目次
●特定技能の存在意義
①なぜ特定技能は必要なのか
まず、出入国在留管理庁が公表している「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針について」から触れていくね。
1. 特定技能の在留資格に係る制度の意義に関する事項
特定技能の在留資格に係る制度(以下「本制度」という。)の意義は、中小・小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することである。
引用元:特定技能の在留資格 に係る制度の運用に関する基本方針について
文章を要約すると、働き手が足りない分野にのみ特定技能という在留資格を設置しましょう、と述べているね。
まずは、どのくらい働き手が減少してきているのか確認してみよう。
生産年齢、つまりは働くことができる年齢(=15歳以上65歳未満)の人口は1995年をピークに減少してきています。
さらに...
2030年、人手は644万人不足する
推計の結果、2030年には、7,073万人の労働需要に対し、6,429万人の労働供給しか見込めず、「644万人の人手不足」となることが分かりました。
引用元:パーソナル研究所「労働市場の未来推計2030」
これが日本の現状です。
よくコンビニや居酒屋さんで働いている外国人留学生を見かけるし、さらに技能実習生が日本で働いても、もっと外国からの労働力が必要なのかな?
留学生
・入管法第19条第2項で定められている資格外活動許可を申請することで週に28時間以内でアルバイト等の仕事に就くことができる
留学生+技能実習生
・特別な知識や技術を要しない労働、あるいは知識・技術が同一の作業によって成り立っている単純労働は認められていない
※入管法により外国人の単純労働は原則禁止とされています
在留資格についてもっと詳しく知りたい方は以下リンクより飛んでください⇩
ただし14の業種に限られていて、それらの業種を特定産業分野と呼ぶよ。
②特定産業分野とは
※2019年〜2024年の5年間での見込み数
●在留資格「特定技能」の種類
①在留資格「特定技能」の取得方法
特定技能の在留資格を取得するためには、2つの方法があります。
1つ目は、特定技能試験の合格です。
日本語能力と技能の水準を図るテストです。
日本語に関する試験は
日本語能力試験 N4以上
国際交流基金日本語基礎テスト A2レベル以上
の2種類があります。
技能に関する試験は、それぞれの業界ごとに定められた技能測定試験を受験する必要があります。
※試験は国内・国外共に行われていて、入国前にビザを取得するための資格を得ることもできます。
〈受験資格〉
✅18歳以上
✅在留資格を持っている
✅日本に滞在している外国人
※2020年4月1日から3カ月の短期滞在ビザでも受験が可能になりました。不法滞在者は受験できません。
2つ目は、技能実習2号を修了している場合です。
②特定技能1号
出入国在留管理庁が公表している「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」で、特定技能の求める人材を明示しています。
1号特定技能外国人に対しては、相当程度の知識又は経験を必要とする技能 が求められる。これは、相当期間の実務経験等を要する技能であって、特段の 育成・訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる水準のものを いう。
...
1号特定技能外国人に対しては、ある程度日常会話ができ、生活に支障がな い程度の能力を有することを基本としつつ、特定産業分野ごとに業務上必要な 日本語能力水準が求められる。
引用元:特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針について
〈在留期間〉
1年、6か月又は4か月ごとの更新、通算で上限5年まで
〈家族の帯同〉
基本的には認められない
〈受入れ機関又は登録支援機関による支援〉
対象
③特定技能2号
2号特定技能外国人に対しては、熟練した技能が求められる。これは、長年の実務経験等により身につけた熟達した技能をいい、現行の専門的・技術的分野の在留資格を有する外国人と同等又はそれ以上の高い専門性・技能を要する技能であって、例えば自らの判断により高度に専門的・技術的な業務を遂行できる、又は監督者として業務を統括しつつ、熟練した技能で業務を遂行できる水準のものをいう。
引用元:特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針について
〈在留期間〉
3年、1年又は6か月ごとの更新
〈家族の帯同〉
要件を満たせば可能(配偶者、子)
〈受入れ機関又は登録支援機関による支援〉
対象外
●特定技能を受け入れる企業の責務
①雇用形態
原則として、派遣形態での雇用はできません。
さらに、フルタイム・直接雇用でなくてはいけません。
ただし、農業・漁業に関しては季節及び地域によって繁閑の差が激しいため、派遣形態での雇用が可能になっています。
給料支給の際は、預貯金口座への振込等支払額が確認できる方法により行わなくてはいけません。
②賃金等の条件の確認
同等の就業年数(キャリア)の日本人の賃金や賃金規定、地域の業界水準などを参考に説明します。
賃金規定(給与規定)とは、給与や賃金に関する取り決めを文書化したものです。
常時10人以上を使用する事業場では、就業規則を作成し、所管の労働基準監督署に届け出をすることが義務づけられており、「給与・賃金に関するルール」は就業規則に必ず盛り込まなければならないとされています。
具体的には...
