている勤務時間を超えないように注意しましょう。制限時間を超えて勤務してほしいと考えているなら、在留資格を就労系のものに切り替えなければなりません。
ルールを守らなければ雇用主は罰則がある
留学生の雇用に関してのルールを守らなければ、雇用主は罰則を受けます。
ルールを守らない雇用主は毎年摘発されており、制限時間を超えた勤務や、資格外活動の許可を得ていないにもかかわらず留学生を雇用するケースが多いです。
もし留学生の雇用に関するルールを守っていなければ、3年以下の懲役や300万円以下の罰金が科せられます。法律を守らずに罰則対象になってしまえば、企業の信用が失墜する原因にもなるので注意しましょう。
日本語を勉強中のためサポートする
留学生は日本語を勉強中のため、アルバイト仲間と馴染めるようなサポートが必要です。日本語についてどれくらい理解ができているかは留学生によって違いがあるので、孤立しないような配慮が必要です。
他にも外国人と日本人とでは文化や考え方の違いが生じるため、留学生に日本の文化や考え方について指導が求められます。
雇用している留学生が自分の国では問題ないと考えている事柄でも、日本では問題になるケースがあります。雇用主は顧客との間でトラブルに発展させないためにも、しっかりと留学生をサポートしてお互いに理解することが大切です。
留学生を雇用するメリット
留学生を雇用するメリットとして、
- 優秀な人材が確保できる
- 海外進出など市場を広げやすい
という2点が挙げられます。
日本人だけの職場では気がつきにくいこともあるので、留学生を積極的に雇用している企業も多くなりました。留学生を雇用するメリットを解説するので、企業の方針を考えながら参考にしてみてください。
優秀な人材が確保できる
日本は少子化によって優秀な人材の確保が難しくなっています。雇用する対象を日本人だけでなく外国人にも広げることによって、優秀な人材を確保できる可能性が高くなるでしょう。
また、日本に留学している外国人は学習意欲が高い傾向にあるため、雇用後さらに優秀な人材へと成長することが期待できます。
優秀な人材は大企業が採用していくといわれていますが、外国人の雇用について整備していない企業も多いです。中小企業であっても外国人の雇用を整備できれば、優秀な人材を確保して企業の成長につなげられます。
海外進出など市場が広げやすい
企業に外国人がいるとグローバル化に意識を向けやすくなるだけでなく、海外進出のプロジェクトを中心に任せられるでしょう。
日本と外国では文化や考え方などに違いがあるため、日本人だけで考えたプロジェクトは外国では通用しない可能性もあります。
海外進出を考えているなら、その国の文化や考え方などに適したアプローチが必要です。外国人が企業内で働いていると社員全員が外国人への理解を深めて、海外市場などへのグローバル化の意識が高くなります。
まとめ
外国人を雇用すれば優秀な人材を確保できたり、海外進出など市場を広げやすいといったメリットが注目されています。ただし、外国人を雇用する場合には、資格や許可の確認やハローワークへの届出など、日本人の雇用とは異なる手続きが必要です。
優秀な人材として外国人を雇用する企業は多くなりましたが、実際に雇用する場合には注意点などを抑える必要があります。雇用する場合のルールを知り、トラブルなどが発生しないように注意しましょう。
<参考記事>
メカニッ求コラム 外国人(留学生)採用のメリットや注意点・気を付けるべきポイントとは
https://mechani-q.com/column/jobs-info/137/
Bridgers 留学生雇用の注意点とは?|正社員雇用からアルバイト雇用までポイント解説
https://bridgers.asia/recruit/ryugakusei-koyo01/
外国人サポネット 知らないと怖い!外国人留学生をアルバイト雇用する際の注意点
https://global-saponet.mgl.mynavi.jp/know-how/309
ウィルオブ採用ジャーナル 知らないと危ない!?留学生の雇用に関するルールと注意点、ハローワークへの届け出について解説
https://willof-work.co.jp/journal/51/