- 始業時間および就業時間
- 休憩時間、休日、休暇
- 交代勤務(シフト勤務など)の場合の終業時転換に関する事項
等です。
特定技能外国人と同じ業務を行う日本人労働者がいるときは、その日本人労働者と比較して報酬の同等性を判断することになります。
職務経験年数の同じ日本人従業員がいない場合は、最も近い職歴の人と比較して合理的かどうがを判断します。
同じ業務を行う日本人労働者がいない場合は、特定技能外国人が従事する業務と近い業務を担う日本人労働者と比較します。
③支援体制構築および支援計画書の作成
特定技能1号の在留資格で働く外国人を雇用する企業は、外国人が「特定技能 1号」の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上・ 日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画(1号特定技能外国人支援計画)を作成しなければなりません。
支援計画は、日本語で作成することに加えて、外国人本人が十分に理解することができる言語で作成し,1号特定技能外国人にその写しを交付するとともに,支援計画の内容を説明した上,外国人本人が十分に理解したことについて署名を得る必要があります。
- 外国人に従事させる業務の内容,報酬の額その他の労働条件に 関する事項
- 本邦において行うことができる活動の内容
- 入国に当たっての手続に関する事項(新たな入国の場合は,交付された在留資格認定証明書の送付を受入れ企業から受け,受領後に管轄の日本大使館・領事館でビザ申請を行い,在留資格認定証明書交付日から3か月以内 に日本に入国することを説明する。既に在留している場合は,在留資格変更許可申請を行い,在留カードを受領する必要があることを説明する。)
- 外国人本人・配偶者その他当該外国人と社会生活において密接な関係を有する者が,保証金等の支払や違約金等に係る契約を現にしていないこと及び将来にわたりしないことについて確認する。
- 外国人が外国の機関に費用を支払っている場合は,その額及び内訳を十分理解して,当該機関との間で合意している必要があること(支払費用の有無,支払った機関の名称,支払年月日,支払った金額及びその内訳について確認する。)
- 外国人支援に要する費用について,直接又は間接に当該外国人に負担させないこととしていること(義務的支援に要する費用は受入れ企業等が負担する。)
- 受入れ企業等が外国人が入国しようとする港又は飛行場において当該外国人を出迎え,受入れ企業の事業所(又は当該外国人の住居)までの送迎を行うこと
- 外国人のための適切な住居の確保に係る支援の内容(社宅等を貸与予定の場合は広さのほか,家賃等外国人が負担すべき金額を含む。)
- 外国人からの職業生活,日常生活又は社会生活に関する相談又は苦情の申出を受ける体制(例えば,○曜日から○曜日の○時から○時まで面談・電話・電子メールの方法により相談又は苦情を受けることができること等)
- 受入れ企業等の支援担当者氏名,連絡先(メールアドレス等)
対面かテレビ電話などで,本人であることの確認を行った上で,実施しなくてはいけないんだ。文書の郵送や電子メールの送信だけで済ましてはいけないよ。
支援計画書の作成と同様で、外国人が理解できる言語でガイダンスを行わなくてはいけません。
十分理解することができるのに、3時間程度必要だとされています。
●さいごに
今回は、在留資格「特定技能」とは何なのかについて説明してきました。
技能実習に加えて特定技能がなぜ必要とされているのか、特定技能1号・2号の違いは何なのかをしっかり理解してもらってから他の特定技能に関する記事を見ていただけると、理解が深まるはずです!
分からないことがございましたら、いつでも相談窓口にお問い合わせください。
【参考元】